第107話『究極の直仕入れ』
啓太の指示を受けた『クローバー』の面々は、すぐさま王都郊外へと飛び出した。
「精霊たちよ、豊かな恵みをもたらす農家への道を教えて!」
シルフィの精霊魔法に導かれ、五人が訪れたのは王都の西に広がる小さな農村だった。そこでは、大手のガルド商会に安値で叩かれ、行き場を失った高品質の魔導野菜や新鮮なミルクが大量に余っていた。
「えっ……本当にこんな高値で買ってくださるのですか!?」
村長が信じられないといった様子で、啓太の手から金貨を受け取る。
「勿論です。この『甘味タマネギ』も『濃厚ミルク』も、品質は王都の問屋のものより遥かに素晴らしい。『クローバーマート』では定期的に適正価格で全量買い取らせていただきます」
「おお……! ありがたや、ありがたや……! ガルド商会に不当に買い叩かれて、村が潰れるところだったのです……!」
村人たちが涙を流して感謝し、採れたての最高級食材が次々とトラック……ならぬ、ダグラスの引く頑丈な大型馬車へと積み込まれていった。
「啓太! こっちのダンジョン周辺の採集ポイントで、見たこともない激レアハーブが見つかったぞ!」
ルナが『鑑定』の指示に従って見つけ出したのは、肉の旨味を何倍にも引き立てる幻のスパイス『香王草』だった。
「素晴らしい……! これを使えば、あの『フライドチキン』がさらに美味しく化けるぞ!」
問屋からの供給を止められたことで、逆に『クローバーマート』の食材レベルは跳ね上がり、仕入れコストは大幅にダウン。
翌日、王都の店に並べられた商品は、これまで以上の圧倒的な香りと旨味を放っていた。
「う、う美味ぁぁぁぁッ!? 今日の肉まん、肉汁の旨味が昨日までと全然違うぞ!?」
「フライドチキンも皮がパリッパリでスパイシーだ! なんだこの美味さは!?」
ガルド商会が供給を止めたはずの『クローバーマート』は、休業するどころか「さらに美味しくなった」と大絶賛され、店内は過去最高の人集かりで埋め尽くされたのだった。




