13
まさかあそこまで反対されないとは思わなかった。父に関しては、心なしか少しウキウキしているような感じもしたし。母は心配そうにはしていたものの止めても無駄なのが分かったのか
「行ってきなさい。必ず帰ってきなさいね」
と送り出してくれた。
それはそうとして、出発の時間となったので入口の方へ行くといくつかの車に乗り込み始めているようだった。
「すみません、遅れました」
「いやいや、時間通りだから気にしなくてもいいよ。少し昂っているだけだからね」
食べ物の確保というから、少し大きめの車のイメージがあったが実際には軽自動車も含めての3台。出来るだけ排気音の少ない車を選んでいるらしい。
運転は金剛さん、助手席には黒田さんが座る。
「そういえば、話していなかったね。うちの適合者は何人もいるけれども八巻もその一人で、彼は犬みたいな能力だ」
「ちょ、犬っていうのやめません?確かに鼻が利くのと純粋な身体能力の向上っすけど」
「まぁ、それだけじゃないけどな。今はそうでもないけど昔は警戒心が強くて、懐く相手にはとことんみたいなところもあるからな」
最後に少し笑いながら金剛さんが補足を加えると
「それもやめましょうよ。昔は昔っす」
確かに金剛さんが見た目ほどではないことが分かったところで、目的地の区画へと辿り着いた。目の前にコンビニがあるが恐らくは既に漁り終えているのであろう。
「奥の家から順番に拝借していこうか」
そのまま団地の突き当りまで直進して車を止める。早速、降りようとドアに手をかけると静止がかかる。
「あぁ、八巻は犬みたいだと言ったろう?鼻が利くからね、人喰いの気配や食料の有無もなんとなく分かるんだ」
どうだ?と黒田さんが問いかけ、八巻さんも答える。
「人喰いが居そうなうえに食料は…って感じっす。次の家でもいいと思うっすね」
鼻が利くという能力がここまでとは思わなかった。これは確かに犬だなと失礼ながらに思っていると、すでにみんな下り始めていた。
慌てて降りると、玄関のカギは空いていたのか扉を開けていた。
リビングやキッチンから食べられそうなものを一袋ほど頂くと、その家を後にする。
手際のよさはもはや強盗並なんじゃないかとも思いながらもその後も何件か同じように回収していく。




