表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/52

~小鏑山~ 2

 ---そのニ日前、早朝の貞任の陣に偵騎が戻ってきた。


「登任の軍が、国府を出て色麻の柵に入りました。此治の兵を合わせ、その数三千に達しました。」


 偵騎を囲んで報告を聞いているのは、主将の貞任をはじめ、宗任、則任に加え、照井の柵から偵騎と共にやって来た正任の、安倍兄弟らと、経清、永衡の二人であった。


「ご苦労。一休みしたら、再び偵察へ戻ってくれ。」

 貞任はうなずいて、偵騎を立ち去らせた。


「さて、いよいよであるな。」

 貞任は、宗任をふり向いて言った。


「うむ。準備はできておる。いつでもよいぞ。」

 宗任は、兄の顔を見返す。


「散位殿らは、三郎とともに動いていただきたい。策が当たれば、敵兵の追撃をお願いする。」

 貞任は、今度は経清と永衡を見た。


「承知。」

 二人は同時に肯首する。

 

「五郎、なんじは照井の柵で登任の軍と一戦し、軽く痛撃を与えたのち空負からまけせよ。そのまま登任を誘って、上手く大沢川を渡らせるのだ。」

 正任は、次兄の顔を目を輝かせて見つめ、大きくうなずいた。


「八郎は、手はず通り儂と共に繁成の相手じゃ。」

 則任はうなずき、小さく嘲笑わらった。




 最初に正任が、朱漆の鎧に銀糸をきらめかせながら身をひるがえすと、颯爽さっそうと陣を出てていった。


 そして、ふわりと立上がった宗任に合わせて、経清と永衡も立上り、貞任に一礼すると三人は若神子原の陣の背後の斜面へと向かっていった。


 それを見送った貞任は、則任をそばに呼び、なにごとかを命じた。


 則任は、配下十人ほどを呼び寄せると、指示をだす。

 命じられた兵たちは、他のものと手分けして背後の斜面へ分け入っていった。


 数刻ののち、兵たちは大量の枯れ柴を抱えて戻ってくる。


 それを見た則任は、片眉かたまゆを上げただけで、すぐに次の指示を出す。

「まだまだ足りぬな。ふた手に分かれて、一方は柴刈りを続けよ。もう一方は敵にさとられぬように、全ての柵沿いに柴を並べよ。」


「ニ晩腹いっぱい食う分だけでよいのだ。残りは全て運び出せ。悟られるなよ。」

 貞任は、こちらも自分の配下を使って、忙しく立ち回っている。

「それから、予備の矢も忘れず持ち出すのだぞ。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ