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第41話 『【幕間】「お腹いっぱい食べていい」と言ってくれた人』


 お弁当を食べ終えたわたしは、長くて綺麗な耳をふわふわと揺らしながら、おっとりとした口調で胸を撫で下ろした。

「〜〜っ、本当に美味しかったですぅ……。ケイタさんは命の恩人ですぅ……」

「……それにしても、すごい食べっぷりだったな。さっきギルドで揉めてたのを聞いてたんだが……やっぱり食費で揉めて追放されたのか?」

 ケイタさんに尋ねられ、わたしは長くて綺麗なエルフ耳をキュッと萎ませて、落ち込んだように視線を落とした。

「前のパーティーの人たちには『大飯食らい』って怒られちゃいましたけど……わたし、魔法を使うと 本当にすぐお腹が空いちゃうんですぅ。魔力を回復させるためには、たくさん食べないとダメなんですぅ……」

「なるほどな。燃費が悪い高級車みたいなもんか」

 ケイタさんは納得したように深く頷いた。

「ねえケイタ、どうしよう? リーネさん、借金もあるみたいだし、このままだと路上で倒れちゃいそうだよ……」

 シルフィちゃんが心配そうにケイタさんの顔を覗き込む。

ケイタさんは腕を組み、目の前でおっとりとお腹をさすっているわたしをじっと見つめた。

「リーネ、さっき前のパーティに立て替えられた借金って、いくらなんだ?」

「えっと……大銀貨二十枚ですぅ。ギルドに返済しないと、新しい依頼が受けられないんですぅ……」

「大銀貨二十枚か」

 ケイタさんはそう呟くと、ポケットからズッシリと重い革袋を取り出した。

「リーネ。その借金、俺たちが立て替えて払ってやるよ」

「ふぇ……!? き、金貨が入った袋ですぅ……!? ほんとうですかぁ!?」

 わたしの大きな青い瞳が丸くなり、おっとりした声が一瞬跳ね上がった。

「ただし、条件がある。俺たちのパーティ『クローバー』に加入すること。そして、借りた金は依頼の報酬から少しずつ返してもらう。それでどうだ?」

「け、ケイタさん……! わたしをパーティーに入れてくれるんですかぁ!?」

 わたしは信じられないといった様子で口元を両手で覆った。

「でもでも、わたし、すっごく大食いですよぉ……? 食費でまた迷惑かけちゃうかもしれませんぅ……」

「食費の件なら心配いらないよ!」

 シルフィちゃんがニッコリと笑顔で助け船を出してくれた。

「ケイタはすっごく料理が上手だし、あたしたち『クローバー』はすっごく運が良いんだから! 美味しいもの、いっぱい食べて魔法をドカンと使ってくれればそれで大満足だよ!」

「シルフィさん……っ! ケイタさん……っ!」

 二人の優しさに、わたしの瞳からボロボロと大きな涙が溢れ出した。

「うぅ……ありがとうございますぅ……! わたし、一生懸命がんばりますぅ! ケイタさんとシルフィさんのために、いっぱい魔法使いますぅ……!」

 その直後。

三人は受付カウンターへと向かい、ギルド職員へわたしの借金大銀貨二十枚を全額返済した。

「……えっ!? リーネさんの借金を全額返済……!? しかも新しくパーティに勧誘されたのですか!?」

 受付の職員さんは目を丸くして驚いていたけれど、手続きは迅速に行われ、無事にわたしは『クローバー』の正式メンバーとして登録されたのだった。

「ふぁぁ……すっかり借金が無くなってスッキリしましたぁ。……あ、でも、なんだかまた少しお腹が空いてきた気がしますぅ……」

「はは、さっきあんなに食べたばかりだろ。よし、まずは宿に行って荷物を置いて、今夜は三人で歓迎会をやろう」

「歓迎会ですぅ!? 美味しいもの食べられますかぁ!?」

「ああ、お前が満足するまで食わせてやるよ」

「わーいっ! ケイタさん大好きですぅ〜〜!」

 おっとりとした笑顔でケイタさんの腕にしがみつくと、ケイタさんは少し照れくさそうに苦笑いした。

(――わたしを『大飯食らい』なんて呼ばない。わたしの価値を認めてくれた、温かい居場所……)

 溢れ出る感謝の気持ちで胸をいっぱいにしながら、わたしは新しい仲間たちと一緒に、輝く明日へと歩み出したのだった。

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