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第82話『同行者、参上』


ギルドから呼び出しがあったのは、鑑定スキルの訓練を終えて数日後のことだった。受付で案内された応接室には、すでに一人の男が座っていた。


年齢は四十を超えたあたりだろうか。日に焼けた肌に、がっしりとした体格。腰には使い込まれた大剣を提げ、頬には古い傷跡が刻まれている。


「おう、お前らが噂の『クローバー』か! 待ってたぜ!」


男は勢いよく立ち上がると、豪快な笑顔で右手を差し出してきた。


「初めまして、俺はダグラス。Aランク冒険者だ。今回、お前らの発生源討伐に向けたサポート役として、ギルドから派遣されることになった」


「よ、よろしくお願いします! クローバーのリーダーをしている、啓太です」


啓太が握手を交わすと、ダグラスは啓太の手をぶんぶんと勢いよく振り回した。


「おお、いい握力だ! 見どころあるじゃねぇか! よし、これからよろしくな!」


「い、痛い痛い、腕もげそうです……!」


啓太が悲鳴を上げると、ダグラスは慌てて手を離した。


「おっと、悪い悪い。つい張り切っちまってな」


「初対面から容赦ないですね、この人……」


シルフィが小声で呟くと、ルナが興味深そうにダグラスを観察した。


「Aランクってことは、相当強いんだろうな。あたいと模擬戦、やってみたいぞ」


「お、いい心意気だ! 嬢ちゃん、名前は?」


「ルナだ。剣士やってる」


「よし、ルナ! 今度、ばっちり稽古つけてやるからな! ただし、覚悟しとけよ、俺は手加減しねぇタイプだ!」


「望むところだ!」


二人の間に、いきなり火花が散り始める。啓太が慌てて割って入った。


「ま、まずは自己紹介からお願いします……」


「おっと、そうだったな。よし、リーネちゃんとやら、こっちおいで。まずは顔合わせだ」


ダグラスがリーネを手招きすると、リーネは緊張した様子でおずおずと近づいた。


「よ、よろしくお願いしますですぅ……」


「お、可愛い嬢ちゃんだな! よし、握手だ!」


「わ、わわっ!」


ダグラスの豪快な握手に、リーネの体がぐらんと大きく揺れた。


「うおっと、悪い悪い! 力加減、まだ慣れてなくてな!」


「い、いえ、大丈夫です……たぶん」


リーネがふらつきながらも答えると、ダグラスは豪快に笑った。


「よし、それじゃあ改めて自己紹介といくか。俺はダグラス、二十年近く冒険者やってる。専門は前衛での盾役と、力押しでの突破だ。まあ、要はどんな敵が出てきても、正面からぶん殴れば大体なんとかなるってタイプさ」


「それ、かなり脳筋な戦い方な気がしますが……」


シルフィが苦笑しながら呟くと、ダグラスは胸を張った。


「いいところに気づいたな、嬢ちゃん! だが、これがなかなか効果的なんだぜ。とにかく、俺に任せておけば、前線は安心だ!」


「その自信、頼もしいような、ちょっと不安なような……」


啓太が苦笑いを浮かべていると、ダグラスは急に真剣な表情になった。


「まあ冗談はさておき、発生源討伐は簡単な話じゃない。俺も過去に、似たような強敵と何度か対峙したことがある。お前らの力になれるよう、全力を尽くすぜ」


その言葉には、これまでの豪快な雰囲気とは違う、確かな重みがあった。


「ありがとうございます、ダグラスさん」


啓太が改めて頭を下げると、ダグラスはニカッと笑った。


「よし、堅苦しいのはここまでだ! 早速だが、お前らの実力、見せてもらってもいいか?」


「今からですか?」


「善は急げってやつだ! おい、訓練施設借りるぞ!」


ダグラスが職員に声をかけると、あっという間に話が進み、四人とダグラスは訓練施設へと移動することになった。


「なんか、すごい勢いの人ですぅ……」


リーネが少し圧倒された様子で呟くと、ルナがニヤリと笑った。


「面白いじゃねぇか。ああいうタイプ、あたいは嫌いじゃないぜ」


「まあ、悪い人ではなさそうだね」


シルフィも苦笑しながら同意する。


訓練施設に着くと、ダグラスは早速大剣を構えた。


「よし、まずはルナ、お前と一戦やろうか。遠慮なくかかってこい!」


「望むところだ!」


ルナが新しい両手剣を構え、勢いよく飛び出した。剣戟の音が響き渡る中、啓太たちはその様子を見守った。


「意外と、いいコンビになりそうだな」


啓太が呟くと、シルフィとリーネも笑顔で頷いた。


「わたしたちも、負けてられませんですぅ!」


「ああ、みんなで力を合わせて、発生源討伐に向けて頑張ろう」


夕暮れの訓練施設に、剣戟の音と賑やかな声が響き渡る。新たな仲間を迎えた『クローバー』は、また一歩、目標に向かって前進していくのだった。


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