Interview
1.Interview.
年が明けると藤堂がドイツにやって来た。
「御迷惑掛けました。今日から通常業務に戻ります。よろしくお願いします」
ちょうどその時、事務所には廉と玲音も居た。
「もう大丈夫なんですか?」
「ええ、走ったりは流石に難しいですが日常生活は大丈夫です」
「周藤君が帰ってから同行者がなかなか居なくて困ってたんだ。助かるよ~」と時宗は喜ぶ。
「ドイツの秘書室から職員連れて行って無いんですか?」と藤堂が呆れる。
時宗は藤堂の耳元で囁く。
「どうも、ドイツ語なまり英語は聞き取れにくくて、日本語できるスタッフも居ないし、通訳とか人が増えると面倒だし、玲音はなかなか同行してくれないし、廉が同行してくれる時は玲音もついて来るし……。不便だったんだよ」
「はぁ」と苦笑する。
廉が藤堂に小声で質問する。
「なんで、おじさん同行者の人数が増えるのあんなに嫌がるの?」
「それは思い立ったら予定変更しての行動が出来にくくなるからですよ。
大勢のスケジュール変更は難しいけど少数は簡単ですからね」
「なるほど」
玲音はテキストを見ている。
それを見た藤堂は廉に言う。
「玲音様、人が変わった様に勉強熱心になられましたね」
「えぇ、どうしても俺を精神疾患又は精神異常か認知症にしたいみたいです」
「ん?」
「忘れました?みんながドイツに滞在最後のお昼の時に言ってたでしょ?」
「あ~。補助人でしたっけ?有能な弁護士になって裁判官に認めさせればって言ったからですか?なんでまた、そんな補助人とかに、こだわるですか?」
廉は藤堂に訳を話す。
「そんな面倒くさいことしなくても、別に廉君が玲音様にそう言う時は、全て玲音様に委任すると委任状で済むのでは?」
「先輩、変な事言ってはダメです。勉強しなくなります」
「何々?何話しているの?」
目敏く玲音が反応する。
藤堂は笑いながら「法律は奥が深いですからしっかり勉強しないとね気づかない事たくさん有りますよ」と逃げる。
時宗は藤堂の傍に行きに小声で
「藤堂君、変な事を言ってはダメだよ。廉も司法試験終わったら養子縁組み受けてくれるって言ってくれてるのに気が変わると養子になってもらえないだろ?
あぁそうだ、藤堂君。弁護士資格あるなら養子縁組手続きの用意しておいてよ。嫌なら顧問弁護士に頼むけど……。
でも、できれば藤堂君にしてもらう方が玲音にも気づかれずに出来そうなんだけどな」
「別に構わないですが、反対に言わない方が大変な事になりませんか?」
「試験済めば話すよ。あのやる気を試験までは続けさせないと………」
「なるほどね………。相変わらず面倒さい親子ですねぇ」と溜め息とともに呟く
藤堂は仕事の合間を見て加藤に言われた通り、玲音と廉の司法試験の勉強相手をしていた。
その代わりとは言わないが、廉達はドイツの講義の内容を教えていた。
「私も統轄長のお守りに飽きたらNYかカルフォルニアにでも留学でもして弁護士資格取って貿易会社でも勤めますかねぇ~」
冗談半分で藤堂がいう。
中途半端に【貿易会社に勤める】と言う部分を聞いた時宗は焦り、慌てる。
「ええぇ、藤堂君うち辞める気なの?
何が不満なの?給料?休み?もしかして玲音達が面倒かけるから?」
「親父!何で自分の面倒はそこに入らないんだよ!人のせいにするな!」
玲音は怒る。
時宗は思いを巡らして有り余る心当たりを少し振ってみる。
「あ~。あれかな?藤堂君入院したとき仕事回らなくて柊木君に頼み込んでスケジュール幾つかボツにしてもらったやつ?
柊木君、藤堂君にばれるとかなり怒られるからと言われたけど分からないと思ったんだけどわかっちゃったかぁ~。すまん、すまん」
「何時、何を取り止めたんですか!聞いてませんよ!!」と藤堂は怒る。
「えぇ違った?じゃああれ?いや、あれ?いやいやあれかな?」
「統轄長!全部白状してください!!」
「あ~。気のせいだったよ。気のせい。ちゃんとしてるからさぁ」とごまかす。
藤堂はすぐさま柊木に電話し、全部白状させた。
「何ですか?これ、来客のアポイント半分はキャンセルして、承認審査書類1/4はさぼってるじゃ無いですか!!どうするんですか?この仕事」
「雅治と誠と齋藤君の部門の事務処理だからそのままあげても大丈夫だよ?
それ以外は要再検討ってことでさ。その間に新しい繊維開発のプロジェクト出来そうでね。
今、うちの大学に頼んでいる研究の結果が出てきて、そっち忙しくてさぁ」と時宗は言い訳をする。
藤堂はドイツの秘書室の責任者に内線電話をかけ今から東京本社から書類のデータをメールで送付させるので出力しておくように指示する。
そして柊木にまた電話し、メールで至急データ送付する様に言う。
「さて統轄長、今夜は徹夜は覚悟してくださいよ」
「ええぇ………。大丈夫だよ?私も大事な事は流石に手を抜いたりしてないからさぁ~」
「統轄長のせいで付き合う私の身にもなってください。本当に辞表書かせたいですか?」と凄む。
玲音は呆れて
「先輩が付き合う必要ないよ。親父一人で残ってやらせばいいよ。甘やかしたらダメだよ。それよりさぁ、ここ教えてよ」
「玲音、お前がそれを言うか?」
廉は溜め息をつく。
「おじさん、また、手伝ってあげますから、もう2度としないでくださいよ?」
「すまない、廉……」
廉は秘書室が持ってきた書類を用件別に別けていく。
「もーう!!!廉が手伝うと俺、帰れないじゃないか!!」
「帰ればいいだろ?藤堂先輩と一緒に。
俺は、おじさんと一緒だからいいだろ?」
「廉のどあほ!!」としぶしぶ手伝始めた。
玲音がある書類に興味を示す。
「親父!ドイツ事務所に日本語分かるスタッフ募集しているの?」
「ん?あぁ居た方がいいかなと。何人か来年度の新入社員を絞って居るはずだ」
「この娘も候補なんだ?」
「そこにあがって来ているのはそう言う事だね?」
「どうしたんだ?」と廉が書類を見る。
先日、会ったユリア モルゲンシュテルンの名前を見つけた。
「あ~。この娘ここに就活してたんだ?」
「ん?知り合いですか?」
藤堂は書類を見る。
廉は藤堂と時宗に経緯を話す。
「玲音、未だに女の子に間違われているのか?」と時宗は笑う。
「確かに廉君と2人並んで遠目から見ると分からなくも無いですね………」
「!!2人とも目がおかしいよ!」と玲音は激しく怒る。
「この娘は日本語上手いのかい?」
「ええ、日本語で俺達と会話できましたから」
「なら最終面接に出てみようかね」と時宗は言う。
「え?統轄長が出るんですか?通常幹部以外の面接には通常出られないでしょ?今回は海外支部の一般職員ですよ?」
「出てはダメ?なら藤堂君出て見てきてよ?通訳に廉を連れてさ、人事部に紛れて、廉は気づかれ無いようにね? 」
「俺も参加する~♪」
「玲音はダメだよ。目立つから。一応公正に行わないとね」
「目立つって……目立たないよ………。俺」
「人寄せパンダは遠目でも分かるだろ……」
「廉だって目立つじゃんか!」
「背が高いだけで、スーツ着て眼鏡でもかけて髪形変えれば、まず外国人からは分からないでしょう。廉君は」
「ふん、なんだよ!!面白くない!!なら!俺も、面接受けて見る~」
「なんで?」
「控え室で話していれば、どんな人なのか分かるだろ?人事がどういう面接しているのかも分かるし」
玲音は目を輝かせて言う。
「落ちると分かっている面接に進んでやるのは玲音様くらいですね」
「なら、ついでに女装でもして出れば~」
廉はからかう。
「ふざけんな!!」
「いや、ふざけてるのはお前だから」
ドイツ事務所側の面接官は3人で一番隅に廉と藤堂がつき計5人での面接となった。
藤堂は、時々いけずな質問や答えにくい質問をして相手の反応を見ている。
しかも敢えて英語で質問し英語で返答を求めている。
ユリア モルゲンシュテルンの時も同じで日本に興味を持って日本語勉強してその先は何を目指すのか?とか。
日本の風習をどこまで理解しているか?
日本に出張で来る事が出来るか?とか聞いている。
最後に玲音の番がきた。
玲音は『レオン ウィルソン』と名乗り藤堂はゲームを楽しむ様に面接する。
「志望の動機は?」
「日本語やドイツ語を始め何ヵ国かの言語を勉強したので役にたてたらと思い応募しました」
玲音は満面の作り笑顔で対応する。
それに答えて藤堂も満面の笑顔で質問を続ける。
「このグループの会長と統轄長の名前はご存知ですか?それぞれお答えください」
「じいさん名前?…………」と呟き。
「会長は櫻 功、統轄長は櫻 時宗」
「それぞれの人物をどのように思われますか?」
「どのようにって……。会長は堅実家で厳格だけど孫、溺愛し過ぎ。統轄長は構想家で時代を見る目はあるが、よそ見し過ぎ?」
「当社に入社したらどのように働いて行きたいですか?」
「う~ん、正直に答えていいの?」
他の面接官に分からないように日本語で言う。
「どうぞ~」と藤堂はにっこり笑う。
「自分で新しい部門を作って自分の思う通り動かしてみたいです。弟と一緒に」
廉を見てにっこりする。
「どのような部門ですか?」
つかさず藤堂が質問するが玲音はにっこり微笑みながら返事をする。
「それは入って見ないと自分に合う御社での可能性はわかりません」
次に廉が質問する。
「会社に入ると思う通りにならない事が多々有りますが、そのようなご自由な発想で我満できますか?」
「自分、忍耐力は強いほうなので」と笑う
「嘘つけ」と廉は日本語で呟く。
その後、ドイツの人事部がありきたりな質問して終わった。
藤堂と廉は秘書室に帰って来た。
「誰が忍耐強いんだ?うちのパンダ程、見掛けによらず狂暴な愛玩動物いないぞ。しかも、なんで、俺を道連れに新しい部門にいかなきゃ行けないんだ!」
廉はブツブツ言いながら怒る。
「天性の役者ですね。煽っても動じない。
しかも、ちゃっかり会社トップの悪口までさらっと言ってるとこは流石です」
「それより彼女はどうだったのかな?」と時宗は聞く。
「少し英語の出来が気になりますが日本語は大丈夫そうですね」
「素直そうだし、日本に出張も喜んで来ると言っているし、問題無いかと」
「人事部の評価聞いてきます」
藤堂は出て行く。
入れ代わりに玲音が入ってくる。
「我満強い、玲音兄さんお帰り」と廉は皮肉を言う。
「なんで、俺の時だけ、あんなに長いんだよ!」
「忍耐力テスト」
「!!」
「おじさん、玲音が会長は 堅実家で厳格だけど孫溺愛し過ぎ。統轄長は構想家で時代を見る目はあるが、よそ見し過ぎ。だそうです」
「じいさん確かに 堅実家で厳格だけど孫、溺愛し過ぎてるなぁ………。私はよそ見し過ぎなのか?」
「さぁ?」
「俺、嘘言ってないもん」
藤堂が顔ひきつりながら採点評価を持って帰ってきた。
「どうしたの藤堂君」
「いや、人事の評価が玲音様が一番に……」
「やっぱ俺、人望あるからな?」
玲音は胸を張って言う。
「ならドイツで入社するか?出世して本社までのぼりつめて来るか?やってみるのも面白いぞ?」
廉が煽る。
「いや、その奔放さを何とかしないと組織の中ではある程度までいくと窓際ですから……」
藤堂は玲音を見ながら言う。
「……………まぁ、廉と一緒なら、窓際でも面白いかも~♪」
「なんで、俺もドイツに住まなければならないんだよ?お前一人に決まっているだろ?」
「廉は俺を見捨てるのかよ?」
「そこまで面倒見れるか!」
「まぁ、まぁ、何で言いたい放題の玲音が一番に?」
「何ヵ国か言語が出来るってとこですかね?後、自分の意見ストレートに言える所ですか? 」
「例の彼女は?」
「三番目ですね。英語力がやはり評価下げてます」
「なら二番目と三番目の2人採用でいいのでは?」
「二番目ってあの男、控え室では横柄だったよ?あまり愛そもないし、誰とも話して無かった。話しかけられても返事すらしないからさ、どうなんだろうね」
「それは、それで困るね」
「四番目は?どれ?と結果みて、あぁあの人はかなり社交性有るみたいだよ、色んな人と話してた」
「なら三番目と四番目でいいのでは?」
「そうですね。人事に伝えて起きます」




