Day of destiny
Fate when he noticed his mission will change in an instant .
( 自分の使命に気が付いた時運命は一瞬に変わる。)
1. All too fleeting moment.
玲音達は22才になっていた。
それぞれ大学を卒業し、社会に出て慣れない仕事に翻弄されていた。
五十嵐千景は、親との約束通り医師免許を取りレジデントとして大学病院に居た。
空いた時間は千景の希望で引続きメディカルセンターで治験薬の研究をしており、相変わらず忙しい生活を送って居た。
大学卒業後は、玲音の家を出て渋々自家に戻りそこを生活の拠点としていた。
櫻玲音は、統括長補佐として主に国内事業を時宗から引き継ぎ、父親の仕事もサポートしながら仕事を教わっていた。
時宗は息子達に国内事業を粗方任せ海外事業部と新規事業の起業、展開に専念しようと考えていた。
櫻 廉は、玲音が補佐として仕事することでまた、国内事業は大きくなり、それにともなって時宗の新規事業で藤堂の膨れ上がった仕事の処理を手伝いながら、各国の法律を勉強していた。
「何でそんなに海外の法律に拘るのさ?」と玲音が聞くと。
「玲音は、何でも興味持てば、やりたがるだろ?しかも頑固だから言い出したら誰の意見も聞かない。そのうち面倒な問題に関わるかもしれないからな。その時その国の法律を知って居れば対処をスムーズに行えるかもしれないだろ?
それにお前が言ったんだろ? 法律は弱い者守ってくれるんでは無くて法律に精通してる者だけを守ってくれるんだと。各国の法律を勉強しておけば絶対役に立つと思うからだよ」
「え~。何か酷い言われ様だな。でも廉が助けてくれるなら、安心して思い切り好きな事ができるって事か?」と何か思惑を浮かべながら言う。
「玲音……。お前……。却下だ。俺の承認なくして勝手に動けると思うなよ!お前のスケジュールは俺が、握っているのを忘れるな!」と廉は玲音に釘を刺す。
「え~、廉。俺と一緒に世界を掴もうよ!
俺、廉とならできる気がする」
玲音は満面の笑顔で言う。
下田 悠貴は考古学者になるべく伊集院の元で准教授になるべく大学に残っていた。
ただ、あの島に、ほぼこもって遺跡発掘作業を指揮し、空いた時間を利用して齋藤ともあの島を隅々を調査と言う名の探検と、加藤にも暇さえあれば、あの海域の海洋調査に同行し、海の探査という探検を楽しんでいた。
念願の彼女も、どういうきっかけかは、わからないが秋吉美里と付き合う様になり、公私共に充実した生活を送っていた。
葉月 潤は、NASAで次の宇宙ステーションでのミッションメンバーに選ばれるべく訓練を受けていた。
悠貴が美里と付き合う事に刺激を受けて樹里亜に猛アプローチをかけ、樹里亜から「次のミッションメンバーに見事に選ばれて、私に、単独インタビューをさせてくれたら考えてもいいわ」と言われ、かなり気合いを入れて頑張っている。
藤春 樹里亜は、テレビ局の報道部に入りキャスターとして、意欲的に世界各地に取材に飛び回っている。
あの負けん気の強さが幸をそうして「【女子アナ】なんて言わせない!」と頑張っており、男顔負けの機動力と才能で、仕事に励んでいる。その頑張りは周りからも認められ、同期で入った女性達は【女子アナ】とは呼ばれていても、彼女だけは【藤春キャスター】と呼ばれて居る。
美貌と実力共にあるので世界中にも彼女の知名度は広げつつあった。
秋吉 美里はデザインオフィスに入りデザイナーと活躍している、樹里亜からテレビに出る際の衣装は全て美里に頼んでおり、それが密かに話題となり、注目を集まり始めていた。
「遺跡発掘は、まだ続いているのか?」
玲音と千景が電話で話している。
「ああ、かなりの範囲は調査出来たみたいなんだけど、感心のトランスゲートが見つからないみたい、まだ細かく別れた部屋を全部調査できているわけでも無いらしいけど」
「では、今年もあの島に集合だな?」
「うん。今年はみんな来れるのかな?」
「悠貴は伊集院教授の片腕となってあそこにいるし、潤は訓練が一段落ついて長期休暇に入ったからトレーニングを兼ねて加藤さんについて海洋調査の手伝いしてるよ。
俺と樹里亜と美里ちゃんは23日に向かう予定だ。パンダと廉はいつから来れる?」
「26日には解放されると思うけど、できるだけ早く行くよ」
「廉の様子はどうだ?最近、やたら軽い発作を起こしてるんだろ?大丈夫か?
親父も気にして居たぞ?廉に、もっと定期的に病院に検診に来るように言ってくれ」
「うん、でも言っても、あの性格だからなかなか言う事を聞かないんだよ。
昔みたいに倒れたり、意識無くしたりは無くなっているけど、軽い頭痛は起きているみたいだから俺も気にはなって言っては居るんだけどね」
「そうか、しょうがない奴だな。まぁ今以上に気を付けてやってくれ 。じゃあ島で会おう!俺達は先に行って待ってるよ」
「うん。あの島で!」
2.Day of destiny.
それから数日後、東京の事務局の会議室で玲音と廉の2人がスケジュールの打ち合わせをしていた。
突如地震が起こる。かなり大きい揺れだ。
超高層ビルの上層階であるために立って居られない程の大きな揺れだった。
「かなり大きい揺れだね。震源地はかなり近いのかな?」と玲音は机の下でしゃがみながらが廉に言う。
地震は既におさまっているが廉は、まだ大きく揺れている。
廉だけが………。
廉の目の前にスクリーンが現れるように島の様子、これから歩む玲音の人生が流れていく。
今まで断編的に思い出していた記憶が全て繋がっていく。
(なんで、もっと早く思い出さなかったのか ?)
強い後悔と悔しさが思い出と共に廉を襲う。
(ああ、そうだ。
あぁ、俺がここに居る訳を全て思いだした。
そう、俺は、止めなければいけない。
そのために、そのためだけに、俺はここに居るのだから)
「廉?どうしたの?」と玲音は、廉の今まで見たこともない怪訝な表情に戸惑いながら恐る恐る聞く。
廉は真青な表情に変わり、急に立ち上がり鋭い声で玲音に言う。
「玲音!止めるんだ!みんなを」
「ん?何?言っているの?」
「いいから!いいから!早く!みんなを島に行かせては駄目だ。
引き返すように言ってくれ。
島にいる全員、本土に戻るように命令してくれ、俺の言うこと聞け!
お願いだから聞いてくれ。
今回だけでいい。
今回だけ、みんなを島に居させては駄目なんだ!」
「廉?また発作?顔色悪いよ?病院に行こう。それに引き返すようにも何も、もう到着してるんじゃないの?
戻せって言っても、俺達も、明日にはあこそに行くんだから何があるか知らないけどその時に………」
廉は、はっとして周りを見渡しカレンダーを探す。
「玲音、今日は何日だ?」
「25日だよ」
「!今、何時だ」
「15時過ぎたあたりだと」
廉は、時計を確認しながら顔面蒼白になりながら玲音に言う。
「テレビを付けろ!」
「え?」
そこには特別報道番組か流れていた。先程の大きな地震に伴い島でも大地震が起こり、それに呼応するように火山が大噴火を起こし、大津波が起こったと。
遺跡調査していたメンバーは絶望的との報道が流れていた。
ヘリからだと思われる上空からの映像は、玲音が知っている楽園ではなく、自然の猛威を描いた地獄そのものだった。
その光景は澄みきった青空は灰色の噴煙が覆い薄暗く、山の頂上付近は一部吹き飛び、そこから赤いマグマが顔出す。海岸は津波によりヘリポートや道、発電施設など全ての物は洗い流されていた。
「これは、どう言うこと?廉!?」
テレビの映像を見た玲音の顔からも血の気が引いていく。
「これは、なんなんの?どう言うこと?
嘘だよな?映画かなにか?これは!
みんなは?みんなは?どうなっているの?」
玲音はその場に立ちつくし、茫然となり、テレビの画面をみながら、目から涙が溢れ出す。
「廉!?俺の目おかしいのか?涙のせいか?
廉。お前の体が薄くなっている様に見えるのはなぜ?」
廉も、茫然とし、テレビの光景を見ながら小さい声で呟く。
「思い出すのが遅すぎた。
すまない、助けられなかった。
本当にすまない。
俺は無力だった。
なんでもっと早く思い出せない?」
「どういうこと?廉はこの事を知ってたの?」
廉の体は薄らぎ20年後の玲音の姿に変わっていく。
「廉??俺を一人にするなよ!廉!廉。
お前はいつものように、俺の傍にいてくれよ。いつも傍に居てくれるって約束したじゃないか?」
玲音は何がなんだか分からず、混乱しながらそれでも惨事の大きさに心が打ちつきられその場に座り込み泣き崩れる。
「俺は、そう………。未来のお前だ。
20年後の櫻玲音だった男だ。
この事故を回避するために戻ってきた。
でも何も出来なかった。
何も………何も……。
事故が回避出来なかったから、これからは玲音お前と一緒には居られないんだ………。すまない。
でも玲音、忘れるなお前は一人なんかじゃない 。
お前の心が悲しみで曇らなければ俺、廉はお前の心の中で一緒にいる。
今まで過ごして来た時間は決して幻ではない。時が流れて、誰もが俺の存在を忘れ去ったとしてもお前の胸の中には、もう一人のお前、俺がいるはずだ。
お前が困った時、どうすればいいか心に聞け、答えは必ずそこにある。
俺とお前のあいだにどんな時が流れても俺はお前のために答を指し示す。
だから玲音、決して俺の為に立ち停まるな。
これからは、それを頼りに思うように生きていけ!」
するとそこに、あの死神が何処からとはなく現れた。
「残念ながら失敗したね。
この時空の玲音君には、また君の中の廉君の記憶は貰うよ。
君とはまた、20年後のあの島で会おう」
死神は見えない力で玲音をソファに座らせ 死神は玲音の額に手を当てた。すると、玲音は眠るように意識がなくなった。
「さて廉君。いや、もう一人の玲音君には、移動してもらうよ」
気が付くとまた、あの真っ暗な時空の狭間の空間に戻ってきた。
「散々、早く思い出せって、何度も言ってあげたのにな?
思い出すのが少し遅かったね。
どうする?まだ続ける?スタートは同じだよ。失敗すれば、また同じ思いをしないといけないよ。
ここに戻って来たときの精神的ダメージは想像以上にすさまじいだろ?
楽しい思い出も、悲しい思い出も、辛い思い出も、嬉しい思い出でも、全ての記憶が積み重っていくんだ。
消えることなく積み重る。
薄れる事なく繰り返す。
失敗の度に君は深く絶望に
叩きつけられるよ。
でもゲームのスタートでは、また全てやり直しだよ、記憶は消えてはないが、覚えてないんだ。
その記憶はこの空間に居る時と君の魂の奥底に深く刻まれるだけ、さぁどうする?続ける?ドロップアウトする?」
玲音は泣きながら答える。
「答えは決まっている。
俺の選択はひとつだけだ。
他に何がある?
何が有ろうと絶対みんなを助ける。
何がなんでも、助けるんだ!
何度でも、何度でも、
俺は戻り、絶対に助けるんだ。
俺の心に誓う。
ちゃんと思い出すように
心に刻みつけてやる。
俺はこんな事では負けない。
負けてたまるか!
みんなを助けてみせる。
絶対にだ!!」と大声で叫ぶ。
「本当に頑固な男だね君は。
では、また戻りたまえ。
また10年後、ここで会おう」
玲音の姿はみるみるまた幼い頃の廉の姿に変わって現世へと消えていく。
するとまた、何処からか光をまとった人物が現れる。
「予想通りの結果だね?」
「そうですね」
死神は辛そうに答える。
「まぁ、最初にしては健闘した方でないかな?多くは思い出すことなく時に流される事が多いが、彼はちゃんと思い出している」
「創造主、貴方は敢えて、転生しても皆から愛される様にしているんですか?」
死神は現世を見ながら聞く。
「あの魂の持つ素養だよ。人間の容姿はただの器にしか成らない。飾り物だよ。その中身によって周りの反応も変わるものだ。私は何も干渉してないよ」
「しかし、あんなに周りから愛されれば、愛されるほど、失敗した時の魂のダメージは激しく深いですよ。
見ている私がつらくなるくらいですから」
「それならドロップアウトさせてあげればいい」
「あの魂は叩きつぶされてもドロップアウトなんかしませんよ。見ていればわかるでしょ?」
「では、ゲームに勝つしかないね…。
それは、彼の意思であり、彼の選んだ選択だ。私達は見守るだけだ」
創造主は何処かに消えていった。
死神は一人佇み時空の流を見つめている。
先の見えない暗闇の深い絶望
試練と呼ぶにはあまりにも過酷な苦難
それでも、君の求める明日への
希望を、誓いを、また見せて貰おうか?
君なら、その強い意思、願いで
乗り越えてくれると、信じさせてくれ。
死神は自分の事のように心痛めていた。
このゲームの無慈悲を嫌と言うほど知っているだけに…。 言うほど知っているだけに…。




