A person who possesses exceptional wisdom
1.A person who possesses exceptional wisdom.
加藤が仮事務所にやって来た。
「報告書の資料揃えましたよ。そろそろ、取りかからないと秘書室から催促来ますよ?」
「ありがとう。やっぱ廉は仕事が早いな~。報告書作成は船の中でやらないか?」
「統轄長から事務処理以外の仕事はするなと言われているんですが…………」
「時宗の奴、要らない事を……。でも、報告書は傍に居て俺が指示した方がいいだろ?」
「そりゃあ、指示無しでは、俺が報告書を作るようなもんで、意味ないじゃないですか?」
「それは、それでいいんだがな?まぁ今、海底調査大詰めで俺が現場の指示出さなくてはならないんだよ。船に来てくれたら両方出来るだろ?
今回の調査の報告書も作らないといけないし、調査データ船から直接引っ張ればいいだろ?」
「分かりました。まぁ、報告書は出来るだけ早く出してあげないと秘書室が可哀想ですから。それに、助っ人居るのに提出が以前と変わらないとか言われると俺が来た意味有りませんしね」
「廉、何か藤堂に似て来たな?」
「尊敬する兄貴であり、先輩ですから…」
「そうかぁ~。でも秘書室より海洋開発部も面白いぞ?廉さえその気になってくれればなぁ~」
「無理ですよ。おじさん困らせる事はできませんよ。それより、早く行って報告書を仕上げましょう」
「仕方ないなぁ、そう言えば今週末、島に行くのか?」
「ん?なんでですか?」
「玲音がダイビングしたいって。だからついでに海底調査付き合えと言っておいたが?」
「なんか、言ってましたね……」
「廉は、来ないのか?デスクワークばかりでストレス溜まるだろ?
しかも元人事部のクソ野郎と一緒に仕事なんかして……」
「加藤さんが、それ言っては……」と苦笑する。
「お前も、週末来い!いいダイビングスポットに連れて行ってやるよ。
少しは命の洗濯した方がいいぞ?」
「まぁ、そうなんでしょうが、司法試験も後、半年切ったし……」
「藤堂に見てもらえばいいだろ?今一緒に暮らして居るんだろ?あいつストレートで合格してたぞ?」
「先輩は、凄い人ですから……」
「まぁ、週末は空けておけ」
「はぁ、分かりました」
結局、船に行くと、報告書用のデータ抽出とか言いながら、データ解析や集計の手伝をさせられた。
「廉と玲音、お前ら同じ方法でデータ解析していくんだな?」
「ん?そうなんですか?俺、玲音のやり方なんて知りませんよ?」
「そうなのか?全く一緒の方法取ってるからびっくりするくらいだ」
「普通はこんなやり方しないんですか?」
「しないな~。でも、お前らのやり方の方が微妙な変化に気づくのかな?」
「う~ん?よくわかりませんが、ここと、ここ?他と違ってますよね?
だから、違うと言うことは何か変化が有るのかと…。そう思ってやってましたが、他のやり方あるなら、やり方教えてくれれば、そのやり方でしますが?」
「いや、そのままのやり方でやってくれ」
「今回の定例会は何処でやるんですか?」
「ドイツだよ?」
「ドイツかぁ~。いいですね」
「廉も一緒に来るか?」
「廉には大分借りが出来たから、そろそろ支払わないとな。俺のお金で連れて行ってやるぞ。ドイツはビール旨いぞ、そう言えば廉、お前ドイツ語も出来るよな?」
「出来るって程では無いですよ?」
「よし、決まりだ!廉、俺のお供で付いてこい!」
「え?統轄長の許可は?」
「会社の金で行くわけではないし、俺のお供と言うことは、仕事の一部だ問題ないよ。
ドイツで、行きたい所を調べておけよ?でも、今回は誘拐されないようにな!」
加藤は楽しそうに笑う。
「いや、俺は誘拐されて無いですから……」
週末ホテルの廉の部屋のインターフォンが連打されていた。
「う~ん、うるさい!」
扉を開けると玲音が満面の笑みで立っていた。
「もう~なんだよ?こんな朝早くから!」
玲音は廉の部屋を自分の部屋様に勝手に入って行きベッドの上に座り、「早く支度しなよ?迎えに来てやったんだから……。朝ご飯一緒に食べよ?」
「まだ早いじゃないか?10時集合だろ?」
「そうだよ?」
「今6時じゃないか!もっと寝かせろよ!朝メシ一緒に食べるにしても9時に来い!」と玲音の方に向くと、廉が持って来た参考書をベッドの上で転がって見てる。
「これ見てると確かに眠くなるよね~」
「おい、ここで寝るなよ!自分の部屋で寝ろよ?」
「だからさ。早く支度を………」
「玲音!寝るなよ!俺が寝たいんだ!!」
「お前………。何で俺の部屋の番号知ってるんだよ!クソ!」
仕方なくソファで寝てると2時間後、またインターフォンが連打される。
「もう!!うるさい!!!」と玲音が起きる。その声で廉も起きた。
「お前が、それ言うのかよ?」
「廉、うるさいから早く出て!!」
「…………」
扉を開けると悠貴が立っていた。
「やっぱ、ここにいた。廉先輩、玲音先輩ご飯行きましょ!」
「悠貴来るの早いよ!後1時間は、寝れるよ?」
「玲音!だから、お前の部屋で寝ろよ!!!何で部屋の主がソファで寝ないと行けないんだ?」
「ベッドで寝ればいいやん?」
「お前が、寝てるだろ?」
「そう言えばそうだね。まぁ廉なら隣で寝ても構わないよ?」
「俺は構う!!!お前の寝相の悪さは酷すぎる!」
「もう先輩達、喧嘩はいいから、ご飯行こうよ~」
しぶしぶ2人は起きて支度をし部屋を出る。
ホテルのレストランに行くと加藤と伊集院が朝食を取っていた。
「早いな?お前ら。一緒に食べるか?おごってやるぞ~」
「わーい」と悠貴は伊集院の隣に座る。
廉と玲音は顔を見合せ、『代償は何?』と聞く。
伊集院は大笑しながら「雅治!こいつらこき使いすぎだ!」
「そんなことないよな、廉?」
「はぁ………」と苦笑する。
「まぁ座って、好きなもの頼めよ!」
「ありがとうございます。御言葉に甘えて」と加藤の隣に廉が座り、その隣に玲音が座る。
結局、なんやかんや加藤達と話しながら朝食べて居たら集合時間の10分前になった。
そこに綺麗な女性が、スーパーマーケットの袋に入った荷物を加藤に届けに来た。
「雅治さん、頼まれた物買ってきました。足りますかね?」
「ありがとう。助かるよ。今度ちゃんとお礼するからね」
加藤は丁寧にお礼を言ったら女性は
「ではまた」と去って行った。
「雅治なんだ?それ」と伊集院が聞く。
「ダイビングすると体力消耗するだろ?
お昼はバーベキューでもと思って材料頼んで置いたんだ」
「へぇ~、雅治お前にしては、気が利くじゃないか?」
「そりゃあ、廉には、かなりの借りがあるからな~。さっさと払わないと、次頼めないからな。廉には、まだまだ働いて貰わないと困るからな?廉は今や、俺のアキレス腱だかな~。
あっこんな時間か?そろそろ齋藤も来る頃ではないか?ロビーに行くか?」
ロビーに行くと齋藤がすでに来ていた。
「おはようございます」と齋藤が笑顔で挨拶する。
それぞれが『おはようございます』と挨拶を交わす。
「廉君、久しぶりだね!加藤さんにこき使われて大丈夫?」と笑う。
「齋藤こそ、玲音こき使っているじゃないか?」
「そんなことは、ないよな?玲音君?」
玲音は笑っている。
「加藤さんの船でいいんですか?」
「あぁ、ついでに誠が探査して欲しい箇所あるというから機材持って行くからな」
「なら、道具類、移しますね」
「先輩、手伝うよ」と玲音と悠貴。
「では僕も…」と廉が言うと、
「そんなに無いから大丈夫だよ!」と齋藤は廉に休んで居るように言う。。
「まぁ、座って楽すればいいさ」
伊集院が海洋図を見ながら、廉に言う。
「はぁ…教授。調査は今どうなって居るんですか?」
廉は興味本位で伊集院に聞く。
「う~ん。余り進んで無いんだよ。
海底で大きな岩場の影に入口が有っただろ?
あの岩場取り除くのに生態系とかの影響調べてから影響の無い範囲で、撤去してから探査始めたけど、海底と言うこともあって、次は安全面の調査して人を入れて行くからね……。海底でなければまだサクサク進むんだがね~。
でも、廉君、パソコンのモニターからあの入口によく気がついたね?」
「入院してて、暇でしたからね……」
「あっそうそう、報告書の資料の件すまなかったね。なかなか時間取れなくてさ」
「ちゃんと頂きましたから大丈夫です。
月曜には完成します」
「なら火曜日には、横浜に戻るのかい?」
「はい、他の業務が………。多分あの人では、また貯まって居そうですから………」
廉は溜め息を付く。
「バイトより仕事出来ない社員ってどうなんだろうな?俺の所は半数は学生だからあまり関係無いんだが………」
齋藤がやって来て「さぁ出掛けましょう」と言う。
船に乗り込み島の周辺までやって来た。
伊集院教授が廉の隣に来て言った。
「この真下が遺跡の入口だよ。遺跡入れる所まで入って見るかい?まだ一度も見たこと無いだろ?」
「でも、作業の邪魔では?」
「悠貴君が案内するから大丈夫だよ。
齋藤君も見てみたいらしいから、廉君と悠貴、玲音君と齋藤君でバディ組んで行っておいで。
雅治と俺はこの辺の調査しているから」
「ありがとうございます。行って見ます」
4名は海底に潜って行った。
残った2人の男達は
「雅治、お前が思いついたのか?
廉君に遺跡を見せてあげると言う企画」
「いや、玲音に頼まれただけだ。考えてみたら、あの日は廉、入院しててここには来れなかった。
その後も本人は行きたいとは口にしないし、調査や作業で入れなかったからな?
玲音はそう言う所もちゃんと廉の事考えてやっているな。
あと、最近廉、ストレス溜まって居るみたいだから気分転換させてあげたいとな。
それに玲音が俺に、苦情言って来やがった。
『廉に仕事振りすぎ!廉、山積みの書類に目眩しそうだって。体調崩して発作でも、起こしたらどうするんだ!』ってね。
『もし、そんなことになったらいくら親父の親友だろうと俺は絶対に許さないからな!』って脅されたぞ」
「そう言えば俺も、資料の件で玲音に
『教授が揃えなきゃ誰が揃えるのさ?俺達は助っ人で、永久的に手伝うわけでは無いんだから、今のうちに合理的に作業が出来るようにしないといけないのに、当事者が非協力的でどうするのさ!後で後悔するのは誰か、わかるよね?ちゃんと廉に協力してよ。』と説教されたな」
「時宗も毎日の様に、ガンガン言われてるのかな?ある意味、あの時宗が玲音の事になるとナーバスなる理由がわかったよな」
「確かに……。でも、いい息子が2人も居て時宗の奴、幸せ者だよな?
将来グループの双璧になるのは間違いないな」
「あぁ俺は、結婚はしたくないが、廉なら、俺が養子に貰えば良かったよ」
「雅治の息子は、可哀想過ぎるな!」
「なんでだよ!」
「毎晩、家に居ない親父なんてなぁ~。
まぁ養子縁組みの審査に通らないよな」
「………。そう言う誠も同じだろうが!」
船上でバーベキューの似合わない2人が、雑談しつつ罪滅ぼしのために心ばかりのもてなしの準備をしながら雑談は続いていた。
「齋藤君は、今日は何で参加してるんだ?」
「あぁ、奴も藤堂にかなり怒られたらしいぞ、資料を準備する暇がなかったから廉に丸投げして……。藤堂があんなに怒るとはと愚痴ってたぞ」
「しかし、時宗が雅治に丸投げして雅治は廉に押し付けた訳か」
「誠!押し付けたわけではないぞ!資料集めを頼んだだけだ」
「でも雅治お前、根回ししてなかったよな?早く言ってくれれば俺だってすぐ準備できたのに……」
「嘘つけ根回ししてようが、していまいが誠が前持って準備なんかするか?
誠だって何時も学生に面倒な事丸投げしているだろ!
あの報告書も廉が収集してくれたから出来たようなもので、俺がやったら一年後でも無理だな?」
「雅治、そこ威張る所はではないから」
「しかし、俺の部に廉、欲しいなぁ~」
「無理だろ。藤堂君が絶対離さないし、玲音君もごねるだろ?」
「藤堂の奴上手くやったよなぁ………」
「橘准一が生きている頃からの付き合いだからな………。准一も藤堂君を可愛がっていたし。廉君の事、実の弟の様にサポートしてきてるからな。雅治が付け入る余地はないな。諦めが心の養生だ」
その後4人が帰って来て、船上パーティが始まり、廉に取って楽しい一時を過ごした。
玲音と悠貴は水上バイク乗ってくると船からはなれた。
「齋藤先輩、加藤さん、伊集院教授、今日は、ありがとうございました。俺参加してよかったです」と廉が頭を下げる。
加藤が「俺達に礼は必要無いぞ。このイベントの立役者は玲音だ。
お前がストレス発散出来るように皆にお膳立てしたんだ」
「玲音の事は薄々気付いてました。
でも、玲音のワガママ叶えてくれてありがとうございます。俺、火曜日には戻りますが玲音は残るので、玲音をどうかよろしくお願いいたします」とまた頭を下げた。
「いやいや、俺達がお願いする方なんで」と齋藤は恐縮する。
「廉、こっちの仮設事務所の方がいいならここで仕事してもいいぞ?」
「いやぁ~。その場合余計な仕事が増えるんで……」と笑う。
「チェッ、お見通しか。でもドイツはちゃんと付き合えよ?」
「えっ?マジでお供するんですか?」
「あぁ当たり前だろ?」
「う~ん、分かりました。喜んでお供します」
「えっ?そうなると俺、玲音君連れて行くの?」と齋藤が驚く。
「いや、連れて行かなくていいですから……」
「でも、さぁ~」
「齋藤、経費はお前持ちだからな?落ちないぞ」
「そうだよね、やっぱり。こないだ水上バイク買ったばかりなんだが……。十碧、金貸してくれるかな?あいつシビアだからな………」
心と財布を痛める青年一人。




