05 社会人ベッドの上
「『ブチッ、ブチッ、ブチッ、ブチッ』って音だった」
「痛すぎて、心臓が止まっちまったんだ。
心肺停止で、放置されたら、死んじまったんだよ、俺」
痛みを思い出したのか、ふるえながら彼は話していた。
残り一個のタマが容赦なく引っ張られ、動脈、静脈、精管、神経がちぎれたらしい。
タマが2個あれば、真っすぐ下に引っ張られても、袋のおかげで、そうそう千切れない。
片タマを対角線状に引っ張られるとね。
ほら、正方形でもさ、対角線は√2でしょ。約1.4倍の距離。
それは、三面記事にも出ていた事件だ。
ホテルでハッスルし終えた、男女が、くっついて寝ている時、彼のスマホにコールがかかってきた。
「ん……かわりに出て」
「いいわよ」
『もしもーし♪アナタの明美だけど、今夜は抱いてくれないの?』
幼馴染の悪ノリ……
それは、電話に出た彼女の知るところではなかったらしい。
「アンタァー、私以外の女と何やってんのっ」
股間に残された、最後の一つのタマは、さぞ掴みやすかったのだろう。
引っ張りまわされて、引きちぎれて、激痛による心肺停止にて絶命。
ビジョンを見せられる私は震え上がる。
「じゃぁな。コレで終わりだ」
そうして、私は霊的なビジョンクエストから解放された。
両方とも、なくなる前に、少しは活躍する機会があったのが幸いだ。
握りつぶすとか、引きちぎるとかもヤメテ。
恐怖の音、5種類を書き終えました。
あとはエピローグです。




