A friend in need is a friend indeed.
1.A friend in need is a friend indeed.
ドイツに渡航する日、空港ロビーに時宗をはじめ、加藤、伊集院、藤堂、齋藤、周藤、玲音、廉、千景、悠貴が集まっていた。
チャーター便の飛行機の整備がまだ終わって居ないらしく、それぞれ自由に過していた。
藤堂と齋藤と周藤が丸テーブルに座り珈琲を飲みながら話している。
「秀一、子供は?奥さんの為に、出張はしないんだろ?」と齋藤が聞く。
「まぁ、基本的にはそうだが今回ドイツの工場買収で少し知り合いにパイプ持っている奴が居るから根回しに行くんだ。子供は親が見てくれてる。統轄長が根回しさえ済めばすぐに帰国していいと言ってくれてるからな。半月位だけドイツに留まりお供するんだ。統轄長は子供一緒に連れて来てもいいと言ってくれたが、うちのはやんちゃだからな~。じっとしてないし、うるさいんだ」
「昔の誰かに、そっくりですね」
藤堂は珈琲をテーブルに置き、まじまじと周藤を見ながら言う。
「そうかな?まぁそれはそれで嬉しいな」と周藤は笑う。
「しかし十碧。なんで俺が、お前の荷物持ちなんだよ!しかも、なんだこの荷物の山は!」
齋藤は隣に置いた荷物の山を指差し言う。
「統轄長の仕事の書類に決まってるでしょ?この松葉杖でどうやったら私がその荷物持てるのか、教えて欲しいもんです」
「なら、部下に頼めよ?」
「拓哉は、私が玲音様や病み上がりの廉君にそんなこと頼むと思っているんですか?」
「いや、他に部下が 居るだろ?」
「秀一、拓哉が荷物持てと言ってますよ」
「いや、そうでなくて、もっと若い秘書室の新入社員とか居るだろ?」
「何処の誰だったかなぁ~。玲音様が居なくなって悲鳴あげながら、わざわざ私の所に泣きついて来て、秘書室に無理矢理リゾート開発部の事務仕事を置いて帰ったのは?お陰で私は秘書室の部下からかなり、恨まれて居るんですが?」
「あ~。あれ拓哉の部所の事務仕事なのか?確かに秘書室では、かなり顰蹙を買ってるな」
周藤が苦笑いしながら言い、珈琲を飲む。
「…………………。十碧、よろこんでお荷物を持たさせていただきます」
加藤がやり取りを聞いていてやって来た。
「齋藤~。お前ずるいな!そう言うことは俺にも、教えろよ?俺の部も廉が居なくなって大変だったんだからな?」
「加藤さん!秘書室はそんなに余裕はありませんよ!!加藤さんの部は、かなり大きいですから部内で何とか出来るでしょ?」
加藤は藤堂に向い合って肩に手をかけ
「藤堂、お前は、まだまだ甘いな?部が大きいからと言って仕事量は何処も同じとは限らないだろ?大きい分、仕事も増えるんだよ!」
「威張って言わないで下さい。秘書室は雑用係では無いんですよ?廉君が入院したのも加藤さんの所で疲れ溜まったからでは無いですか?」
藤堂は、はっとして
「すいません。言い過ぎでした」
恥ずかしそうに加藤に謝る。
「いや、確かにあれは俺の監督不行き届きだった。言い訳のしょうがない」
加藤はいつに無く反省の弁を言う。
そこへ、廉と玲音と千景と悠貴が珈琲を買いにやって来た。
「なんか、凄く楽しそうですね?」
廉はニコニコしながら言う。
加藤と齋藤が廉を見るなり口を揃えて、『体は大丈夫なのか?』と聞く。
廉は、笑いながら
「大丈夫ですよ!みんな大袈裟なんですから」
加藤は玲音に向かって、
「すまなかったな。お前の忠告を貰ってたのに、気付かなくて……。許してくれ」
加藤は玲音に頭を下げる。
「いいよ。廉は元気になったし。俺に謝るのもおかしいだろ?」
「いや、玲音を怒らすと怖いからな~」
それを見た廉は慌てて
「玲音。お前、加藤さんに何したんだ?
俺の入院と加藤さんは何の関係も無いだろ?
加藤さん、こいつが何を言ったかわかんないけど気にしないで下さいね」
廉達は玲音の襟元を引っ張りながら移動する。
「廉!定例会終わったら、約束通り時間空けておけよ!」
「こいつらも、一緒でもいいですか?」
「あぁ、もちろんだ!」
「えっ?加藤さんの奢りですか?」
ちゃっかり藤堂が乗る。
「俺、秘書室の手厚い加護は受けてないが?」
「何言ってるんですか?俺の大切な弟を泣く泣く貸出したし、こき使ったでしょ?」
「藤堂お前と言う奴は……。なら、あいつらを絶対に司法試験に受からせろよ?それが奢る条件だ!」
「 It's a piece of cake.
あの2人なら今でも十分通りますよ。
まぁ玲音様が少し心配ではありますが」
「定例会が終わったらお前ら全員面倒みてくれるよ!時宗が!」
「結局、そこですか?」と齋藤は苦笑する。
「あぁ、任せておけ。時宗の財布は俺の物だ」
時宗は伊集院と雑談をしていた。
「雅治の奴、玲音から『もし、廉に万が一の事が有ったら例え親父の親友で有ろうと俺は加藤さんの事を絶対許さないからな!』と言われていたから、廉が入院したと聞いてひやひやしてたんだ。あんな雅治を見たのは初めてだよ」
「玲音がそんなこと言ったのか?」
「あぁ、この定例会資料集めに廉が苦労していると分かったら、俺の所にも電話かけてきたよ。なまじ正論だから、困ったよ………。
雅治は結婚はしたくないが廉なら養子にして息子にすればよかったと時宗に先越されたと言ってたぞ?」
「雅治の息子は流石に廉が可哀想だ………。家に居ない親父なんてなぁ~」
「時宗、お前がそれを言うか?」
「そうだ!時宗だけには言われたくない!」と加藤が現れる。
「俺はちゃんと、親父してるだろ?」
「本人達に聞いてみるか?」
「……………。ちょっとはしてるに訂正する」
「ところで、廉は本当に大丈夫なのか?」
「脳だからな、外傷が有るわけでは無いんだが………。なんとも言えないと和也は言ってたよ。精神的なものなのかなぁ~。
今回は、発作が連発していて、症状も脳波の乱れはかなりなもので、本人は考え事してると思って自覚症状無いまま意識が飛んで居たらしいからな。
だから、前にも増して玲音が廉に張り付いて離れようとしなくなったんだが………」
「ドイツに留学なんかさせていいのか?」
「精神的なものだから、やりたいことやらせてやるのがいいかと。廉は放って置くと自分の我を押さえこむからな」
千景と廉と玲音と悠貴が雑談している。
「悠貴、彼女に別れの挨拶の電話しないのか?」と千景が茶化す。
「ふん、千景先輩のお陰で振られましたよ!見事に」
「ん?なんで俺のせいなんだよ!」
「あのテレビ局に報道志望のうちの大学生が研修に来ていて、あれだけ派手に振る舞えばすぐ噂になるでしょ?
藤堂先輩の車に乗り込む所や夜の公園での散歩の写真まで撮られて………。
浮気現場としてその写真と噂が学園中に広まりましたからね、何故かアメリカの潤の所まで伝わってるくらいですから………」
「なに?悠貴。俺に内緒で女の子と付き合ってたの?どんな娘?写真見せてよ?」と玲音の底なしの興味が湧く。
「だから、先輩、振られたんですってば!傷ほじらないで下さいよ!」
「何があったの?俺の知らない所で何?面白そうな事をしてたの?」
悠貴は事情を話すと、樹里亜の名前が出ると玲音の興味はぴたりと無くなった。
「そう、それは不幸だったね」
「その彼女に俺から、ちゃんと説明してやろうか?そんな別れ方は嫌だろ?」と廉が言う。
「う~ん、振られて分かったんですけど。
話しもろくに聞かず噂だけを信じて俺を信じてくれないようでは、このまま付き合って行っても傷は深くなるだけかなと。
潤は写真見ても、ちゃんと話聞いてくれたし信じてくれたけど、彼女は話さえ聞いてくれなかったですから。
それに、スタートは俺が好きになって始まった訳でも無いですから」
「悠貴そんなに彼女欲しかったの?」
「居ないよりは居た方が……」
「まぁなぁ。野郎ばかりとつるんでもなぁ」
千景はしみじみ言う。
「じゃあさぁ、ドイツから帰ったら合コンやろうよ!」
「いや、玲音先輩と合コンしても女の子全員、先輩にしか興味持ちませんから……」
「玲音、お前……。忘れて居るだろ?」
「ん?何を?」
「司法試験」
「あーそういえばそんなのあったね。廉の入院騒ぎで忘れてた」
「パンダ、お前。間違えなく絶対100%落ちるぞ!廉。パンダに足引っ張られるなよ!」
「俺が本気を出せば司法試験くらい!!」
「ほー。受かるんだな?廉!パンダの勉強見てやる必要なんかないぞ!」
「えっ?廉!俺を見捨てるなよ?」
「で、玲音。いつ、お前は本気を出すんだ?」
「ん~?もう少ししたら??」
「今出せ!すぐ出せ!ここで出せ!」
「廉、落ち着いて体に悪いよ?」
「お前のせいだろうが!」
「悠貴、俺の噂は??」と千景が聞く。
「当然、知りませんよ!なんで俺だけ不幸にならなければいけないですか?」
「残念だぁ。消してくれればナースの合コンとか女医の合コンとかセッティングしてやってもいいんだがな?」
「やります!是非やらして下さい」
「千景!俺も参加する~♪」
「玲音!お前、本当に落ちるぞ?」
「そうですよ!玲音先輩は大事な時期なんですから試験に集中してください。合コンなんか来ちゃダメです。ってか、先輩には必要無いでしょ?選り取りみどりなんだから!!」
「ふっ、つまんないの………。でも、司法試験終わったらさぁ~。しようよ!ね!」
「玲音、お前そんなに彼女欲しいのか?」
「ん?別に……。合コンに行って見たいじゃん♪」
「パンダは、合コンの恐ろしさを知らないな?」
「えっ?千景そんなに合コン行ってたの?
俺も誘えよ!!」
「誰が人寄せパンダ誘う馬鹿、何処に居るんだよ!連れて行けば他の野郎に怒られるだろうが!」
「もしかして廉!廉も隠れて俺に黙って合コンとかに行ってるの?」
「どうやったらお前に隠れて行けるんだよ!反対に教えろよ?お前、何時も傍にいるか、四六時中電話してきてるだろうが!」
「なら、いいや~」
「いいのかよ?」
「そのうち千景にセッティングしてもらえばいいじゃん~」
「だから、パンダの独壇場になるの分かって居るのに誰がセッティングするかよ?」
藤堂が「皆さん!出国準備初めて下さい」と言って来た。
飛行機の中で廉は寝ていた。
というか、玲音と千景以外はほぼ寝ていた。
玲音は隣で寝ている廉を起こす。
「ねね、廉!起きてよ?退屈だよ!」
「うるさいなぁ~。ほら、これ読んでろと六法全書を渡す」
「もう~俺は、寝たい訳じゃ無いんだよ!」
「もうなんだよ!何したいんだ?」
「何かしようよ!」
「わかった昼寝しよう!」
「廉のドアホ!」
今度は悠貴の所に行く。
「ねね、悠貴!起きてよ~」
「何ですか?先輩?」
「退屈だから何かしようよ?」
「モニターで映画でもみたらどうですか?俺は寝ます……。眠い……」
「もう~!何で寝るかな? 千景何してるの?」
「何って、国家試験勉強だよ。パンダも、廉に頼らず自分で勉強しろ」
「こんな中で、よく覚えれるよね?」
「こんな覚え易い空間もないと思うがな?」
「ね~。何で樹里亜の依頼受けたのさ?」
「何でって、俺が受けなければパンダに行くだけだからな。
廉が体調が悪いのにお前らに回す訳にはいかないだろ?
それに、樹里亜も本当に困ってたみたいだったし、男が女を脅すような奴は許せないからな」
「流石、女好きで有名なだけあるね」
「なんだそれ、俺の何処が女好きなんだ?
女たらしとか好き勝手言われているみたいだし、俺のどこにに女の影なんてあるんだ?そんな暇ありゃしないじゃないか?」
「でも千景、俺達と居ない時は絶対女の人と一緒にいるよな?」
「そうか?そんなことは無いだろ?まともなデートする暇さえ無い俺を構ってくれる女なんか居ないだろ?」
「居るじゃん一人」
「ん?誰だ?」
「樹里亜」
「……………。俺が構ってやってるだけだ」
「多分、樹里亜は千景の事が好きだよ?
素直じゃ無いだけで……」
「樹里亜はお前らと同じ仲間だよ。
それ以上でもそれ以下でもない。
変な事言うなよ」
「そういえば、パンダ!こないだ病院で看護士の何人か口説いただろ?」
「えっ?そんなことはしてないよ?」
「口説かれた看護士同志が喧嘩してたぞ。
あの病院で口説くのは辞めてくれ。
苦情が全部俺にくる」
「口説いた覚え無いけどなぁ~。あっ!あれかな?廉の点滴を代えて貰うのに、早くして貰う為に少しだけ誉めておいたんだけど……」
「………。なんて誉めたんだ?」
「お姉さん。手際良くて美人で本当に白衣の天使だね?いや、病気治してくれるんだから女神様かな?俺、惚れてしまいそう。
出来れば俺の弟のために少し協力してくれない?って」
「よくそんな歯の浮くような台詞言えるな?」
「廉のためなら、言う事なんて簡単じゃん」
「どうして俺は女たらしで、こんな事を平気で言うパンダは違うんだよ!おかしいだろ?」




