第95話『氷結晶の激レア食材』
『黒鉄の連峰』最深部で咆哮を上げるA級危険種、フロスト・ペイン・ドラゴン。
だが、その圧倒的な巨躯も、啓太の『看破』と『クローバー』の完璧な連携の前には時間の問題だった。
「弱点の根元、冷却器官に攻撃を集中させるぞ! ダグラスさん、ルナ、抑えろ!」
「おうッ! ここは絶対に踏み止まる!」
「あたいのダイスよ、爆炎を呼べぇッ!」
ダグラスの大盾がドラゴンの鋭い爪を真っ向から受け止め、ルナのダイスが弾き出した確定バフの光が前線を強固に支える。
「シルフィ、リーネ! 根元を一気に貫け!」
「精霊の風よ、炎を抱いて駆け抜けろ!」
「『疾風炎撃』ですぅぅぅーーーッ!!」
弱点である背中の結晶根元へ、風と炎の合体攻撃が正確無比に突き刺さった。
ズドォォォォンッ!!
悲鳴とともにフロスト・ペイン・ドラゴンが崩れ落ち、洞窟内に静寂が戻る。
奥で身を潜めていたBランクの先行部隊も無事に救出し、依頼は完璧な形で達成された。
「ふぅ……無事でよかった。……ん? なんだこれ」
啓太がドラゴンの巣の奥へ視線を向けると、そこには洞窟の冷気によって透明に凍りついた、見たこともない巨大な果実のような結晶群が群生していた。
「『鑑定』……! なんだこれ、『氷晶ミツカキ』……!?」
啓太の視界に浮かんだ説明に、元コンビニ店長としての血が激しく騒ぎ出す。
【名称】:氷晶ミツカキ
【特徴】:極寒の地にしか実らない超希少な魔導果実。
凍らせてもカチコチにならず、極上の甘みとシャリシャリした食感を保つ。
「氷点下でも固まらず、シャリシャリした甘い果実……! これがあれば、あのスイーツが作れる……!」
「スイーツ……? ケイタさん、また何か思いついたんですかぁ!?」
リーネが耳をぴくぴくさせて目を輝かせる。
「ああ。コンビニの定番、食後の満足度ナンバーワンの『アイス&パフェ』だ!」
「アイス……!? 冷たくて甘いお菓子かい!?」
シルフィとルナも身を乗り出し、ダグラスも「そいつは美味そうだ」と豪快に笑う。
「『コンビニ開店』の夢に、最高の新商品候補だ。急いで王都へ帰って、試作に入るぞ!」
「「「おおーッ!!」」」
死線を乗り越えた五人は、新たな名声と「至高の激レア食材」を手に、意気揚々と王都グランドールへの帰路につくのだった――!




