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現代を息づく最古の怪異  作者: 宇城
第一章:努力と執念の軌跡
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02.勝つための手段

妖鹿を倒すと誓って早4ヶ月。ようやく骨折がほとんど回復し十分に体を動かせるようになったため、これからの方針を決めようと洞窟の壁にもたれかかりながら必死に頭で考え続けた。


地面に落ちている岩を拾ったり、近くの食料を口に入れながら集中して考え続けること数十分。ようやく自分がすべきことを再認識できた。


俺がまず必要だと思ったことの1つ目は根本的な体の改造だ。


身長は低く体は痩せ細り、筋肉もほとんどない。そんな体では、何百年、何千年と戦っても勝てる見込みは全くと言っていいほどない。どんな武器を使いこなそうと、どれだけ策を弄そうとも無駄足になるだろう。


武器や策は戦闘の際に多少の信頼は置ける。しかしいくら自分自信で使おうと完全な信頼を置くことはできない。武器はいつか壊れ、策は失敗することもあれば不測の事態が起こることもある。であれば完全に信頼を置くことができるのは、己の肉体のみだ。そのためには、肉体を極限まで鍛えるしかない。


そして肉体を鍛えるというのは、筋肉だけに限る話ではない。肉体の柔軟性や体力なども鍛える範囲に含まれる。そしてもし、肉体改造を終えられたとしても、それだけでは勝てない。


そこで次に必要になるのは、格上そして自分よりも大きい相手との戦闘経験だ。戦闘経験が全くと言っていいほどない者が格上と戦おうとしたところであっという間に嬲られて終わる。


どんな攻撃をどんなタイミングでするか。相手の攻撃をどうやって避けるのか。相手の致命傷はどこにあるのかの見極め方。戦闘をするにはそういった経験を積まなければならない。


強い敵と戦う経験も、弱い敵と戦う経験もどちらも等しく貴重な経験にほかならない。強い敵、弱い敵にしか起こさない行動も存在する。だからこそ、自分の知識、技術を補うことのできる経験が必要となる。


そして、3つ目は戦う際に使う武器だ。武器がなくてもやれることは多くある。殴る蹴るや、隠密、妖鹿のような超常的な力など、考えようによってはいくらでも戦える。しかし、武器なしで戦うのにも限度がある。相手が武器を持っていたとすればリーチや殺傷力で負け、武器を持っていなかったとしても格上であれば攻撃方法も何もかもが違う。


であれば、弱者が強者に勝つためにはそれ相応の武器が必要になる。武器があれば、多少ではあるが格上相手にも対抗することができる。そして、極めさえしてしまえば戦略も多く組むことができ、自らの力になる。


最初に武器に完全に信頼を置くことは出来ないといったがそれはそのとおりだ。だからこそ、武器を使う戦闘となくても戦える技術や肉体を持つ必要がある。


この3つを完璧にしなければ、あの鹿どころかそこらに跋扈している兎や動くでかい植物にすら対抗することはできないだろう。そして、この3つの中でまず俺が初めにしなければならないのは肉体改造だ。


勝つための策は、体が鍛えられていることが前提になるものがほとんどだ。体が鍛えられていなければ、どれだけ格上に勝てる可能性のある策を考えられたとしても体が頭についていかず、策を実行する動きに支障が出てしまう。それをなくすためにはまず体を鍛える必要がある。


武器に対しても同じだ。武器を扱うための基礎となる体を鍛えていなければ、武器を扱うのではなく武器に扱われてしまう。そのことを踏まえると、やはり体を鍛えることが最優先になる。


戦闘経験もたしかに必要ではあるが、先の武器や策に対してと同じ様に体が鍛えられていなければ戦闘経験も積むことも出来ない。戦闘経験とは戦いに敗北することも必要ではあるが、最も必要なのは戦闘に勝利することだ。だとするとやはり体を鍛える必要がある。


そう考えをまとめ、まずは初歩的ではあるが筋トレを始めることにした。腕立て、腹筋、背筋といった基礎的なものから、素早さのもととなる足や攻撃をされても崩れない体幹のもととなる筋肉といった全身をくまなく鍛えなければいけない。


妖鹿を倒すために必要となるのは、とてつもない勢いの突進を避けるための素早さを鍛えるための下半身中心の鍛錬。石弾や火球など遠距離攻撃を避ける際に必要となる体幹。そして最も必要となる、攻撃力を鍛えるための体の連動性や基本となる腕力を鍛える必要がある。


しかしこれらは、どれも基本的な体の状態、体を敵と戦える状態にする準備にほかならない。肉体というのは、鍛えすぎても意味はない。過剰な筋肉は逆に戦闘の妨げになる。だからこそ、今の俺にできるのは適度の筋肉を初めにつけ、そこから筋肉を大きくせずに密度を高めるというそこそこ難易度の高いもののはずだ。


なんの知識もなくこれらのことをするのはどう考えても無謀だ。しかし、その無謀を実現することが妖鹿に勝つための鍵になるはずだ。


そうして、やることを決めた俺は洞窟の奥で一人、黙々と肉体改造(筋トレ)を始めた。

ここまで読んで頂きありがとうございます。

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