All worldly things are transitory.
1.All worldly things are transitory.
廉は齋藤と伊集院、加藤の定例会用報告書を秘書室に渡すべく本社に一度帰って来た。
柊木さんに報告書を渡して秘書室を出た所で時宗と出会った。
「ん?廉。仮設事務所の方に行ったのではないのか?」
「報告書作成し終わったので戻りました」
「そうなのか?あぁ、ちょうどいい。
これから外回りなんだが同行してくれよ。まだ、藤堂君松葉杖取れなくてね」
「どこに行かれるんですか?」
「都市交通局と都庁、最後横浜事務所だ」
「なら、最後の横浜事務所までなら」
「あぁ、詳しい予定は、昼御飯一緒にたべながら藤堂君から聞いてくれ」
そんな話をしていると、藤堂がやって来た。
「ん?なんで、廉君がここに居るのですか?」
「雅治達の報告書を持って帰って来たようだ。午後から廉に同行してもらうから、昼御飯食べながらスケジュール説明してやってくれるかい?」
「はい、分かりました。廉君、今回の定例会、加藤さんに同行するんだって?」
「はぁ…。なんかそうなってしまいました」
「えっ?そうなの?雅治より私の同行して欲しい位なのに。でも同行者の旅費は経費で落ちないだろ?幹部クラスは」
「加藤さんのポケットマネーですよ?」
「雅治の奴、私にはたかるのに羽振りいいな?ん?玲音は?廉がドイツに行くと聞いたら………」
「おじさん、玲音に話しちゃダメですよ」
「内緒で行くのか?」
「内緒では無いです。聞かれないから言わないを通すんです」
「大丈夫ですよ、拓哉が玲音様を同行させるそうですから」
「えっ?齋藤君も羽振りいいね?」
「いや、私のポケットマネーです」
「ん?なんで?藤堂先輩が?」
「拓哉、無駄使いしすぎでピンチらしいんです。まぁ今に始まった事では有りませんが……。
もし、後で廉君がドイツに同行したと聞いてヘソでも曲げられたら、拓哉が困るんで、借金してでも連れて行きたいと泣き付いてきました。
確かに、バレると大騒ぎなりそうなので……。仕方無いから今回は私が出すことにしました。拓哉に貸したとしても返って来ませんからね」
「それなら、私が出すよ?廉も、玲音の分も……。
確かメアリーもあの時期ローテンブルグにいるはずだ。家族旅行にすればいい。
あっ!ついでに定例会の後、休暇取れる様にスケジュール調整してくれない?」
「えっ?今からですか??」
「藤堂君も、取って観光すればいいだろ?
定例会は同行してくれるんだろ?
念願の観光出来るぞ!?」
「統轄長、簡単に言わないで下さいよ。
それにこの足でどう観光するんですか?」
と言ってスケジュール帳を確認している。
「何日、取るつもりですか?」
「ん?最大何日取れるの?」
「統轄長、ドイツそのまま半年間滞在になってますよ?」
「えっ?そうだっけ?。工場買収と新しい支社の建設の為の諸々で………」
「藤堂君、足どうするの?」
「どうすると言われても治るまでは、こっちですかね?」
「えっ?誰が同行してくれるの?」
「私、一人?」
「現地のドイツ人秘書でも雇います?」
「私、ドイツ語苦手なんだが?」
「私が同行したとしても、ドイツ語なんて喋れませんよ!」
2人の視線が自然と廉に目がいく。
「無理ですよ?俺は司法試験有りますし、
ただでさえ勉強が出来て無いんだから!」
「今の廉君の実力ならまず落ちる心配はないと思いますよ?
次いでに半年間留学してドイツの法曹専攻科取るのも手ですよ?
統轄長のお供は講義の合間にすれば……。
司法試験日前後に一度帰国して受ければいいでしょ?
ギブス取れたらすぐ私もドイツ行きますからついでに司法試験の相手くらいしてあげますよ?」
「そうだ、それがいい!そうしたらどうかな?ちゃんと留学手続きしておくからさ」
「玲音どうするんですか?それこそ黙って居ると大騒ぎになりますよ?」
「玲音も来たければ来ればいいじゃないか?」
「加藤さんと齋藤先輩の事務処理どうするんですか?」
「定例会で合同事務局可決されれば、すぐ対処するから大丈夫だ」
「うん、名案だ!藤堂君、すぐ手続き頼むよ?」
「はい、分かりました。留学先の大学どこにします?」
「何処って………。考えた事なかったら………」
「なら私に任せて下さい」
「でも本当に留学するんですか?」
「こんな一石二鳥なチャンスないですよ?」
「いや俺は一石二鳥でも何でも無いですから………」
「まぁ、いいじゃないか?ドイツ行くのが楽しみになってきたなぁ」
藤堂が廉の耳元で囁く。
「寂しがり屋な所は、玲音様そっくりでしょ?」
廉は苦笑するしかなかった。
お昼、時宗と藤堂に連れ出されてレストランの個室で本日の予定とドイツの仕事の内容を聞かされた。
時宗は加藤に、廉は玲音に、藤堂は齋藤にそれぞれ連絡をする。
「雅治、廉のドイツ行のチケット手配しなくていいから」
「何でだ?連れて行ってもいいだろ?」
「あぁ、連れてはいくが、そのまま半年滞在させるから……」
「待て、時宗!俺のアキレス腱、勝手に取るなよ!半年ってどう言うことだ?」
「藤堂君がドイツに滞在出来ないから廉、留学を兼ねて手伝って貰う事にした」
「俺の部の事務処理は?」
「ドイツの定例会で可決すれば、翌日から直ぐに三部門合同事務局設立させるから問題無いだろ?今から根回ししておいてやるから心配するな?」
「いや、事務局は要らないから廉をよこせ!」
「諦めろ雅治、決定事項だ!」と言って切った。
「玲音。今、時間取れる?」
「ん?何?忘れ物でもしたの?」
「う~ん。なんかさ、今度の定例会でドイツに同行した後、そのままドイツに留学することに、なぜかなったんだ」
「何?それ、俺、聞いてないぞ!」
「うん、俺も、今聞いたから………」
「俺は、どうすんだよ!」
「どうって………。玲音ドイツの法曹専攻科に興味有るのか?」
「別に?でも、廉行くなら俺も、行くぞ!親父の許可出たのか?」
「出たも出ないも………。言い出したのおじさんだから………」
「そこに親父居るの?」
「うん、まぁ」
「代わって…」
「おじさん玲音が話したいって……」
時宗は、苦笑する。
「まぁ、そうなるよね」と言って電話に出る。
「私だが?」
「親父!俺の居ない所で何、勝手に決めてるんだよ!廉を勝手にドイツに留学させるなよ!」と凄い剣幕で喋る。
「玲音!落ち着け。お前も、興味有れば一緒に手続き取るから、だからこうしてお前の意向聞いてるだろ?
急なのは色々と事情が有って、先程話が出たからだ。廉もお前もドイツ語には苦労しないだろ?だから時間は関係無いだろ?玲音はどうしたい?」
「決まってんだろ?俺も、行くに!それ以外の選択肢あるのかよ?」
(日本に残ると言う選択肢はあるが………。)と時宗は言いたかったが息子の剣幕で呑み込んだ。
「わかった、定例会後そのまま滞在するように手配するから、玲音。お前も準備しなさい」
「わかった」と言って電話が切れた。
「拓哉?今、時間いいか?」
「十碧。お前が、この時間にかけてくる時は、嫌な予感しかしないんだが?金足りなくて貸せないとか言うなよ?」
「拓哉じゃあるまいし、貯金が無いとかあり得ない。どうしたら、そんな孤島にいてそんなにお金使うのかが理解できない」
「まぁ、お金貸してくれるなら別にいいぞ」
「玲音様の旅費は要らなくなったぞ」
「ん?なんで?玲音君行かないって?」
「いや、統轄長が廉君も玲音様の分も出すって……」
「そうなの?」
「あぁ、その代わり……」
「待て、嫌な予感がする。なんか凄く嫌な予感が~」
「玲音様達は、そのまま半年程ドイツに滞在されるからそこの手伝い定例会迄だ」
「おい、待て、どうすんだよ!玲音君が居なくなったら仕事回らないじゃないか!」
「文句は統轄長に直接どうぞ」と藤堂は時宗に「齋藤です」と携帯を渡す。
「もしもし、齋藤君かい?」
「えっ?統轄長?」
「あぁ、私だが?」
「統轄長、今、玲音君を取られたら俺の部仕事回りませんよ?考え直して下さい」
「大丈夫だよ。定例会で合同事務局設立可決すれば翌日から直ぐに発足するように手配しておくから」
「えっ?でも………。可決しなかったら?」
「その場合、君達に頑張って貰うしかないね?」
「えっええぇ~!!!無慈悲な!」
「心配しなくても可決されるから」
「なんで急に?来年でもいいじゃ無いですか?」
「私がドイツに半年滞在するんだが、藤堂君のギブス取れるまで日本に居るだろ?私がドイツ語苦手でね………。
廉がドイツの法曹専攻科に興味有るみたいだから留学と私のサポート兼ねて行くことになったんだよ。だから、玲音は芋づる式にね?」
「すいません。藤堂に代わって貰えますか?」
「あぁ、わかった。藤堂君代わってくれって」
「もしもし?」
「十碧!お前直ぐにギブスとれ!リハビリは俺がドイツ行くまで付き合ってやるからそれまでに歩け!何が何でも治せ!」
「アホか!無理に決まっているだろ!」と言って切った。
「切って、よかったのかい?」
「馬鹿相手しても時間の無駄ですから」
廉は苦笑するしかなかった。
加藤は船上で「俺のアキレス腱………」と放心状態になり。部下から「部長!次の指示くれないと仕事出来ませんよ?部長!」と悲鳴がしていた。
齋藤は、何とか藤堂がドイツ行くまでに完治する方法が無いか?全力で調べていた。
ドイツ行きを数日後に控えたある日、廉は、何時ものように横浜事務所に出勤した。
受付の所で受付嬢の御機嫌取りながらと愛想よく話しをしている伊達男がいた。
「へぇ、そうなんだ。いいな、俺も、今度そこに行って見たいな?」と楽しそうに笑いながら話している。
廉は、何時ものように受付嬢に「おはようございます」と挨拶して通り過ぎようとすると…。
「廉。何、他人のふりして通り過ぎようとしてんのさ~。俺がどれだけ待ったと思っているの?ねぇ」と受付嬢に同意を求める。
受付嬢はにっこり微笑む。
「なんで玲音が、ここに居るんだよ?」
「齋藤先輩のお供だよ?」
「齋藤先輩は、居ないじゃないか?」
「会議室にいるよね?」とまた受付嬢に同意を求める。
「で、俺に何の用なんだよ?」
「冷たいなぁ……。家族に対してそう言ういいかた無いんじゃないの?」
「…………。玲音、ついて来い」
「じゃあまたね~」と玲音は受付嬢に手を振りながら廉について行く。
エレベーターの前で溜め息をつきながら
「で?用事は?」
「特に無いよ?」
「なら齋藤先輩にちゃんとついて居ろよ?」
廉はエレベーターに乗り締めようとする。
「もう~!廉。俺を置いていくなよ!」
玲音はエレベーターの扉を開けエレベーターに滑り込む。
「用無いんだろ?俺は仕事しなければ行けないんだよ!玲音の相手している暇無いんだよ」
「俺が手伝ってやるって!ねね」
「却下だ。俺は仕事が貯まってるの」
「まだ何も言ってないだろ?」
「言わなくても、分かる。受付嬢からどうせ美味しいと評判の洋菓子屋教えて貰ったんだろ?で、シュークリーム食べに行こうとか言うんだろ?」
「凄いな廉、なんでわかるんだ?」
「さぁ?なんでだろうな?」と言うとエレベーターが開き廉は降りる。
「待てよ…」と玲音は廉を追いかける。
「なんで機嫌が悪いんだ?あっ!受付の娘と仲良くしてたから?」
「アホか!何で、俺がそんなことで気分害するんだよ。好きなだけ、いちゃついてこい。そうだ、あの娘達と食べに行けばいいじゃないか?行ってこい」
「も~ぅ、俺が何したと言うのさ?そんなに怒んなくていいだろ?」
廉はオフィスに「おはようございます」と入っていく。
廉の机の向かいにあからさまにやる気の無い男がいた。
廉が席に着くと間もなく始業の音楽が鳴る。
しかし、男は朝食中なのか?机の上にサンドイッチと珈琲、バナナを机の上に起き、新聞広げて見ている。
玲音は廉の隣に座り仕事の山と男を見る。
「成る程ね……。これが御機嫌斜めの理由ですか?」
「いいから、玲音大人しくしていろ」
「何?この書類の山?」
「今日の仕事だよ。だから邪魔するな」
玲音があれこれ聞いてる。
すると、やる気の無い男があからさまに不遜な態度で廉達に言う。
「あの~。煩いから外でやってくれません?」
「佐藤さん、すいません」と廉はあやまる。しかし、玲音は、作り笑顔で言う。
「騒いだ事は謝ります。すいません。
でも、貴方も明らかに仕事してないですよね?就業中に新聞何か読んで……」
「玲音、辞めとけ!大人しくしてろって!」
男は新聞をぐじゃぐじゃにし、玲音に突っかかる。
「こう言うのは俺の仕事では無いんだよ!
俺は事務仕事するために、この会社に入って来たわけでは無いんだよ!」と大きな声で叫ぶ。
「なら、辞めろよ!今すぐ辞表書けよ!仕事もせず大きな顔をして、のさばって居て給料貰おうとか思うんじゃ無い!」と玲音が男にいう。
「何騒いでるんだ?」
騒ぎに気付いた加藤がやってくる。
「玲音、廉、どうした?」
「この給料泥棒に会社辞めろって忠告してるんだ」と玲音は怒りを顕にする。
「玲音。辞めろって!」
廉は玲音をなだめる。
「何で、バイト風情にそんなこと言われなきゃならないんだ?」
「佐藤!いい加減にしないか!就業中に新聞広げて朝飯食ってる方がおかしいだろ?
それにお前、そのバイトに仕事殆どやって貰っているんだろ?
玲音の言う通りやる気無いなら辞表出せ。解雇より自分で辞める方が履歴書に傷が付かんだろ?」と加藤が忠告する。
「何騒いでるの?」と齋藤も出てくる。
段々周りが佐藤を取り囲んできた。
「俺、帰ります。本日は有休使います」と言って佐藤は帰って行った。
「なんだよ?あいつ!ふざけんな!」と玲音が怒っている。
そのまま廉と玲音は会議室に呼ばれて、伊集院、加藤、齋藤が事の経緯を聞いた。
玲音が事細かく経緯を話した。
「すいません。俺、仕事戻ります。今日中に全部済まさないと、他の皆さん困るだろうから……。明日からはここには来れませんし」と玲音が経緯を話し終わると廉が言う。すると玲音も心配そうに「廉、俺も、手伝うよ!」といい。2人は会議室を出た。
「あの佐藤って奴も相当だな?あの玲音君怒らせるんだから」と齋藤は温厚な玲音が怒ったのを見てびっくりしながら言う。
「雅治、本人の口から仕事はやる気が無いと、はっきり言ったのだから、解雇出来るのでは?」と伊集院は呆れながら言う。
「まぁな。定例会から帰って来るまでに辞表出さない様なら解雇するさ」と2人が出て行った方を見ながら加藤は言う。
「しかし、これだけの部所の事務処理、殆ど廉君一人でやってたとはねぇ」
伊集院は廉を不憫に思う。
「俺だったら投げ出しそうだ。しかも目の前であんな態度のが居るとな……。俺の部の柏木も相当だけど、この部の佐藤の方が上行っているとはね………」
齋藤も同情した。
「取り敢えず、廉君達が居なくなるから、段取りしておかないと、合同事務局設立しても旨く機能しなかったら目も当てられ無いからね……」
伊集院が取り仕切って打ち合わせを続けるように提案する。
「しかし、ドイツ連れて行こうなんて言わなければよかった。そうすればこんなことには……」
2人は大きな溜め息をつく。
「まぁまぁ、決まった事はどうにもならないぞ?それよりさっさと段取りしておこう」
伊集院が取りなす。




