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第44話『巨大都市グランドール!紹介状一通で本部ギルド騒然』


 フォレストピアを出発してから翌日の夕刻。

 平原の向こうに、夕日を浴びて黄金色に輝く巨大な外壁がその姿を現した。

「うわあぁぁ……っ! すごい……! これが王立都市グランドール……!?」

 シルフィが街道の途中で足を止め、感嘆の声を漏らした。

 視界を埋め尽くすほどの高さを誇る白亜の城壁。その中央にそびえ立つ重厚な大門からは、絶え間なく馬車や商人、そして色とりどりの装備を身にまとった冒険者たちが行き交っている。

「ふぁぁぁ……! フォレストピアの街がまるごと何個も入っちゃいそうなくらい大きいですぅ〜〜っ!」

 リーネも長くて綺麗な耳をピクピクと揺らし、目を輝かせて見上げている。

「ああ、想像以上だな……」

 啓太は元店長としての視線で、街の熱気と物流の規模に圧倒されていた。

街門へと続く街道には多種多様な露店が立ち並び、活気あふれる呼び込みの声が響き渡っている。まさに王国の経済と冒険者の中心地だ。

 通行手続きをスムーズに終え、啓太たちは都市の内部へと足を踏み入れた。

 整然と舗装された石畳の広大な大通り。立ち並ぶ重厚な石造りの建物。

すれ違う冒険者たちの装備の質も、フォレストピアとは段違いだった。背中に巨大な魔力帯びた武器を背負う者、全身を凄まじい精霊銀(ミスリル)で固めた者――明らかにBランクやAランクと思われる猛者たちがゴロゴロと歩いている。

「ケイタ、みんなすごく強そうだね……」

「ああ、気を引き締めていこう。まずは本部ギルドへ向かうぞ」

 啓太はポケットの中にある、フォレストピアのギルドマスターから託された『紹介状』の感触を確かめた。

 大通りをしばらく進むと、街の中央広場にひと際巨大な建造物が鎮座していた。

王国冒険者ギルド本部――巨大な剣と盾の紋章が掲げられたその館は、まるで小さなお城のような威容を誇っていた。

 重厚な観音開きの扉を押して中へ入ると、一瞬で熱い熱気と喧騒が啓太たちを包み込んだ。

『ガハハハッ! 今日のダンジョン攻略も大儲けだぜ!』

『おい見たか? 北の魔境にSランクの魔物が出現したらしいぞ!』

 無数の冒険者たちが酒杯を交わし、巨大な掲示板に群がっている。

フォレストピアのギルドとは比べものにならないスケール感に、シルフィとリーネは思わず啓太の背中にキュッと寄り添った。

「いらっしゃいませ。こちらは本部冒険者ギルドです。ご用件はお問合せですか、それともご依頼でしょうか?」

 受付カウンターへ向かうと、洗練された制服を着こなすベテランの女性職員が、丁寧な会釈で出迎えてくれた。

「フォレストピアのギルドマスターから紹介状を預かってきました。パーティー『クローバー』の啓太です。本部にギルド登録の移籍と、昇格の相談に来ました」

 啓太が受領書と紹介状を手渡すと、職員の女性は一瞬「フォレストピア……?」と首を傾げたが、封書を開いて目を通した瞬間、その表情が劇的に変わった。

「っ……!? こ、これは……っ! ガルバ鉱山の変異種『グラナイトベア』をわずか一日で単独撃破……!? しかも王都の行政監察官ヴァルター補佐官の不正を暴き、金貨五十枚の全額賠償を勝ち取った……!?」

 職員の驚愕の声が、静まり返った受付周りに響き渡った。

「な、なんだと……? あの悪名高い変異種を一日で……!?」

「地方の駆け出しパーティーだろ!? バカな……!」

 周りにいた高ランクの冒険者たちが、一斉に驚きと不審の混ざった視線を啓太たちへと向けた。

「大変失礼いたしました……! ギルドマスター直筆の保証印、間違いなく本物です!」

 職員は姿勢を正すと、深々と頭を下げた。

「パーティー『クローバー』の皆様。貴方様方の実力と功績は、すでにEランクの域を完全に超えております。つきましては、本部ギルドの規定に基づき――**『D〜Cランク合同大昇格試験』**への参加資格を即座に付与させていただきます!」

「昇格試験、ですか」

「はい! 本日より三日後、このグランドール近郊の『黄昏の地下迷宮』にて行われる大型試験です。これに合格すれば、一気にCランク冒険者への昇格が認められます!」

「ふぁぁぁ……! Cランクですかぁ!? 一気にふたつもランクが上がっちゃいますぅ!」

 リーネが驚きで耳をパタパタと揺らし、シルフィも「ケイタ、やったね!」と嬉しそうに啓太の腕を掴んだ。

「分かりました。その昇格試験、受けさせていただきます」

 啓太が力強く頷くと、周りの高ランク冒険者たちの視線が鋭さを増した。

期待、嫉妬、そして「地方の成り上がり」に対する観察の目。

(上等だ。どんな試験だろうと、俺たちの『クローバー』の力を見せてやる)

元店長の冷静な分析力と作戦。シルフィの正確無比な弓。リーネの規格外の大魔法。

新天地グランドールにて、三人のさらなる高みへの挑戦が、今まさに始まろうとしていた。

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