Times change and we with time.
1.Times change and we with time.
玲音は最後の司法試験の追い込みに藤堂に付き合って貰っていた。
「今日は廉は?」
「ん?統轄長に頼まれてドイツ語の契約書類のチェックに付き合っていますよ」
「藤堂先輩、日本に帰ってたらあのマンションに帰るの?」
「ん?まぁ、足治るまでと言う約束でしたから」
「先輩さえよければ、あのまま住んじゃえば?」
「俺達、司法試験受かると一年研修で居ないだろ?親父と千景寂しがるからさ」
「"Put your trust in God, but keep your powder dry."(天祐を信じても火薬を湿めらすな。)
と言いますからね。受かるとは限りませんよ?そうですね。玲音様が無事廉君と一緒に受かる事できたら考えましょうか?」
「まだ俺、滑るって思ってるの?こんなに勉強しているのに!」
「だから油断大敵なんですよ」
「玲音様ならありがちな罠についはまって、思いもよらない事態にならなくも無いですからね」
「なんで廉は大丈夫なんだよ!」
「廉君は、自分の弱さを知ってらしゃいますからね。自分の欠点を知る者こそ強者ですよ。
それに廉君のもっと凄いのは、玲音様の全てを知りつくしてますよ?
こうして、統轄長の仕事を廉君が引き受けて私を玲音様の勉強相手にしているのは、そろそろ玲音様は勉強しているという傲りが出て来ると判断してのこと思いますよ」
「それって廉は、当てはまらないの?」
「廉君は、先程も言ったように自分の弱さを知り、そこから"逃げだす"ことは決してされないですから。
反対に立ち向かっていかれますから、油断などされませんよ。しかし、
"Genius is ten percent inspiration and ninety percent perspiration."
(天才とは10%の霊感と90%の発汗である。)と言いますが、玲音様は50%位霊感有りますよね……」
「俺の半分は感なのかよ……。俺だって逃げ出さないよ」
「玲音様の人生の望みは何かですか?」
「廉が傍に居てくれること?」
「廉君の願いは何でしょうね?」
藤堂が聞いたとき廉が帰ってきた。
(俺の願い?俺の願い???玲音に一緒に居て貰うこと?いや、違う……。でも玲音に何かをして欲しいのは確かだ。なんだ?)
立ち尽くすしている廉を後から入ってきた時宗が不審に思い。
「廉、どうした?気分でも悪いのか?」と聞く。
「いや、何か忘れているような気がして考えていたんです」
「勉強のし過ぎでは無いか?」
「いえ、そんなことはありませんよ」
「追い込みなのに今日は付き合わせて悪かったね。廉なら大丈夫だと思うが
"Prosperity tries the fortunate' adversity the great."
(順境は幸運者を試練し、逆境は偉人を試練する。)"と言われるからね。幸運者に微笑で貰ってくれよ」
「偉人では無いから逆境に試練されることは無いと思いますが
"A little knowledge is a dangerous thing."
(半端な知識は危険なもの)と言うこともあるので頑張ります」
廉達は司法試験の為に一時的に日本に帰国した。
千景が空港まで迎えにきてくれていた。
千景は2月に国家試験を受け見事に合格している。
「千景、国家試験合格おめでとう!」
「ありがとう。でも、あれだけ電話で何度も言われて、またこうして、言われるとパンダと同じで受かる確率低かったみたいじゃ無いか?」と笑う。
「それに医学部に居て国家試験通らないと他の職業はほぼ使い物にならないからな」
「俺は120%受かる~!!」
「120/200%か?」
「そこまで言うなら千景!俺受かったら合コンセッティングしろよ!」
「なぜ合コン?」と廉が言う。
「行って見たいじゃん!」
「それなら自分で声かけてセッティングすればいいだろ?そこらじゅうの女の子と何時もしゃべってるだろ?」
「それでは面白くない!!」
「はいはい、好きにしろよ」
千景は廉達を車に乗せ家に向かう。
「廉自信は?」と千景が聞く。
「う~ん、どうかな?やるだけの事はしたからな。これで落ちたら自分の限界だと思えるかな?まぁ一回で受かる人少ないしベスト尽くすよ」
「なら大丈夫だな?安心した。パンダに邪魔されて勉強出来て無いかと思ってたよ」
「!!!なんでだよ!俺はそんなことはしないぞ」
「どうだかな?パンダは周りを巻き込むタイプだからな~」
「正式に帰国するのは何時なんだ?」
「合格発表辺りには帰ってこれると思うけどな……おじさんベトナムの繊維工場に興味持っちゃつてそっちに関心移ってドイツの方は予定通り進んでないんだよな」
「周り巻き込んむ辺り親子だな……」
千景は玲音を見る。
廉も溜め息をしながら玲音を見る。
「何だよ!親父と俺は関係無いじゃんか!」
「そう言えば悠貴と潤は、どうしてるんだ?」
「潤は、JAXAでトレーニングしてるぞ、一応次のメンバー候補の補欠には選ばれているらしいぞ」
「そうかぁ~。潤が宇宙に行く日も近いな。悠貴は?」
「奴はドイツから帰って大変だったんだ!合コン!合コンとうるさい程騒いだ挙げ句、なんでか美里ちゃんと付き合っているよ。どういう経緯か分からんがな~」
「へぇ、でもお似合いじゃ無いか?」
「そうだな」
「樹里亜は?」
「潤が猛アタックかけてるみたいだが~どうなんだろうな?」
「千景は、樹里亜に興味無いのか?」
「なんでそうなる?俺は家庭的娘が好みだ廉のように料理が出来る娘がな~。
仕事から帰って喧嘩になるような気が強い娘はまず無理だ。
それに樹里亜は仲間だ友達だ。このままの関係が一番いいのさ」
「千景は心配しなくても一生独身貴族だよ!」
「パンダ!なんでだよ!」
「加藤さんの考え方に似ている。
女性は好きだけど自分のライフスタイルは崩したくない。一人に絞るより友達として沢山と付き合って行く方がいいって」
「………玲音、お前も同じじゃ無いか?」
「俺は違うじゃんか!」
「どこが?」
「俺はレディーファーストだ!女性に俺のライフスタイルを強要したりしない」
「あ~。おばさんみたいな女性は稀だからな?言っておくが……。特に日本人の考え方では無いからな」と廉が言う。
「!!!」
「パンダは【ブラコン】な上に【マザコン】かよ。動物公園の檻の中が一番だな!」
「月の輪グマだって檻の中だよ!!!」
「お前ら、似た者同士だな?
" Birds of a feather flock together."
(同じ羽毛の鳥は群がる)って言うもんな」
「それで行くと廉も同じって事だからな?」と玲音が指摘する。
「!!!」
「馬鹿!パンダ!大事な試験前に精神的ダメージ与えるな!」
しかし、廉も玲音も色々な障害?を乗り越え無事に合格することとなる。
廉達がドイツから帰国後、間もなく珍しく廉がピアノの練習をしている。
曲はショパンではあるが得意とする『 華麗なる大円舞曲』 (Grande Valse brillante, Op. 18)ではなく『幻想即興曲第四番ハ短調』(Fantaisie-Impromptu,Op. 66)に挑戦していた。
弾き馴れない曲であるのと難易度の高い曲で有るため苦戦していた。
千景が帰って来てリビングフロアに聞こえる音色を聞き。
(パンダ珍しくピアノなんぞ弾いてるのか?しかし、何時も曲じゃ無いのは珍しいな……。)
そこに藤堂と時宗も帰ってきた。
「玲音様、珍しく違う曲を練習されてますね……」
「玲音なのか?廉だろ?玲音はコンビニ行くとか言って先程、玄関ですれ違ったぞ?」と時宗は言う。
「でも、廉ピアノなんぞ弾けたのかな?」と千景は不思議に思う。
「そうですね。橘家には、ピアノなんかありませんでしたよ?」と藤堂も言う。
「そうかい?私は前に廉の弾く所を見たが廉は玲音に劣らず結構な腕前だったよ?」と時宗は言う。
「そうなんですか?」と藤堂は驚く。
そうしていると玲音が帰ってきた。
「ただいま~。何みんなでこんなところに集まって居るの?」
「やっぱり廉君が弾いて居るようですね………」
「ん?廉『幻想即興曲』なんか弾いてるな、なんでだろ???」
「パンダ、廉は前からピアノなんか弾けたのか?」
「ん?高校の時、よく放課後の音楽室に居たじゃん!特に部活動無くなってからは、寝てるか、弾いてるかのどちらかだったよ?」
「ふーん?パンダお前が弾き方教えたのか?」
「ううん、廉は俺が気づいた時には俺には負けるが上手ったよ?」
「どこで覚えたんでしょうね」
みんなでこっそりピアノのある部屋に覗きに行く。
廉は、楽譜を見ながら悪戦苦闘している。
玲音は、それを見て隣に座り、「何してるの?」と聞く。
「何してるの?ってピアノの練習を……」と言って周りに気がつく
「なんでみんなが、ここに居るんですか?
恥ずかしいから辞めて下さいよ!!」
と廉は真っ赤になって言う。
「なんでこの曲?」
「ボランティアで弾いてたやつが怪我して弾けなくなったらしく、知り合いから1日だけ代わってくれって頼まれて………」
玲音は譜面見ながら「これは流石に難しいね~。
廉、左パートね。俺右パート弾くから行くよ?」
「え?なんで?」
「この方が上達しやすくない?」
「う~んまぁ」
一通り弾き終わると玲音が「廉が弾く華麗なる大円舞曲をみんなが聞きたいってさ」
「ん?なんで?」
「廉がピアノ弾けるの藤堂先輩と千景知らなかったみたい。聞かせてあげなよ?」
「聞かせる程の腕では……」
「華麗なる大円舞曲を弾けること自体かなりの腕だよ?」と涼しい顔で言う。
「廉君、聞かせて下さい」と藤堂。
「うん聞いてみたいな、廉」と千景まで言う。
「私も久しぶりに聞きないな」と時宗。
「………それではまぁ」と弾き始める。
藤堂と千景は目から鱗が落ちたように驚く。
「何時から練習していたんですか?」
「気がつくと弾けるようになったんだけど
よく覚えてないよ?」
「事故に遭う前はピアノも触った事も無いのにここまで上達するとは、凄いですね?」藤堂が言う。
「俺、事故前はピアノの弾けなかったの?」
「橘家にはピアノ弾ける人居ませんし、ピアノ所か電子ピアノも有りませんでしたよ?」
「……………。玲音は何時から練習してたんだ?」
「俺?さぁ小学校入る前にはママから教えて貰ってたなぁ~。まぁ、気にしても仕方ないじゃん?誰も知る人居ないだし……。
今度は、俺が左、廉か右ね」と玲音は廉の練習に付き合う。
廉は、また、奇妙な違和感を感じながら練習をする。




