影VSナト&ピサロ
「ナト、俺に支援魔法を!影に能力低下魔法をかけろ!」
「今もうやってるよ!MPがきつい!3分でひとまず撤退するぞ!」
爆風で飛ばされたナトとピサロは、二体の影と戦っていた。
戦闘を開始してから、まだ10分もたっていないのだが、その前からの戦闘のせいで消耗が激しく、かなり不利な状態になっている。
「っく!【アイシスペリュシオン】……効いてない!?」
「おりゃぁ!【ライジングスラッシュ】んな!跳ね返された!?」
2人が魔法とスキルを同時に使ってしまった。
これまでは片方が攻撃し、もう片方が味方を守る……こういう構成だったはずだ。
しかし、2人が同時に攻撃をしてしまったせいで、一瞬だが隙が生まれる。
影はそこを的確に狙ってきた。
「アワレナコトヲ。シネ」
影は前衛のピサロだけに集中攻撃をする。
斬撃、魔法、毒、打撃……攻撃が繰り返される。
「う……うが……こ、この……ぐ!」
ナトは思わず目をつむる。あまりにもむごく、見られたものではないのだ。
数十数百の攻撃が終わったあと、ナトは目を恐る恐る開ける。
そこには血まみれで全身傷だらけで倒れているピサロの姿があった。
「ピサロ!」
思わず大きな声で叫ぶ。
ナトに回復魔法は使うことができない。
「う、う……あ……な、ナト……はぁ、はぁ」
息も耐え耐えにピサロはどうにか言葉を紡ぐ。
「ピサロ!それ以上叫ぶな!死ん……」
「逃げろ!」
ナトの言葉が言い終わる前に、ピサロは叫ぶ。
「逃げろ!ここは、俺が……守る!お前は……カリンへ行け!……頼む」
「そんなこと!」
「頼む!お前が助かれば、勝率が上がる!」
ナトは、何も言い返せなかった。
「……ピサロ……死ぬな」
「あぁ……」
ナトはそれだけ言うと、駆け出す。
影がナトに向かおうとするが、ピサロがその前に立ち塞がる。
「ここは俺が守るって決めたんだよ!通らせるかってよ!」
「オロカ」
影が初級魔法を撃ち込む。
回避もできずにピサロに直撃する。
ピサロは倒れた。
「バカナモノヨ」
影はそのまま前に進む。しかし、足が動かない。
足を見ると、ピサロがしっかりと掴んでいた。
「はぁ……はぁ……【セブンススラッシュ】」
そう、しっかりとつぶやいたのであった。
十分ほど経った。
そこにあるのは二つの黒い影と、横たわるピサロ。
ピサロは今度こそ経つことはなかった。
ピサロは死んだ。
必ず勝ってくれるという仲間への希望を呟いて。




