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隣町との境目に何か特別なものはない。せいぜいが立札などの看板で告知をされるくらいのもの。
それなのに目の前の現状はどうなっているのだろうか。多くの人喰いがまるで隣町には行かせないと言わんばかりに道を塞ぐように立ちふさがっていた。
「どこにこんなにいたんですかね。それとも今までいなかったのがここに集められているとかですか」
冷静ではあるが自分の出した結論が信じがたいのか、木戸さんは少しの汗を浮かべている。
「これは…困ったね。とりあえず車は止めるとして」
運転していた金剛さんに車を止めるように指示したのを見て、私はバスの窓からバス上へ移動し、近くの家の屋根に飛び移る。
ぐるっと町を囲うように人喰いがどこもかしこも溢れるように存在していた。わざわざ大きな道を使っていないのにも関わらず、小さい道ですらこんなにいるとは。
「こんな小さな町のどこにこんなにいるのよ」
逆に思っているよりも町の人口が多かったことに驚くべきか。
バスに戻り、見てきたことをそのまま告げると
「なるほどね。それに私たちを出さないようにしているんじゃなくて、入らせないようにしているのなら、余計にここが怪しいと言っているようなものだけど」
「逆にここさえ突破すれば、もう人喰いは少ないとも言えますね」
だが、この肉の壁を突破することが難しい。重機などなら何とか出来るかもしれないが少し小さめなバスでは大きさが足りない。
「どうするっすか。このままバスで突っ込むんすか?」
「うーん、どうしようか。バスは少し小さい気もするね」
「俺がやる」
日暮さんが声を上げる。
「それが良いでしょうね。というより、何か車を拝借して私と日暮さんで爆発するようにした方がいいんじゃないですか?」
日暮さんの能力はコンビニで使っていたように火を扱うことが出来るらしい。
「あまり、周辺に被害を出さないようにしたかったんだけどそれしか無さそうだよね」
苦い顔を浮かべながらも渋々といった感じで黒田さんも賛成する。
「じゃあ、私が車を勢いよく押しますよ」
ならばと私も自分にできそうなことを提案する。反対意見も出ず、採用されたところでいい感じの車を探す。
乗り捨てられた車を押したり引いたりして見つける。選んだのは軽自動車。色は白っぽいピンクで可愛らしいものだったので少し罪悪感もある。
「いつでもいいぞ」
準備が出来たのを確認して、車を押す。
木戸さんの風の後押しも受け、速いと言えるほどではないが20~30kmほどのスピードで押し込んでいく。
途中で私も手を放し、車は風の力と慣性の力でスピードを落とさずに進んでいく。
そのスピードに合わせて、日暮さんの火の玉が並列して飛んでいく。
やがて、境目の着くタイミングで火の玉がガソリン部分にぶつかり、派手な音と光を立てて大きな爆発を起こした。




