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Eternal Return ~永劫回帰~  作者: 天野 花梨
Daily Activities -in University life-
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78/100

武陵桃源

1.武陵桃源(ぶりょうとうげん)


 玲音と廉はリゾート開発部と海洋開発部の助っ人ととして、それぞれの部所に出向いた。

 玲音は当分ホテル住まい、廉も週末だけしか家には戻らない。千景は、研修で大学病院の夜間勤務に入っていて昼夜逆転の生活なので、夜家には時宗と藤堂の2人となった。時々メアリーが帰って来るが移動の途中に由る事が多く滞在期間は短かった。


 とある夕飯時


「なんかさぁ、家に居ても会社に居ても、変わらなくなったね」と時宗。

「…………。ずっと統轄長の御守りするはめになるとは、思ってもいませんでしたよ。さっさと元人事部員達なんとかしないと、玲音様達に親子の縁切られますよ?」

「そうだねぇ、そのまま居ついちゃうのが怖いよねぇ……。特に玲音は……。何か面白いと思ったらのめり込んで、手の打ちよう無いもんなぁ~」

「あ~。その手があったか?」

「ん?何?」

「週末とか遊び放題じゃないですか?あの島は。拓哉がサーフィンや釣り、ロッククライミング、バイク、車乗り放題と休みの度に誘えば……。とどめに拓哉が犬なんか飼った日には…………」

「まずいな……。絶対こっちに、帰って来ないどころかリゾート開発部に行くとか言い出しかねないねぇ………。かなりまずいな……」

「統轄長!今、あそこには悠貴君も研修で滞在してますよ?それに、拓哉は日頃から遊び道具にはお金を惜しまず買い揃えてますから………」

「相当この上なくまずいな……。無理矢理でも玲音を横浜事務所に行かせばよかったよ………。うかつだったなぁ」


「結局、元人事部員はどうするのですか?」

「どうするも何もねぇ……。人事部に戻す訳には行かないし、新しい人事部で各部所の構成を考えて貰うしか無いからねぇ。

 私が全部考えていたらいくら時間が有っても足らないよ。それに、人事部の存在意味ないし」


「先日、加藤さんが言っておられたんですけど。リゾート開発部と海洋開発部と考古学研究所の三部門の事務作業を合わせて一緒に処理をすればと言う提案が有りましたよ?各々での処理に比べれば合理的ですが。ただし、総務に提出書類や会計処理だけになりますがね」

「それいいかも、知れないね」

「ただ、加藤さんはホテル内ではなく三部門が入る事務所が欲しいみたいですけど…」

「まぁ、三部門入るとホテル内のオフィスフロアでは手狭になるね………。

 ただ正直、リゾート開発部と考古学研究所は今、大きな利益は出して無いからねぇ。

 考古学研究所は学術的価値を見つけてくれさえすれば会社のPRになるからね。

 その点はあの遺跡見付けた時に役割果たしているけどね。

 変なCMにお金書けるより有意義だし、リゾート開発部は先攻投資と言うか、今は利益は出なくてもいいんだが メタンハイドレートの活用実積がでればそのノウハウを売ることできるし、島は観光施設でも、将来社員の保養所として開発していけば言いと思うだけど、いくら先攻投資と言っても利益の無い所に施設充実させると他部署からクレームになるからなぁ。

 他のインフラの仕事は齋藤君の片手間で動いて居る状態だしね。かといってそっちに力入れるとメタンハイドレートの方が暗礁に乗り上げてしまうしなぁ~。

 しかし、ただでさえ社員の島への往来で結構、経費掛かってるからね。海洋開発部の売り上げ次第だなぁ。まぁ雅治に定例会で提案させて他部署の反応みてからだな専用の事務所建設は………」



「統轄長は会社を立ち上げる事が趣味みたいですけど、他に何か無いんですか?」

「ん?別に会社立ち上げる事は趣味では無いんだがね………。一応、利益あげるような器にしないといけないし、それには、社員の皆に頑張って貰わないといけない。

 頑張って貰う為には、頑張った社員の待遇をよくしないといけないし、結構なかなか難しいよね。

 "Times change and we with time."

(時代は移り、人も時代とともに変わる。)というだろ?

 時代の変化にともなって、社会の価値基準も変化していく。

 今、会社の利益を生み出している部門も時代が変わればやがて利益出せなくなることも多いだろ?

 例えば造船業とかね。飛行機に需要かなり取られてるだろ?でも、船要らないのか?と言われると、需要はちゃんと有るでしょ?ただ利益が薄いだけで、まぁ、赤字になる場合もあるけどね。

 ではその利益出せなくなったその部門は要らないのか?今迄頑張ってやって来た人を切り捨てるのか?

 私はそう言う経営はしたくないなぁ。そう言う時代に翻弄された部門でも、出来ればギリギリ収益が有るくらいは頑張って貰いたいけどね。

 しかし、その様なギリギリの経営だと会社は立ち行かないから、先攻投資でも、将来利益が出そうな部門作って今度はその部門でしっかり利益出して貰う。そうする事で会社は安定するからやってるだけなんだけど、まぁ上手く行くと楽しいのは確かなんだけどね。


 趣味は若い頃は、よく旅に出てたなぁ。

 休みになると、親父にも黙ってパスポートと適当にお金持ってぷぃっと出掛けて行って帰って来たら、かなり怒られて居たなぁ。

 ビザが居るような国は親父に見付からない様に入念にひた隠しに隠して出掛けてたなぁ~」

「隠さなくても、言って行けばいいじゃないですか?玲音様が同じ事なされたら、かなり小言いうでしょ?」

「ハハハ、そうだね、そう言わればそうだ。ただ、あの時は見付からない様にするスリルと旅行の開放感が好きだったね。

 それに、自分にとっての桃源郷を見付けたかったな。メアリーと逢ったのその旅の途中だったし、得るものは多かったな」

「見付けたんですか?桃源郷」

「見付けたと言えば見付けた、まだ見付けてないと言えば見付かってないな」

「??どういう意味ですか?」

「理想の奥さん見つけて帰る場所出来た事が桃源郷だとも言えるし、純粋に土地や地域などの場所を指すのが桃源郷なら見付かってないな。

 それに、自分にとっての桃源郷が何処かなんて世界中の隅々まで行って見ないと分からないし……。もしかしたら、この地球では無くて他の星に有るかも知れないよね?」

「桃源郷なんて場所は無いと?」

「いや、その答えは最後の時まで出ないでしょ?世界遺産の様に後世に残したい綺麗な素晴らしい場所は沢山有るからね。

 最後の時に思い付く場所が自分にとっての桃源郷じゃないかな?」

挿絵(By みてみん)

「ところで藤堂君は、何が趣味なの?」

「私ですか?う~ん、昔はよく映画見てましたね。でも、最近は全く観てないし…。

 ストレス溜まるとドライブに行きますが、あくまでストレス発散なんで……。

 旅行は散々世界各国出張で飛び回っていますし、まぁ観光する暇は無いですが……。

 なのでわざわざ休みに行こうとは思いませんし………。実家に帰るのも面倒なくらいなんで旅行とかは無いな………。

 う~ん何だろう??」

「休みは何してるの?」

「だいたい、前の日に拓哉がやって来るので散々飲みたおして寝てますね………。

 あれ?なんで拓哉の奴、俺の休み知ってるんだろう?」

「………。飲むのもいいが、若いんだからもっとさぁ~。なんと言うか、余り人事は言えないんだが……。

 因みに齋藤君が藤堂君の休みを知ってるのはすぐわかるだろ?」

「何でですか?」

「私と休み一緒だから上三役は会社のスケジュールで調べれれる権利有るんだから調べれば1ヶ月分は載っているだろ?」

「なるほど……」



 廉は、横浜事務所の仕事が終わり近くホテルに着いた頃、玲音から電話が入った。

「ねね、そっちはどう?」

「どう?って言われても?」

「やっぱ俺、居ないと寂しい?」

「何の冗談だ?疲れているんだから用が無いなら切るよ」

「えー、折角電話したのに!」

「玲音。お前が寂しいから電話してきてるだけだろ?」

「そんな事は無いよ?こっちには悠貴も居るし」

「なら、悠貴と話し相手になってもらってくれ、俺は、本当に疲れているんだから……。仕事が溜まり過ぎで目眩しそうだ」

「廉、気分が悪くなったらちゃんと俺に電話しろよ?」

「玲音、お前の方が遠く離れて居るのに電話してどうなるんだよ?」

「どうにでもしてやるさ!いいな、絶対連絡しろよ?」

「あぁ分かったよ……。じゃあな、お休み!」


 海洋開発部の仕事は溜まりに溜まっていた。

 加藤さんから毎朝、電話が来るが優先順位が有って無いようなもので、凄い量が溜まっていた。

 前にやっていたと思われる元人事部の人はマイペースで何やっているの?と疑いたくなるような処理速度で、その上、定時にはきちんと帰って行く。

 そりゃあ、溜まりもするなと感心するくらいだ。だが、感心してもなんの意味もない。あぁ言う人もいるんだと割り切って仕事をするが、自分も処理のルールや仕方知らないから聞いてやるしか無いから余り思う様に進まない。

 何とか山の様にたまった書類は廉が赴任して一週間後に処理が完了した。


「加藤さん何とか処理完了しましたよ」

「あぁ、ありがとう。助かるよ、これで業務も滞りなく進める事が出来るよ。引き続き宜しく頼むよ」

「優先順位だけは分かるようにしてくださいね」

「あぁ、わかった。なにか不便な事や、分からない事が合ったら連絡くれ。宜しくな」


(定例会用の報告書作成の為の資料集めか………読んで行くと三部門合同事務所開設案だったが現状の報告をあげなければならない、リゾート開発部と考古学研究所に情報提供して貰わないといけない。これって加藤さんは依頼かけてないよな?絶対……。)


 加藤に電話して聞くが、「忘れてた」とあっさり言われて、予め話しを通して置くから直接聞いてくれと言われた。


 結局こうなるか?と齋藤先輩と伊集院教授に連絡するとお互い忙しいから直接担当者に請求してくれと……。たらい回しに合う。困り果てて、藤堂に連絡した。


「どうされました?」

「報告書の資料集めなんですが、齋藤先輩も伊集院教授も忙しくて担当者に請求してくれと言われましたが、そんなやり取りしていると報告書作成が期限に、間に合わないし、その部の担当者は誰かって直接事務所の方に聞かないと分からないですよね………」

「う~ん。拓哉は島ですか?」

「多分、かなり忙しそうです。余り話す時間無くて………」

「取り敢えず、あのホテル内のオフィスに直接行かれて必要な資料貰って、そこで報告書作成するか、直接貰って帰ったらいかがですか?

 加藤さんもあちらに居ますし、指示命令貰えるでしょ?

 旅費等は、出張扱いで稟議上げれば問題無いですよ?」

「分かりました。加藤さんにその旨相談してみます」

「疲れて居るようですが、大丈夫ですか?」

「はい、慣れないからなかなか旨くこなせなくて………」

「無理はしないでくださいよ。困ったら何時でも電話してくださいね」

「ありがとうございます」


 結局、報告書作成は細かい指示と三部門の資料が要るので島の近くのホテル内の仮事務所で作成する事になり、横浜から移った。


「廉、寂しくなって来ちゃったの?」と玲音が嬉しそうにに言う。

「玲音、何か楽しそうだな?」

「仕事は山積みだけど仕事が終れば、ここは遊び放題だよ?昨日はサーフィンしてきたんだ」

「…………。そうかそれはよかったな?で事務の担当者に会いたいんだけど?」

「ん?もう、会ってるじゃん?」

「??誰??」

「俺」

「いや事務処理の責任者だよ?」

「だから今は、俺なんだってば!」

「………。何か耳悪くなったかな?俺………」

「廉、俺もこう見えて忙しいから用が無いなら戻るよ俺………」

「なんで玲音が事務処理の責任者なんかしてるんだよ?」

「齋藤先輩がやれって………。その代わり、齋藤先輩のサーフィンの道具や釣りの道具なんでも好きに使っていいってさ」

「玲音………。お前、なんにでも釣れるんだな?

 まぁ、いいや、今の事務処理の現状教えて、それに係る資料あれば欲しいな……」

「一応資料は用意はしておいたよ?

 はいこれ、他に必要なのあれば言って。

 廉は、いつまでここに居るの?」

「ん?報告書作成し終わるまでだよ」

 廉は玲音から手渡された資料を確認しながらざっと書類に目を通している。

「じゃあさぁ~。週末一緒にダイビング行こうよ?」

「行く元気あればな?司法試験も近付いてきたし、少しは勉強もしないとだから、その時の気分だな?悠貴が居るんだろ?悠貴と行けよ?」

「えー、冷たいなぁ。折角ここまで来たんだから遊ぼうよ?」

「遊んで司法試験受かるなら遊ぶが、そんなに人生甘くないだろ?俺は、一回で受かりたいからな」

「廉なら大丈夫だろ?」

「なにを根拠に……。しかし、玲音も受けるとか言って無かったか?」

「受けるよ?」

「勉強してるのか?」

「全然、もう少ししたら、廉に……」

「却下だ玲音。自分でなんとかしろ!」

「全部言って無いのに……。廉は俺が落ちてもいいのかよ?」

「落ちないように、自分で何とかしろ!」

「え~。一緒に勉強した方が効率いいじゃん」

「一緒にでは無くて俺に教えて貰おうとしてるだろ?」

「そんなことないさ、俺が教えられれば教えてやるよ?」

「なら俺に教えられる様に勉強してくれ、毎日遊んでないで」

「でもさぁ~。桃源郷に来て勉学に励むより、心を癒したほうが良くない?」

「好きにしろよ?俺、仕事に戻る。

 多分これだけ資料あればなんとかなると思うが、足らなかったらまた連絡するよ」

「根詰めると良くないよ?週末は空けておいてよ~?分かった?廉!」


(あのままでは試験前に絶対ろくでも無いことになるな………。

 こっちも、仕事でまともに勉強は出来て無いのに……。後、伊集院教授の所か~。)


 伊集院教授の仮事務所に行くと、悠貴が居た。

 真っ黒に日焼けして、真夏のまま時間が止まっているのか?と思える程だった。

「廉先輩、久しぶりですね?」

「そうだな?今はずっとこっちなのか?」

「うん、そう」

「じゃあ潤、寂しがってるな?」

「潤はアメリカのNASAにいるよ?

 宇宙飛行士の訓練生に選ばれて行ったんだ」

「そうかぁ~。また夢に1歩近付いたんだな。頑張れよと伝えて置いてくれ」

「うん。伝えておくよ。でも、先輩今日はどうしたの?」

「ここの事務担当者は?」

「あー海洋開発部の人が来るって先輩の事だったのか?

 今日は事務のお姉さんお休みで預かっているよ。

 はいこれ資料、資料で足りない所あれば俺が分かるとこは説明するけど?」

「少しデスク借りるよ」

「どうぞ~。先輩週末もここにいるの?」


 廉は、デスクに座り貰った資料に目を通していた。

「報告書次第だよ」

「なら~」

「玲音から聞いたけど…。2人で行けばいいだろ?」

「多い方が楽しいでしょ?それに桃源郷に来て楽しまないなんてさ~」

「考えて置くよ。書類ありがとう。これで何とかなりそうだ、また、何かあれば来るよ~。じゃあな~」と事務所を出た。



(桃源郷ねぇ~。あの島は確かに楽園のような所だ。自然豊で、色んなレジャーを楽しめる。でも何故だろう?あの島に一抹の不安を覚えるのは……。何故か桃源郷などでは決してないと心が騒ぐのは……)

挿絵(By みてみん)

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