True love is the joy of life.
1.True love is the joy of life.
久しぶりに会社の食堂で昼食を取ろうと藤堂が向かうが松葉杖に気づいて、どうしょうか悩む。
そこへ、ある女性が声をかけてきた。
「お困りな様ね。藤堂室長」
「ん?」と声の方向に振り返ると田辺薫がいた。
「お久しぶり。お昼、御一緒しませんか?」と女性から誘われる。
「あぁ、女性にこんなこと頼むのも心苦しいだけど悪いんだけど、運んで貰える?お昼代はごちそうするからさ」
「よろこんでお手伝いしますよ。室長さん」と笑う。
藤堂も苦笑しながら2人分の食券を買い席につく。
田辺薫は2回に別けてランチを運んできた。そして藤堂の目の前に座った。
「なんで?本社勤務受けたの?」
藤堂は田辺に不思議そうに聞く。
「マンネリ化した生活を変えてみたくて。それに本社勤務は栄転でしょ?自分をキャリアアップ出来るのだから迷う必要なんか無いんじゃない?」
「拓哉、田辺さんが居なくなって仕事が増えて悲鳴あげてるよ?」
「そう、拓哉に私の有りがたさを見に染みて痛感できたかしら?」
「本社勤務じゃ無くてもマンネリ化は、変える方法は有ったんじゃないの?」
「例えば?」
「ん?そうだなぁ。う~ん………結婚とか?」
「藤堂君は拓哉が結婚に向く男だと思う?」
「う~ん……。そうだなぁ~。あまり家庭を省みるタイプでは無いけど、家族は大切にするだろ?」
「拓哉は仕事と家族を両天秤にかけた時、どっち選ぶと思う?」
「内容によるんじゃないか?」
「女性としては、内容とか関係なく何より家庭を選んで欲しいのよ。周藤君のようにね」
「でも、長い間ずっと付き合ってきてたじゃない?」
「拓哉は好きよ。愛してるわ。でも、結婚する男じゃない。結婚には向かない男よ。
拓哉本人だって、私とどうしても結婚したいと思っている訳ではない、自分の今のスタンスに合った付き合いが出来て居心地が悪く無いから一緒に居ただけ。そう言うことよ」
「………………そうなんだ。でも、拓哉が引き留めてたら?」
「拓哉は、絶対に引き留めたりなんかしないわ。
私が左遷かなんかで不利な他部所に行くような事があれば、全力で阻止してくれるだろうけどね………。栄転なら喜んで送り出してくれるわ。実際その通りだったもの。
藤堂君には、そう言う割り切り出来ないものね……。見かけはそう言うの得意そうに見えるのにね」
「それって、女たらしに見えると?」
「そこまでは言わないけど、大人の付き合いが上手いって感じ?」
「…………」
「藤堂君もてるのにね、もったいない。
それじゃあ、ごちそう様。一緒に食器戻しておくわね」
「ありがとう」
田辺薫が去っていく後ろ姿を見ながら藤堂は齋藤の事を思い寂しくなる。
(結婚と恋愛は別とか言われてもなぁ。
恋愛の先に結婚があるんじゃ無いのかよ?)
昔、生徒会役員に指名された時、拓哉と一緒に会計、書記のメンバーを必死に考えた。
田辺薫は才女と唱われ成績もよかった。
愛想はいいとは言えないが美人でマドンナ的存在だった。
拓哉が田辺薫を推してきた。割り切りのいい性格、冷静な判断力、頭の回転の良さそれにあの人気、男ばかりより女性を入れた方がいいと。それは、自分も同意し、勧誘は拓哉に任せた。
彼女の働きは思った以上だった。中等部卒業式の後、秀一と生徒会の部屋の明け渡しの為に生徒会室に整理にきた時、偶然に2人がキスしているのを見た。
秀一と顔を見合せびっくりしていると、拓哉が照れながら「俺達付き合うことにしたんだ」と言った。
びっくりはしたが、まぁ、何となく田辺が拓哉の事に興味持っていたのは分かっていた。当時から拓哉は、色んな才能を出していて全校生徒から注目の的だった。
絵画、英語、写真等のコンクール、コンテストで数々の賞を受賞し、並外れた運動神経で文武両道に優れイケメンの名を欲しいがままにしていた。
拓哉も美人で頭の切れる彼女に興味を持ったのも不思議はないが、自分は拓哉は美人なタイプより可愛い家庭的なタイプの女性と付き合って結婚すると思っていたから意外だった。
大学卒業後もあの2人は離れず田辺も拓哉と一緒の部所で片腕となってずっとやって来ていたから、時期が来れば結婚するものだろうと思っていた。
(やっぱり永すぎた春なのかよ。秀一はちゃんと家庭持って子供も居るもんな……。)
藤堂にとって恋愛は、ないよりある方がいいが、それに振り回されたくない。
自分の時間が取りにくいのに、恋愛の為に時間を割くのが嫌だった。
しかし、ありのままの自分の存在を受け入れてくれて、一緒に人生を供にしてくれる人が欲しいとは思ってはいたが、以前に拓哉に言われた通り自分よがりな考え方だとも重々承知していた。
しかし、今の生活が自由で楽しくて自らを変える気にもならなかった。
食堂から部屋に戻ろうとした時、食堂によく知った顔が入ってきた。
海洋開発部の加藤である。
「おや、珍しい所で会うね」
「今日は統轄長は外出中ですが、お約束でも、有ったのですか?」
「いや、総務に有能なの取られちまって代わりに来た人事部の奴が使えないから、業務がとどこおって、どうしてもこうにもならないのさ。
特に調査に必要な機材の消耗品が正規の手続き取っていたら現場仕事も回らなくなるから俺がこうして直接本社の総務部に稟議提出にきたのさ。
ついでに時宗と昼飯食べながら小言を言うつもりだったが逃げられたよ」
藤堂は苦笑する。
「仕方ないから藤堂お前付き合え」
「え?私はもう済ませましたよ」
「食後の茶でも飲めよ」
「しかし、昼休みも終わりますし」
「食堂で仕事の話しをすれば、いいだろうと連れて行かれる」
「お昼から、うな重ですか?」
「食べたいなら奢るぞ?頼めよ」
「いえ、先程食べたばかりなので、次回は是非」
「横浜事務所に廉、派遣してくれるんだろ?何時からだ?」
「派遣するのはしますが、誰が指示命令するんですか?あくまで彼はアルバイトですよ?」
「指示は毎朝、俺が電話でする。どうせあのホテルの仮事務所に来るのかと思って居たんだが……。よく玲音はただこねなかったな?」
「いつまでも彼等は、子供ではないですよ」
「齋藤の所は、玲音が来るんだろ?」
「はい」
「誠の調査事務所もあのホテルを拠点にしたみたいだし。事務所ホテル内でなく
3部署合同事務局作ったらどうだ?」
「加藤さん、それ私に言われても……。定例会で提案してくださいよ」
「それまで、この人員不足、我満できるかよ!」
「それなら拓哉と伊集院教授に根回してから統轄長に提案されたらどうですか?
ただ事務所の用地確保や建物建設とすぐには出来ないと思いますが」
「そう言えば齋藤の奴、最近元気ないな?何かあったのか?」
「拓哉の片腕が本社内、勤務になったからですよ」
「そう言えば、加藤さんって結婚してないんですよね?なぜですか?」
「何故って………。藤堂?お前、結婚したくなったのか?相手は誰だ?俺の知っている奴か?」
「したいか?したくないか?と言われればしたいですが………。相手が居ませんよ!
自分勝手な話しですが、恋愛に努力と言うものをしたく無いんです。ありのままの自分を受け入れてくれるような人でないと無理ですね。まぁこんなことばかり言って居ると結婚なんて無理でしょうね」
「まぁ "Who may woo but cost?"
(犠牲を払わずして誰が求婚できようか?)
と言う諺あるくらいだからある程度は、我満しないとな。
しかし、誠の様に我満の果てに疲れ果てて離婚するのも結婚する以上に大変だからな」
「伊集院教授はバツイチだったんですか?」
「あぁ、俺達3人の中で最も速く結婚したな。俺達見たいな仕事馬鹿は、時宗の様にそれぞれの自分があって相手、自分を認めて貰う代わりに相手も認める。そう言う関係でないと、最初は良くても続きはしないさ。俺にはそう言う相手が見つからなかったからな。だからしないのさ。
それに、短い人生、色んな女と過ごしてみたいじゃないか?
縛られなければ、自由な交際できる。
ただし、気を付けないと相手の罠にはまって年貢を納めなくてはならなくなるからな~」
「早い話、結婚なんてする気はさらさら無いと?」
「藤堂お前、ストレートに言い過ぎだ。俺は博愛主義者なんだよ!」
「…………。いつか刺されますよ?」
「だから、結婚を匂わせるような付き合い方はしないし、相手を勘違いさせるような事もしないのさ」
「俺には、ハイレベル過ぎます………」
「いや、藤堂、君なら素質あると思うけどな~」
「いやぁ、無理。いつか刺されます」
「そうかなぁ~。簡単な事だぞ?お互いWin-Winな関係にすればいいのさ。
ところで時宗は、何時に帰って来るの?」
「夕方だと思いますが?」
「今日の御供は玲音?廉?」
「廉君ですね。玲音様は御供を嫌がりますから」
「なら、予定通りに帰ってくるな」
「何かその言葉は棘ありますよ?私と同行では時間通りに帰って来ないみたいじゃ無いですか?」
「気のせいだよ」と加藤は苦笑する。
「しかし、藤堂お前。よく怪我するな?」
「したくて、してるわけではありません!!俺、そろそろ仕事戻ります」
「あぁ、時宗に速く助っ人よこせと言っておいてくれ」
「帰り待たれ無いんですか?」
「時間が合えば待つが、手続き終れば仕事がたまっているからな。そんな暇無いよ。さっさと帰るさ」
「分かりました。その旨は伝えておきます」
(伊集院教授は結婚してたのかぁ。世界中あちここちしているから、ずっと独身なのかと思ってた。
多分、考古学と家庭どちら取るかと言われれば、あの人ためらいもなく考古学とか言いそうだよな。
統轄長も結婚しているとは言え、ほとんど奥様と一緒には居ないものな。
月に数回、各々の予定に合わせて一緒に要るようにはしているみたいだけど、結婚と言うより恋愛中って感じだよな……。
拓哉もそんな関係望んでたのか?拓哉は仕事をバリバリする女性より家庭に入り家のことをしっかりと守ってくれるような人が合うと思うな)
藤堂はそんな事を考えながら仕事に戻った。
当の齋藤は、仕事に疲弊していた。
「いくら、人事部だったからと言っても、一般の事務仕事位はできるだろ?ずっと人の査定ばかりしてたのかよ!」
齋藤は転任してきた元人事部員に怒鳴る。
「ええ、私の仕事は大学に行き次年度卒業生の選考科目、適正、本人の希望を調べてリストアップし、各部所の求人情況を調べるだけですから……。一般事務などしたことありませんよ」
「しかし、てめーは、もう人事部じゃ無いんだ!ここではそんな仕事ねーよ!
一般事務も出来ないなら、測量部の荷物持ちで現場にでも出やがれ!何もしないで、給料貰えると思うなよ!!」
そう言い残して齋藤は激怒して事務所を出た。
(なんなんだ、あいつは!出来ないなら出来ないなり努力して、出来るようになろうとは思わ無いのかよ?やる気が無さすぎだろ!しかし、経理誰に任せればいいんだ?
薫が居なくなったのは痛いよなぁ~。十碧の言う通り止めて欲しかったのか?
しかし、彼女はそう言うタイプではないと思っていたが……)
付き合うきっかけ彼女からだった。
生徒会の役員に引き抜くのに何度か交渉する為に彼女の教室まで行って話しをしていた。
周りからは俺が薫を口説いて居ると勘違いされていたらしいが、恋愛でなく生徒会に入って貰うように口説いていたので全くの間違いでもないが、その頃、女子生徒の間では俺が薫を好きになって口説いているという噂が蔓延していたらしい。
まあ、そんな事は好きに噂されて構わなかった。なので他の女子生徒から真相を聞かれても否定も肯定もしなかった。
彼女が生徒会の役員を引き受けてくれるなら……。そう思っていた。
生徒会に入る条件として、付き合って欲しいと言われた。
ただ返事は中等部卒業時に欲しいとそれまでは友達以上恋人未満の関係でお互いをよく知った上で決めて欲しいと。
多分周りからの噂や印象でそう言ったのだろう。
自分としては本当に付き合う訳でないから、休みの日や放課後に彼女に振り回される事もなく自分の時間を使えるので全然問題は無かった。
生徒会時代も彼女は俺が意図することを言わなくても、サポートしてくれて居心地がよかった。
彼女自体独立した考え方の持ち主で他の女性と違って何でも俺に頼って来ることは無かったし、甘えることも無かった。
約束の卒業の日、お互いの時間を尊重し、共有できる関係を築けるなら、付き合って欲しいと言った。
情熱的な恋では無かったが、お互いを高め合う関係だった。
リゾート開発部を任された時、補佐役には迷わず彼女を指名した。
彼女も喜んで引き受けてくれた。本社内勤務の打診があった時は確かに相談はされたが、彼女の中では答えが出てると思ったから、俺の事は関係なく自分の好きにするようにいった。それは、付き合う時の条件でもあるから……。
まぁ、彼女の為にならないなら引き留めもするが、彼女のキャリアアップに繋がるのだから引き留める理由はない。
ただ十碧の言う通り、引き留めて欲しかったのなら別だが……。
「あー。イライラする!」と急に齋藤は大声を出す。
島に向かう為に同行していた部下の三鷹が驚き
「えーと、俺何か気に障る事でもしましたか?」と言われて
「え、なに?三鷹お前!何かしでかしたのか?何したんだ?もうこれ以上、問題増やすなよ!」と齋藤は言う。
「ええぇ、いやぁ、突然イライラすると叫ばれたので………」
「ん?気にするな……お前にじゃない。
あー、くそ!腹立つストレス発散に十碧にでも電話かけるか!」
「それって、藤堂室長には、いい迷惑じゃぁ……」
「いいんだよ!あいつは構ってやった方が!」




