第48話『アースゴーレム討伐』
『黄昏の地下迷宮』三層――。
薄暗い大空洞にたどり着いた啓太たちの前に、異様な気配を放つ巨体が立ちはだかっていた。
体長五メートルを超える岩石の巨人――試験の標的である『アースゴーレム』だ。
胸の開口部には、目標である赤く輝く『魔導核』が見え隠れしている。
「みんな、来たぞ! 陣形を維持しろ!」
「「「はいっ!! / おうっ!」」」
『ゴオォォォォォンッ!!』
地響きのような咆哮とともに、アースゴーレムが丸太のように太い岩の腕を叩き下ろしてきた。
「あたしに任せて! 精霊の風よ、軌道を変えて――『ウィンドバリア』!」
シルフィの放った風の障壁がゴーレムの腕をわずかに滑らせ、直撃を削る。
そこへルナがすかさずダイスを放り投げた。
「いっけぇぇ! あたいの全額勝負!!」
カアァァァッ!
またしても出目はゾロ目の6(大勝利)。啓太たち全身に重厚な物理防御の聖光が宿り、衝撃波すら完全に無効化する。
「うっひょ〜〜! 傷ひとつ付かねぇ! あたいの魔法、マジで無敵すぎるだろ!」
「ルナ、調子に乗るな! 相手の硬さは本物だ。普通に叩いても拉致があかない!」
啓太は大剣でゴーレムの足を牽制しつつ、後ろの「真の主砲」へと合図を送った。
「リーネ! ガッツリ溜めてドカンといけ!」
「はいっ! ケイタさん特製のエネルギーバー、二本注入完了ですぅ!」
モグモグと特製スティックを飲み込んだリーネの体から、猛烈な密度の魔力が渦を巻いて溢れ出した。長くて綺麗な耳がピンと立ち、青い瞳が青白い光を帯びる。
「みんなを守るために……あたい……じゃなくて、わたし、全力でいきますぅ!!」
「あたいの真似すんじゃないよ! でもいいぞ、やっちまえ!!」
ルナの声援を受け、リーネが杖を高く掲げた。
空洞内の空気が狂暴に圧縮され、一箇所に集約されていく。
「風の精霊よ、すべてを穿ち破りなさい――『極大風刃波』っ!!」
ドカアァァァァァンッッ!!!!
放たれたのは、もはや魔法というより巨大な大砲の着弾だった。
暴風の刃がアースゴーレムの巨躯を飲み込み、分厚い岩の装甲をバリバリと削り取っていく。
『ゴガアァァァ……ッ!?』
「よし! 胸の核が剥き出しになったぞ! シルフィ!」
「任せて! 一寸の狂いもなく――射貫く!」
シュバッ!
シルフィの放った風の矢が吸い込まれるようにゴーレムの胸の中央へ突き刺さり、露出した赤色の『魔導核』を綺麗に打ち砕いた。
『ゴオォォ……ッ……』
巨体はガラガラと音を立てて崩れ落ち、ただの岩の山へと姿を変えた。
静寂が戻った大空洞に、転がり落ちてきた赤く光る『コア(核)』の音が響く。
「やった……! 倒したよ、ケイタ!」
「ふぁぁぁ〜〜……! 魔法使ったら、やっぱりお腹すきましたぁ〜〜……」
「へたり込むなリーネ! ほら、特製おにぎりだ」
「ふぁっ!? ケイタさん大好きですぅ〜〜!」
即座におにぎりにかぶりつくリーネを見て、ルナとシルフィが爆笑した。
「ハハハ! 最高のパーティーだなここは! あたい、マジで『クローバー』に入れてよかったぜ!」
「ふふ、これで無事に試験合格だね!」
崩れ去ったゴーレムの核を拾い上げ、啓太は三人の顔を見渡した。
元店長の作戦と【強運】、シルフィの弓、リーネの大魔法、ルナの確定クリティカル回復。
完璧なチームワークで挑んだ試験は、圧倒的な大勝利で幕を閉じたのだった。




