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現代を息づく最古の怪異  作者: 宇城
第一章:努力と執念の軌跡
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04.やるべきこと

生まれてから471年。


普通の人間であれば、すでに5回は死んでいる。その期間で身長は180cm近くまで伸び、体も最初に比べて筋肉の密度や体格が驚くほど良くなった。


合わせて471年もの間筋トレをし続けていたのにその程度?と思うかもしれないが、それは体格だけだ。皮膚の下の筋肉は隙間なく詰まり、皮膚の上から触ってみれば鋼鉄よりも硬く感じる。しかし、この470年間で成長したのは肉体だけだ。技や技術なんてものは一切成長していない。


技や技術がなくとも、今の肉体でも十分に戦おうと思えば戦えると思う。


俺よりも小さい兎や俺と同じ大きさの野生動物程度なら余裕を持って倒せるだろう。洞窟の岸壁に殴りかかれば、粉々にすることができた。


しかしそれは、ただただ力でゴリ押しているだけだ。もし戦いに勝つことが出来てもそれは結果だけであり、正直俺は勝ったとは思えない。


相手の攻撃を鍛えた体ですべて受け切り、技とも言えないようなお粗末なもので滅多打ちにする。そんなものでは、妖鹿に勝つなんてことは夢のまた夢だ。それどころか自分よりも弱い生物にすら負ける可能性はある。


今妖鹿と戦えば、体が鍛えられたことで妖鹿の攻撃を受けることができる可能性が上がったことで、死にたくても死ねないような状況が続くだろう。


昔の体なら、一度の妖鹿の攻撃によって痛みはあるかもしれないが、少なくとも苦しむ時間は少なく絶命することができるだろう。しかし、今の体では妖鹿の攻撃を何度か受けられるようになったせいで、無駄に攻撃を受けて傷を負い、勝てるなんて見込みはなくそのまま絶望を胸に死んでしまうだろう。


であれば次に何をすればいいのか。武器?策?違う。自分よりも大きい相手や格上との戦闘経験だろう。


格上の敵からの攻撃の避け方や受け流し方から、弱点を看破する観察眼、的確に弱点を突きダメージを与える方法など、どれもが戦闘経験から得ることのできるスキルだ。これらをマスターすることができれば、少なくとも妖鹿や他生物との戦いで相手を倒すことは出来なくとも、優位に立たれて一方的に嬲られるということはないだろう。


俺が戦闘経験を磨き、妖鹿との戦いで少し優位に立てるようになるまで鍛えるのにどのくらいの時間がかかるだろうかわからない。妖鹿の攻撃を十分に避け、受け流せるようになるまでとてつもなく長い時間はかかるだろう。まだ妖鹿以外の生物とすら戦ったことすらないのだ。肉体改造よりも長い時間がかかることは目に見えている。


肉体改造は、ただ自分と向き合うだけだ。筋肉を傷つけ、回復するまでまつ。回復すれば、また筋肉を傷つける。それだけだ。


しかし、自分よりも格上の相手や大きい相手との戦いで優位に立つため、攻撃の避け方や受け流し方を鍛えるのは何倍、何十倍もの時間がかかる。こうすればいい、と覚えようが結局それはその時の攻撃だっただけで、次も同じ攻撃が来るとは限らない。


同じ攻撃が来るかもしれないし、違う攻撃が来るかもしれない。同じ攻撃でも、角度や速度、力強さなど、場合によって異なる。そんな攻撃を避け、受け流すためには、相手の攻撃のタイミングや角度などをその場その場で判断し、どういった対応をするのかを短い時間で考え、実行する必要がある。


この短い時間で考え、実行するというのは傾向を理解し、それに対抗する力を選択するということだ。これは一言で言うのなら〈適応〉だ。


その力を鍛えるためには、自分よりも大きな相手との実践が必要になる。幸い、この山には妖鹿ほどでないにしろ、そこそこ大きな野生生物がこの地に多く跋扈しているはずだ。一瞬ではあるが、俺が妖鹿から逃げる際に妖鹿以外の足跡のようなものを確認した。


その強者たちと戦い、敗北し勝利する。そういった実践を繰り返すことができれば、少しずつでも強くなることができるだろう。そう思い、強者との実践をするため外へ歩みを進めようと思ったが、洞窟を出る前にとどまった。


よくよく考えれば、さすがに素手で未知の敵と戦って勝つ保証は今の俺にはない。


勝つことができるかもしれないが、それは相手が万全の状態じゃなかった話だ。もし同じ大きさや小さかったりしても、自分よりも戦闘経験を積んでいるはずだ。であれば不意を突くためにも武器を持っておいたほうが良い。


ちょうど洞窟の奥には昔の地鳴りで洞窟が少し崩れた際にできた岩の欠片がいくつかある。その中で使えそうなものをいくつか選び、洞窟の外へと向かうために重い腰を上げた。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

感想、評価、ブックマークなど、モチベーションになりますので、どうかよろしくお願いいたします。

この話から2日に一度ほどのペースで出すことになりますのでご了承ください。

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