第110話『フランチャイズ構想』
感謝祭の熱狂から数日後の夜。
閉店後の静かな店内で、五人はテーブルを囲んで冷たい『極上氷晶パフェ』を突き合っていた。
「ふぁぁぁ〜〜……! 感謝祭、大成功でしたねぇ〜〜っ! 街のみんながすごく喜んでくれましたぁ〜〜っ!」
リーネがスプーンを手にほっこりと頬をゆるめる。
「ああ。これで王都1号店の経営は完全に軌道に乗った。セキュリティも、流通ルートも、スタッフのオペレーションも完璧だ」
啓太は仲間たちの顔を順番に見つめ、手元のノートを開いた。
「……だからこそ、俺は次のステップへ進みたいと思っている」
「次のステップ……?」
シルフィが不思議そうに首をかしげる。
「『フランチャイズ構想』――つまり、この『クローバーマート』の2号店、3号店を、世界中の他の街や国に作っていくことだ」
「「「……えええっ!?」」」
驚く仲間たちに向かって、啓太は熱っぽく語りかけた。
「王都だけじゃない。他の街にも、寒さに凍える冒険者や、美味しいものを手軽に食べたい子どもたちがたくさんいるはずだ。……俺たちの作った『便利と笑顔』を、世界中に届けていきたいんだ!」
「世界中に……あたしたちのお店を……!」
シルフィの瞳が、希望の光で大きく見開かれる。
「へっ……言うようになったじゃねぇか、店長! あたいも大賛成だぜ! 王都に閉じこもってるなんて、あたいら『クローバー』の柄じゃねぇからな!」
ルナが豪快に笑い、メイスをドンと床に突いた。
「おう! どこへ行こうと、俺の盾がみんなと新しい店舗を守ってやるさ!」
ダグラスも頼もしく胸を叩く。
「わたしも……わたしもどこまでもついて行きますですぅ! 新しい街の美味しい食材で、もっといっぱい新商品を作るですぅ〜〜っ!」
リーネが立ち上がり、元気に両手を挙げた。
「みんな……ありがとう」
元コンビニ店長として異世界にやってきた啓太。
最初は一人で始まった夢が、今や最高の仲間たちの夢となり、世界へ向けて大きく羽ばたこうとしていた。




