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第11話 テルス王子の過去

「あの、ルアン。今日はテルス王子が急遽ご一緒に手伝ってくれることになったから、今日はお休みしても大丈夫そう。ごめんね、突然。」

「あいつにこなせるかは分からないけどな。

まぁ、ラッキーってことにしておくよ。」

ルアンはそう言って小屋に戻っていった。


一方テルスは王子にも関わらず、

泥だらけになりながらも子どもたちと遊んでいた。


その後、授業の時間でも

国の歴史や童話など、さまざまな話を子どもたちに教えていた。

昼食も子どもたちと同じようにとり、

最初は緊張していた子どもたちもあっという間に 

心を開いていた。

(きっとこの人は人を惹きつける才能があるんだな…

やっぱり王族は違うのね…)

ステラはテルスが想像以上に子どもたちに尽くしてくれてとても嬉しくなっていた。

ただ、一件だけ気になっていることがあった。

何をするにも自分と近いのだった。


子どもたちと畑に水をやる時も、授業をしている時も、ご飯を作っている時も…

(近いっ…距離バグってませんか?)

ステラは冷や汗をダラダラと流していた。


ステラはテルスにバレないように少しずつ距離をとっているのだが、自覚がないのか気がつくとすぐ横にいた。

夕方、夕食の準備をテルスと2人で用意していた。

なんと、テルスは料理も達者にできていた。

「ずいぶん慣れていらっしゃいますね。」

「ええ、昔教わったことがあるのですよ。この場所で。」

「え?」

「私がここに視察に来た本当の理由は、あなたのお父様に恩返しがしたかったからです。」

ステラは驚いた表情だった。

するとテルスは手を止めてステラを見つめながら話し出した。


「…実は、昔私は家出をしたことがあるのです。

おそらく、貴方はまだ生まれてない頃の話でしょう。

幼かった私は、王宮の生活が本当に窮屈でした。

それで、よくこっそり王宮を抜け出したのですが、

ある日、運が悪いことに盗賊に襲われ、

命を落としかけたことがあります。

その時、私を助けてくださったのが、

あなたのお父様でした。」

「父がですか?」

「はい。それでも私は見つかればすぐに

王宮へ連れ戻されると思い、

身分を隠して孤児のふりをしていたのです。」

「お、思い切りましたね。」

「ふふ。今思えば、ずいぶんと浅はかでしたね。

それでも、あの方は何も聞きませんでした。

私が王子であろうと、名もない子供であろうと

関係なかったのでしょう。

数日後、護衛たちが私を見つけました。

王子だと知った後も、あの方の態度は何一つ変わりませんでした。叱る時は叱り、褒める時は褒める。

ただ一人の子供として接してくださったのです。

王宮では皆が私を『王子』として見ていました。   

ですが、あの方だけは違いました。」


「…父とそんな繋がりがあったのですね。」


「私はあの孤児院で初めて、自分が王子である前に、

一人の人間になれたような気がしたのです。」


「そうだったんですね。なんだか、父に会いたくなってきましたね。」

2人は同じ人を想い、笑い合っていた。


そこにルアンがやってきた。

「ステラ。俺今日も夕飯はいらな…」

ルアンはステラとテルスが2人きりで話し込んでいるところにバッタリと立ち会ってしまい、戸惑っていた。

「あぁ、立て込んでるところすまなかったな。」

「ルアン?どこ行くの?」

「さーな。俺は出かけるから」

そう言ってルアンは去ってしまった。

テルスはルアンが自分を睨みつけていることに気づいていた。


「彼はいつからここにいるのですか?」

「半年くらい前からです。いつも手伝ってくれていて、

とても助かっているんです。」

ステラは、ルアンが空から落ちてきた

月の国の王子という事はバレてはまずいと思い、 

隠すことにした。

「そうですか…彼も子どもたちから好かれていて

良いですね。

それはそうと、ステラ先生。

どうしても今日のお礼がしたいのですが、

このあとお食事にご一緒してもらえませんか?」

「このあとですか?」

「はい、どうでしょう?」

ステラは戸惑っていた。

「とても嬉しい御言葉ですが、

お恥ずかしながら私、

殿下の隣で歩くような服を持っていないのです。

私には分不相応でございます。」

「何を言っておられるのですか。

今日は私も王族としてではなく、

一人の人間としてお誘いしているのですよ。」

「?」

そして、驚くことにテルスも

ステラの平民姿に合わせた格好をしていた。

「では決まりですね。」

「え、ちょっと待ってください!」

「待ちませんよ。」

テルスは笑いながらそう言った。


子どもたちはエミリア先生が見てくれることになった。

「王子殿下が先生とお話ししたいだなんて、

この孤児院にとっても大事なことですよね。   

もう、私の事は気になさらず楽しんできてくださいっ!」

とステラ以上にテンションが上がっていた。


2人は街に向かっている途中だった。

数歩離れたところで、平民姿の護衛が1人後ろに付いていた。

「殿下にこんな格好をさせてしまい申し訳ありません。」

「いえいえ、元から私はこう見えて、

こうやって変装して街に出ていたりするんですよ。

王族の格好をしているとどうしても目立って、

好きなように動けないんですよね…」

「そうなのですね。」

「子どもの頃から脱走癖がありますから」

「あ、そうでしたね…」

「今日は美味しいお店を知っているので

そちらでお食事をしましょう。

庶民向けで、畏まる必要がなくて、私も落ち着くんです。」

テルスはそう言うと、ステラに歩調を合わせながら歩き出した。


はじめまして。

拙い文ですが、

いつも読んでくれてありがとうございます。

キャラに愛情を込めて描いているので、

皆さんの推しキャラなどで盛り上がってもらえると幸いです。


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