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indication

1.indication.


 廉と玲音はNYの弁護士資格をとるべくニューヨーク大学に留学をした。

 バイトはNY支局の秘書室で続けるため挨拶にやってきていた。 その秘書室フロアのエレベータ前で廉と玲音が相澤白夜と会った。

「相澤先輩お久しぶりです。NYに来られてたんですね?」

「久しぶりだね。君達は全然変わって無いね」

「そうかなぁ~。変わって無いかなぁ~」と玲音が言う。

 廉が玲音が変な事言わないように遮る。

「先輩はいつNYに?」

「山崎氏と交代だよ」

「そうですか。当分こちらでバイトに入るのでよろしくお願いいたします」

「君達の指示は伊藤さんがしてくれるよ。頑張って………。それでは」と相澤はさっさと秘書室に入って行く。


(おそらく、生徒会推薦の打診を断ったからいい印象はのこってないだろうなあ~)と内心廉は思いつつ相澤の後姿を見送る。

「マンションの荷物片付けないとな。帰るぞ?」

 廉は気を取り直して玲音に向かって言う。

「今度は千景居ないから静かだね」

「いや、玲音が居るから……」

「何?それどういう意味さ?」

「ほら、さっさと帰るぞ!」

 廉と玲音には前の誘拐騒動の事もあり、SPが1人づつ付いている。

 廉は必要は無いと言ったが、それが留学の許可の条件と言われ渋々受け入れた。


 廉にはNYに着たら行きたい場所があった。玲音に話すと絶対に邪魔されるので休日、玲音が寝ている隙を狙ってSPにも連絡せず出掛けた。

 それは、メトロポリタン美術館の古代エジプトのデンドゥール神殿の展示場所だった。

 廉にとってあまり気持ちいい場所では無いが、前に来た時のあの事がずっと気になっていた。

 初めてここに来た時のあの違和感は今回は感じ無かった。

 でも、あの時のあの光景は今でもはっきり覚えている。

 あの時、ここの空間は時を止めた。動いて居たのは俺とあの黒いスーツの人物だけだった。一つ一つゆっくり思い出しながら確認していく。

 すると、デンドゥール神殿の周りを見ていると、また自分以外の時間が止まり、今度は古いフィルムを空間に投影された様にあの時のあの光景が白黒でノイズで画面が欠き消される乱れた映像状態で音声はなく明らかに2次元に再現された。


挿絵(By みてみん) 


 廉は、目を疑うようにそれを見いる。

 映像が終わると廉の頭の中で声が響く、

『もう、本当に残り僅かの時間しかない。

 君の望みはなんだ?

 君の願いは?

 全てを思い出せ。

 今ならまだ間に合う』

 それだけの言葉が廉の脳裏に響き消える。

「教えてくれ、俺はどうすればいい?

 どうやったら思い出せる?教えてくれ……」


 館内に声が響くだけで返事はなかった。

 また、周りの時間がゆっくりと流れ出す。廉は近くの椅子に座り、考え込む。

(何を思い出さないといけないんだ?事故の前の記憶?俺の願い?俺の願いは……。

 ずっと今の幸せが続いて欲しい……。続かないのか?何故?時間が無いのは何故?)

 1日ずっとメトロポリタン美術館の1画に座り込み考えていたが、考えても考えても、答えは思い浮かばなかった…。


 夕方になりマンションに帰ると玲音が激怒していた。

「勝手に1人でどこに行ってたんだよ!!

 SPも付けないで行き先も言わないで!勝手に居なくなるなんて。しかも携帯も電源落としていただろ?

 約束が違うじゃんか!倒れでもしたらどうするんだよ?」

「ごめんごめん。玲音が気持ち良さそうに寝ていたから安眠を邪魔するとお前は機嫌がかなり悪くなるだろ?すぐ帰って来るつもりだったからさぁ………」

「何時に出掛けたか知らないけど、もう夕方の6時だよね?すぐってどう考えても廉の時間の尺はおかしいだろ!」

「う~ん、そうだな確かにここまで遅くなるつもりはなかったんだけど……。ごめん」

「携帯のGPS有効にしておけって言って置いたよな?何で携帯自体の電源を切ってるんだよ!」

「充電するの忘れてて……。ほら電池切れだろ?」と玲音に携帯を差し出す。

「3つ位携帯持ってろ!!で、どこに出掛けてたんだよ!!」

「この辺散歩のつもりが……。迷ってさ……」と廉は嘘をつく。

「廉、嘘つくなよ!廉嘘つく時は、まばたきの数がかなり増えるんだ!俺には分かるんだからな!」

 廉は、これ以上誤魔化すと玲音の怒りは鎮まらないと観念し、正直に打ち明ける。

「ごめん……………。メトロポリタン美術館に行ってたんだ」

「何でそんなとこに……。以前、気分悪くなって倒れた場所じゃんか!

 また、倒れでもしたらどうするんだよ!

 あっ!まさか?倒れてたとか?だからこんなに遅くなったとか?廉、病院に行くぞ!」

「いや、倒れてなんかないから………。大丈夫だから………。館内で考え事してたら遅くなっただけだから」

 廉は必死に何ともないと言うが玲音は問答無用で廉を病院に連れて行く。

 廉はまたもや色々検査を受けて病院の医師から問題はないと言われ玲音はホッとする。


「ほらな?何とも無いだろ?」と廉が言うと玲音はものすごい勢いで怒りだす。

「問題無かったのは不幸中の幸いじゃないか?もし、また勝手に黙って同じような事したら親父に言って留学を取消して貰うからな?

 それから俺に嘘つくな!絶対にだ!俺は廉に嘘ついてはないだろ?何かあればちゃんと相談しろ!1人で抱え込むな!いいな?これは絶対の約束だからな!」

「あぁ、本当に悪かったよ。もう、2度としないから……。そんなに怒るなよ……」

「どんなに心配したと思ってるんだ!こっちの身になって見ろ、警察に電話しようかと思っていたんだ」とブツブツ言っている。

「本当に悪かったよ、おわびに何か食べに行こう。俺が奢って遣るからさ」

「食べに行くより、俺は廉のハンバーグが久しぶりに食べたい!」

「ん?そんなんでいいのか?」

「うん!それがいい」

「なら材料買いにスーパーに行くか?あと日用品も買って置かないとな……。

 しかし、スーパーにあのSPも付いて来るのか?」

「…………。まぁあの人達それが仕事だからね。廉。担当の茨木さんに謝っておいた方がいいよ?かなり上から怒られてたから……」

「廉は改めてSPの人に散々謝り、時宗からも電話で小言をくらって何とかおさまった」


 廉は留学先での勉強の合間 デンドゥール神殿について色々調べて見たがあの黒いスーツの人物には繋がらなかった。

 それに、それが見当違いだとも薄々感ずいては居た。

 自分は【玲音の傍に居て何かをしなければならない】と言う事と、【残り時間が少ない】と言うこと。【これから起こる事は良いことでは無い】と言うこと。

 しかし、具体的には玲音の傍に居なければならない事だけしか分かっておらず、どう行動すればいいのか全く検討がつかなかった。


2.Bumping into each others.


 ある日、NY事務所で廉と玲音は齋藤と加藤に出会う。

「齋藤先輩、加藤さんお久しぶりです。どうしたんですか?今回は定例会では無いですよね?」

 齋藤はSPを見ながらて

「 元気そうだね2人とも、今回は誘拐はされそうに無いみたいだね」と笑う。

「廉、玲音!そろそろ法律のくそ堅苦しさに飽きて来ただろ?海洋開発部に来る気になったか?」と加藤は相変わらずな勧誘をする。

 廉と玲音は苦笑しながら聞く。

「どうしたんですか?」

「ちょっとね、最近島の地震活動が気になるのでこっちに火山性地震の権威ある教授が居ると聞いたから、話を聞きにね…」

「地震…火山……?」

「どうしたの?廉?」と玲音は廉の神経質な反応を敏感に感じ取る。

「先輩、俺も一緒に話聞いてもいいですか?」

 廉は、玲音の心配をよそに何か手掛かりに繋がらないかと直感する。

「いいけど火山に興味あるの?」

「火山より海に興味をもてよ廉!」

「海も魅力的ではありすが、火山もまぁ、なんとなく……」

挿絵(By みてみん)

 齋藤と加藤が島の近郊のデータを出して教授との話をしているのを横で廉と玲音は聞いていた。

 島では、ここ最近、地震が頻発していた。

 震度1レベルに届くかどうかだが火山の噴火サイクルが近い事が懸念され、開発や調査の為に沢山の人が入って居るため、調査をこのまま続けていいのか?噴火の可能性と規模。

 様子伺うにしてもどのくらい作業を中止するべきか等を質問したが、何百長年単位での山を観測記録や資料などのデータが有ったとしても火山の噴火を正確に予見するのは難しいし、データをとっても可能性の判断位しか、なかなか難しいとの事だった。

「思っていた通りの回答だったな?」と加藤はため息をつきながら言う。

「そうですね……。一応長谷川教授がここ数年のデータを元にあの火山を研究はしてくれるようにはなったのですが……。どこの火山学者も口を揃えて噴火は予測出来ないと言い切りますからね」と齋藤が答える。

「まぁ、ホフマン博士が長谷川教授と連携してあの火山の研究、解析してくれる約束取り付けただけでも収穫とするかぁ~」と加藤が言う。


 廉は、「一度全員、島から引き上げたらどうですか?」と率直な意見を言う。

「それが一番の安全策だが、いつ来るかわからない噴火で作業を何時までも中止にするのもなぁ……。絶対に大噴火を起こすと言う確証もないしな。そうなるとあの島から完全に手を引くと言うことになる」と加藤は言う。

「一応作業員は半数に絞って居るんだけど……。ここ3ヶ月は何もなかったからね。

 判断が難しいんだよ。何時起こるかわからない物だし、起こらないかも知れないから、だからね…。危険のピークがわかればいいんだけど…。それさえ掴めないから…。何とか手掛かりないかと思ってここにやって来たんだけどね」と齋藤も言う。

「取り敢えず、まだ様子見つつ作業の安全策を練るしかないな。そうなると避難施設の建設が急務だな。何としても時宗を捕まえ無いとな」と加藤は確信する。

 廉は頭の隅に何かが引っ掛かる。

「先輩、その火山のデータのコピー貰えませんか?」

「いいけど…?そんなに興味有るの?」

「なんとなく……」

「さて、飲みにでも行くか?お前らも付き合え!」と加藤が言うと齋藤は「喜んで」と笑顔で答え、玲音と廉は顔を見合せる。

 加藤に「先に食事だな」と高そうな店に連れて行かれ廉達は戸惑う。

 齋藤が「加藤さんに黙って任せればいいんだよ」とお気楽に奢って貰う気満々である。

 奥の部屋に通され加藤から「好きなものじゃんじゃん頼め」と言われメニューを渡される。廉と玲音は適当にオーダーをした。

 加藤に玲音が「悠貴は、どうしてる?」と聞くと、

「あのちび助、誠の助手になっていつも誠と一緒に居るぞ、こないだの定例会にも来てたな?」と加藤が答える。

「そうですね。この前の定例会に荷物持ちと称していましたね?でも、未だにいまひとつ英語が苦手みたいで伊集院教授は困ってましたね」と齋藤は笑って答える。

「あー。悠貴学生の頃から廉に勉強見て貰ってギリギリだったもんな………」

「でも、誠について世界中あちこちすれば否応なしに上手くなるさ。心配ない。あの時宗だって学生時代は似たようなもんだったからな。」

「親父達は今どこにいるの?」と玲音が聞く。

「十碧はベトナムに出張中だから、統轄長も一緒にいるんじゃないかな?」と齋藤は不思議そうに言う。

「ん?時宗はイギリスじゃなかったか?」

「おととい十碧から聞いたからベトナムなんじゃ無いかな?食べ物が口に合わず文句言ってましたから」


 加藤が電話を取り出しかける。

「あー俺だ。お前、今どこにいるの?」

「どこにって、調度今NYに着いたばかりだが?どうした?」

「あーなら調度いい今、お前らの息子と店に居るから、すぐ来い。藤堂も連れてな」

「何でお前がNYに居るんだ?俺はそんな報告は聞いて無いぞ?」

「連絡とれなかったからな。これから報告してやるからすぐ来い」と言って電話を切る。

「もう少ししたら来るってよ」

「上司に説明するから来いと言えるのは加藤さんだけですね」と齋藤が苦笑する。

 小一時間すると時宗から加藤に電話がかかり「どこだ?」と聞かれ加藤は「反対に今、お前達はどの辺まで来てる?」と聞き返し、「分かったよ!迎えに行かすわ」と電話を切る。

 時宗は「誰を?」と聞いたが繋がっておらず藤堂に「この辺で待ってれば分かるだろ?」と説明すると、藤堂は怪訝な顔をして「SPを連れた男がNYの街のど真中に立って待つとか迷惑にも程があるでしょ?」と言って居ると、廉がやって来た。

「お疲れ様です。迎えに来ました。こっちですよ」と案内する。

「廉、ちゃんとSPは付けてくれよ?こないだは玲音が尋常じゃないほど騒いだんだからね」と時宗は言うと。

「すいません。でも今はちゃんとほら茨木さん付いてますよ」と笑いながらいう。

「それならいいが、何で雅治と一緒に居るんだ?」と時宗が言うと、

「齋藤先輩も居ますよ?まぁ、店で詳しく聞いて下さい」と案内する。

 店に戻ると3人は楽しそうに飲んでいた。

「やっと来たか!まぁ座れ!廉、酒頼んでやってくれ」と加藤は上機嫌だった。

「御二人は取り敢えずビールでいいですか??」と廉が聞く。

「あぁそれで」

「私もそれでお願いします」と2人は答える。

 加藤と齋藤はNYに来た理由を説明した。

「そんなに地震が頻発してくれるのか?」

「 体感で分かる回数はさほどではないが、機械で計測出来る回数は、かなり頻発している。

 学園の火山学者の長谷川教授に観測と解析頼んではいるが、正確に噴火時期や規模は判断が着かないと言われたから、他の学者の意見聞きに来てみたが、やはり答えは一緒だった。遺跡調査が海底だからな火山からも近いし、どうするか?

 メタンハイドレートの実装、研究もあるし、判断に悩む所だ…。

 今は、様子伺いつつ人員は半数に減して作業して貰っているが………」

「長谷川君の対策はどの様に?」

「噴火は前兆あったり、突如起こってしまう事もあるし、反対に前兆あったが急に治まったりと自然のする事だからな、何とも……用心に越した事は無いとしか……」

 加藤と時宗の話をよそに

「齋藤先輩、日本に帰ったらまた、島に遊びに行ってもいい?」と玲音は聞く。

「火山の状態にもよるけど何時でもどうぞ、ついでにそのままリゾート開発部に席を置いてもいいよ?」

「拓哉どさくさに紛れて何、言っているんですか?」と藤堂が怒る。

 それを聞いた加藤は時宗と齋藤に

「齋藤お前、ずるいな?玲音リゾートにやるなら廉は、海洋開発に貰うからな?」

「お前らまだそんな事を……。ちゃんと事務経理業務統合して上手くいっているだろ?」

「それとこれとは違うよな?齋藤?」

「そうです。伊集院教授と十碧と統轄長だけ右腕が出来るのはずるいです」

「そうだ!時宗なんか、いくらでも人手どうにでも出来るだろ?2人を俺達に渡せよ!」

「おいおい、飲みすぎだろ。お前ら、いい加減にしておけよ」と時宗。

「俺、島に行くわぁ~。あの島に俺の家建てちゃおうかな~。廉一緒に住もうよ~」と陽気になっている玲音がいう。

「おおお!俺が喜んで設計しますよ~。そんでもってうちの部が総力あげて建てますよ~」と齋藤が話に乗ってくる。

 廉はあまりに玲音が陽気にはしゃいでいるので玲音の前にある酒瓶をみながら言う。

「玲音?お前、何を飲んでるんだ?」

「ジュース……うぃ。廉、これ美味しいよ」と玲音は言いながらその目は既にすわっていた。

「うあー。こいつドンペリ1人で1本空けてる。おい、もう飲むな!また世界が回るぞ!」

 廉は玲音から酒を取り上げようとするが玲音は「俺のジュース~」と言いながら瓶を抱き抱える。

「これは、ジュースなんかじゃ無いだろ?

 ほら水のめ!このまま急性アルコール中毒になりたいか?ほら、水のめ!」と廉は玲音の介抱をする。

 ふと隣を見ると藤堂が寝ている。

「齋藤先輩、藤堂先輩また寝ていますよ?」

「いーの、いーの。十碧は寝かせておいた方が静かだからね~」

 結局、気が付くと凄い量の空瓶が並び見渡すと廉以外は見事なまでに皆、酔い潰れていた。

 仕方無く廉は店の支払をするとその金額にびっくりしながらも、渋々カードで支払を済まし、玲音以外はSPに協力して貰い、時宗の何時も使っているホテルにタクシーで運び部屋にそのまま寝かせ、荷物はフロントに預かって貰った。

 玲音は廉がタクシーでマンションまで運び寝かせた。

 廉はシャワーを浴びてソファに座りほろ酔い加減で島の地震データを見ながら初めて空から見た時に記憶に過った光景を思い出す。

(あの火山は大きな爆発をする。それは何時だ?何時なんだ?

 齋藤先輩や加藤さんの言う通り具体的な時期が分からないと対処しょうがない……。それが黒いスーツの言う事なのか?玲音に何の関係が?)

 そんな事を考えながら廉は寝てしまった。


 廉はそれから空いた時間を使って島の火山活動データを調べて居たがこれと言う手掛かりもなく。

 玲音達は、NYの留学を終え、NYの弁護士資格を習得し、日本へと帰っていった。


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