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第20話 月の国に行ってみるか?

ルアンは自分の小屋でとある雑誌を読んでいた。


-遡ること2時間前-


ルアンはエドのところにパンを買いに来ていた。


(こいつは1番めんどくさいんだよな…)


月見祭でダンスを踊ってからと言うものの、


ルアンはファンクラブ会員たちに目をつけられて


顔を合わせるたびに面倒なことになっていた。


パン屋に入ると店の奥から出て来たエドば


笑顔をなくし、ルアンに言い捨てた。


「お前…用務員だからって抜け駆けは許さない。ファンクラブに入って規約を守れ。」


「あいにくですが…僕は規約などで縛られたくないので。

それに…あなたたちなど敵ではありません。」


「なっ…ステラの代わりじゃなかったら

うちのパンは売ってないんだからな…?

ここ最近ステラもいないし、お前の顔を見るのもうんざりだ。」


そう言いながらエドは店の奥からパンを取りに行った。


ルアンは頭を掻いて待っていた。


(こんなところ早く帰りたいな…ん?何だこれは?)


ルアンは積み上げられている雑誌の中に


ステラの似顔絵が書かれている雑誌を見つけたのだ。


題名は-ファンクラブ会報10月号-


今は11月なので先月号だ。


(なんて悪趣味なんだよ…)


しかしルアンは辺りを見回し、誰もいないか確認した。


(先月号だし、これは危険なものだから回収しておこう。)


ルアンは会報をこっそり隠し持って帰った。


そして今現在、小屋に戻り、この雑誌を読んでいた。


(なんてくだらねぇもん作ってんだよ。)


ステラの好きなパンははちみつトースト

「これは俺も知ってる」


ペラ-


子どもたちと裏庭に行った際にこけていた。

「そうなのか」


ペラ-


紅茶はロイヤルミルクティーが1番好き

「へぇ…」


ペラー


休日はよく孤児院の裏庭で本を読んでいる

「いない時があると思ってたが、裏庭にいたのか…」


ペラー


その時だった。


「ルアンっ!!いる?」


ステラが勢いよく、小屋のドアを開けて入って来たのである。


ルアンは大慌てで雑誌を布団の中に隠した。


「おまえっ、いきなり勝手に入ってくんじゃねーよっ!」


ルアンは冷や汗を垂らしながら叫んでいた。


「え、ごめん。興奮してつい……今、何か隠した?」


「隠してねぇ!」


「今絶対隠したよね?」


「気のせいだ!帰ったばかりだろ?ここじゃ何だし、広間に行こうぜっ!」


ルアンはステラを孤児院の広間の方へ行くよう促した。


「それでね、ルアンに相談があって来たの」


ステラは椅子に座った。


「お茶でも飲むか?」


「え、いいの?」


ルアンは慣れた手つきで紅茶を淹れる。


しばらくしてカップを差し出した。


「はい」


ステラは一口飲んで目を丸くする。


「ロイヤルミルクティーだ!」


「偶然だ。」


「え?」


「いや、なんでもない。」


「私これ好きなんだよね!」


「……そうか。それで話って何だ?」


「実は、今回の勉強会で私の意見が通してもらえそうで、

隣にある古い屋敷を改装して、図書館を作ってもらえることになりそうなの!」


「へぇ。確かにここらには図書館は無いもんな。」


「テルス王子が賛同してくださって、次々に話を進めてくださったの。」


「あいつが?」


「テルス王子は本当に素晴らしい方だわ。おまけに優しいし、かっこいいし…」


「なんだよそれ、お前あいつが好きなのか?」


「えっ、そんなんじゃ無いけど…?」

(何よ突然)


「まぁ、いいけど?」


「でも一つ問題があって、貯蔵する本が不足してるのよ。

本は高価だし、寄付だけじゃ全然追いつかなくて。」


「ふむ。」


「それで、テルス王子が一緒に外国に探しに行かないかって言ってて…」


「はぁ?どんだけ時間掛かると思ってんだよ?何考えてんだあいつ。」


「いや、私もそうだなって思ってた。」


そして、ルアンは少し黙ってから口を開いた。


「…月の国なら大量にある。」


「え?」


「月の国は古くからの記録があるから、

天文学や歴史書、神話や童話まで溢れるほどあるな。」


「そ、そうなの?でもルアンは帰れないんでしょ?

それに言葉だって違うんじゃない?」


「それが、最近、月の光があればある程度の魔力が使えるようになったんだ。おそらく、満月の夜なら月の国に戻れるかもしれない。」


「そうだったんだ…」


「それに、月の民を舐めるなよ。この国の言葉だって俺が魔力で合わせてたんだ。翻訳だって魔法ですぐできるさ。」


「それは、凄いわね。」


「どうだ?俺が月の国に連れて行ってやるよ。

テルス様と外国なんか行ってるよりも、圧倒的に効率的だ。」


ルアンは腕を組んで、自信たっぷりの顔でステラを見ていた。


「確かにこんな素敵な話、ないわね…」


「だろ…決まりだな。」

(これでテルスと外国行きは無しだな…)


「でも、ここを離れるなら代わりの先生もいるわ…」


-翌日-

ルアンとステラはテルスの元へ来ていた。


「………ということなんです。」


ステラは事情を説明していた。


「行ってらっしゃい。」


テルスは微笑んだ。


だがその笑顔はどこか寂しそうだった。


テルスはすんなりと2人の意見を聞き入れた。


「え?」


「図書館を作るためなんでしょう?」


「はい。」


「ステラ先生たちが不在の間、王宮から教師や料理人などを派遣いたします。」


「本当ですか!?」


「はい、僕も顔を出しますし。安心して下さい。」


「ありがとうございます。」


「問題は、伯父様が許してくれるかどうかですね。

僕の方で推薦文と支援計画書を送っておきます。」


「本当にありがとうございます。」


「あと、ルアンさん。」


テルスはルアンの目をまっすぐ見て話した。


「何だ?」


「ステラ先生のこと傷つけたら、ただじゃおきませんからね。」


「言われなくても分かってるよ…。」


2人は蛇とマングースのようにバチバチとしていた。


「な、仲良くしましょうっ!?」


ステラは2人を宥めていた。


そして、王宮を後にし、2人はローゼン伯爵邸に向かっていた。


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