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第88話『「竜の穴」発生源へ』


 作戦会議から数日後。

 十分な準備を整えた『クローバー』の五人は、再び『竜の穴』の最深部を目指していた。

 階層を下るごとに、周囲の空気は重く沈んでいく。

 魔物の発生源となっている地下深くの洞窟からは、地鳴りのような不気味な振動が微かに伝わっていた。

「ここから先は、これまでの階層とはわけが違うぞ。全員、気を引き締めろ」

 盾を構えたダグラスが、低く力強い声で前衛の陣形を整える。

「へっ、望むところだ! あたいの『豪腕』でどんな魔物もペシャンコにしてやるぜ!」

 ルナが愛用のメイスを肩に担ぎ、ギラギラとした勝負師の笑みを浮かべた。

回復術士でありながら前衛で大暴れする彼女のスタイルは、ダグラスの堅実な盾と合わさることで恐ろしい破壊力を生み出している。

「みんな、影から気配が近づいてくるよ!」

 中衛に位置する啓太の頭上で、シルフィがすばやく精霊弓を引き絞った。

「啓太、鑑定を頼む!」

「任せろ……! 『鑑定』発動!」

 啓太の視界に、暗闇から蠢き出てきた巨大な影のステータス情報が青く浮かび上がる。

身の丈三メートルを超える、黒鱗で覆われた『シャドウラプター』の群れだ。

「シャドウラプターだ! 硬い黒鱗に覆われてるが、首元と眉間の鱗が薄い! そこが弱点だ!」

「了解だ! 『看破』助かるぜ!」

 ダグラスが重厚な大盾を地面に叩きつけ、敵の注意を一瞬で自分へと引きつける。

「いっけぇぇぇッ!! あたいのクリティカルヒット食らいなッ!」

 飛び出したルナが、啓太の【強運】補正を宿した確定大成功のメイスを頭上に叩きつける!

バキィィィンッ!と凄まじい衝撃音が響き、シャドウラプターの頭部が一撃で打ち砕かれた。

「ふぁぁぁ……! ルナさんすごいですぅ〜〜っ!」

「リーネ、見とれてる暇はないぞ! 追撃の風と炎を合わせろ!」

「はいですぅ! シルフィさん、いきますぅ! 『疾風炎撃』っ!!」

 シルフィの放った風の矢に、リーネの威力を極限まで高めた炎魔法が絡み合い、巨大な火柱となって残りの群れをまとめて飲み込んでいく。

 ドカァァァァンッ!!

「よし、後衛の連携もバッチリだ!」

 啓太は剣を構えつつ、完璧に機能している五人の陣形に確かな手応えを感じていた。

脱線しまくったあの作戦会議で決めた「変な技名」と役割分担は、伊達ではなかったのだ。

「フッ……変な技名だと思ってたが、意外と様になってるじゃねぇか!」

 ルナがメイスの血を払いながら不敵に笑う。

「だろ? 俺の言った通り、士気が上がれば万々歳だ!」

 豪快に笑うダグラスの背中を追いかけながら、啓太は静かに視線を奥へと向けた。

(弱点『看破』の鑑定と、この最強のメンバーがいれば……発生源の親玉だろうと絶対に突破できる)

 絆をさらに深めた『クローバー』の五人は、いよいよ魔物蠢く最深部・発生源の間へと足を踏み入れていくのだった――!

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