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第102話『グランドオープン』


 朝日が王都グランドールの街並みを黄金色に染め上げる頃、メインストリートはかつてない熱気に包まれていた。

「おいおい、見ろよあの行列! 朝一番から何事だ!?」

「知らないのか!? あの『竜の穴』を攻略した有名パーティー『クローバー』が、見たこともない新しい店を開くらしいぞ!」

「あのアツアツで美味い肉まんや、冷たいパフェがいつでも買えるって噂だ!」

 開店の1時間前にもかかわらず、店舗の前にはすでに百人を越える長蛇の列が出来上がっていた。冒険者、商人、買い出しの主婦、子供たちまで、誰もが新店舗の開店を今か今かと待ち望んでいる。

 店内のレジ裏で、啓太は呼吸を整え、制服姿の仲間たちを見渡した。

「みんな、準備はいいか? 想像以上の人出だが、焦る必要はない。俺たちが作ってきたオペレーション通りにやれば、絶対に最高の接客ができる」

「うん! あたしたちの連携があれば、お店の切り盛りだって楽勝だよ!」

 シルフィが精霊弓を構えるかのように爽やかに微笑む。

「笑顔でお客さんをお迎えしますですぅ! 『いらっしゃいませ』の練習もバッチリですぅ!」

 リーネが両手を握りしめて意気込む。

「へっ、あたいの神レジ打ちとスマイルを見せてやるぜ! 何人来ようが捌いてやる!」

「整列と安全確保は任せとけ。安全第一でご案内するぞ!」

 ルナとダグラスも頼もしい言葉を口にした。

 啓太は壁の時計を見つめ、長針が正時を指した瞬間に力強く頷いた。

「よし……『クローバーマート』、グランドオープンだ!」

 カチャンと鍵が開けられ、啓太が店舗の重厚なドアを大きく押し開いた。

「「「いらっしゃいませ!! 『クローバーマート』へようこそ!!」」」

 五人の元元気な挨拶が響き渡ると同時に、待ちわびていた客たちが怒涛のように店内へと雪崩れ込んできた。

「うわぁぁぁッ!? なんだこの綺麗なお店は!?」

「温かいものと冷たいものが、同じ透明な棚に並んでるぞ!?」

「商品が全部手にとって見られる! すごい便利だ!」

 店内に入った客たちは、整然と並んだ魅力的な商品群と、オレンジとブルーに輝く魔導ショーケースの美しさに一瞬で目を奪われた。

「はいっ! あつあつの『特製肉まん』と『フライドチキン』ですね! ありがとうございます!」

 シルフィが手際よく竹紙に商品を包み、笑顔で客へと手渡していく。

「冷たい『極上氷晶パフェ』は、こちらのスプーンでお召し上がりくださいですぅ! お買い上げありがとうございますですぅ〜〜!」

 リーネの可愛らしい接客に、買い求めた客たちが「おお、なんて心地いい店だ……!」と目を細める。

「お会計、銀貨3枚になります! はい、お釣り銀貨2枚と銅貨5枚! 毎度ありッ!」

 ルナの手先はまさに神業だった。勝負師時代に培った抜群の指先と暗算能力で、飛ぶように売れていく商品の会計を寸分の狂いもなく爆速で処理していく。

「列の後方のお客様、順番にご案内しております! 押し合わずにゆっくりお進みください!」

 ダグラスが持ち前の巨体と通り通る声で店内と店外の混乱を完璧に防ぎ、怪我人一人出さない完璧な誘導を行っていた。

 そして啓太は全体を見渡しつつ、バックヤードからの迅速な商品補充と、レジのフォローを完璧なタイミングでこなしていく。

(これだ……! これが、俺が異世界で作りたかった『コンビニ』の光景だ……!)

 店内には、商品を手にした客たちの感動と驚き、そして溢れんばかりの笑顔が広がっていた。

 初日の営業は、準備していた数千個の全商品が夕方を待たずに完全完売という、伝説的な大成功を収めたのだった。

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