Gordian knot
1.Gordian knot.
廉が秘書室でバイトしていると柊木がやってきた。
「言いにくいのですが?」
「はい、何でしょうか?」
「玲音様は、いつまで休みですか?」
「いや、休むのは構わないのですがね。仕事の割り振りの計画が立ちにくくて……」
「すいません迷惑かけて。俺もいつ帰って来るか予定を聞いて無いので直ぐには返答出来ないのですが……。もう少し待ってくれませんか?」
「そうですか、いや分かればと思って聞いただけですから」
「すいません」
「いや、いいよ。仕事続けて」
廉は何度か玲音に電話しているが圏外で繋がらない。
メールしてもそのうち帰るからとの返答だけ。
困り果てた時に、藤堂達が日本に帰国した。
「藤堂先輩、ちょっといいですか?」
「ん?どうされました?」
「ロンドンで齋藤先輩と会ったんですよね?」
「玲音様ですか?」
「ええ、今日も柊木さんからいつまで休むか聞かれましたし、俺から電話かけても繋がらないしでどうしてるのかなと」
「拓哉の話では、加藤さんの仕事手伝って、その後もあの島で拓哉の仕事手伝って居たみたいで……。
まだ全然、遊べて無いから帰る気にはならないと言って居たそうです」
「………。俺迎えに行ってきます。できればバイトを休み貰ってもいいですか?」
「連れ戻してくれるならバイト料出してもいいくらいだと思いますよ?
まぁ私の権限外なので言い切れないですけどね」
「後、島に渡る手配もお願いしたいですけど」
「島までの交通手段は、全て私が手配いたします」
「すいません、お願いします」
夕刻
(さて、今日の仕事も終ったし帰るか?)
廉は、机の上を整理し、席を立とうとしたとき藤堂がまたやってきた。
「廉君、統轄長が呼んでるのですが、少し時間いいですか?」
「はい」
統轄長室
時宗が頭抱えてた。
それを見た廉は、(まずいな、こう言う時は絶対ろくでも無いぞ?)と思った。
「あぁ、済まないね。帰る途中引き留めて」
「いえ、何かありました?」
廉は聞きたくないが聞くしかない情況を呪った。
「まぁ、ソファに座って。この報告書見てくれる?」
齋藤先輩が出した報告書だ。
読んで行くとメタンハイドレートの開発、活用を試験的にあの島で行うと言う提案書だった。
「それ読んでどう思う?」
「あの島の活用方法が決まってない現在、島の整備進めるより、メタンハイドレートの開発、活用研究に力入れるのは理に叶っていると思います」
「そうなんだよね。私もいい考えだと思うだよ?
リゾート開発部と海洋開発部門は調度あそこを拠点として活動して居るんだしね。
成功すれば新たにまた事業増やせるし。
かなり面白いと思うのだけどね?」
「【ね?】ですか?」
「そう。それ、言い出したの玲音なんだよ?」
「……………。なんとなく見えて来ました」
「そう、なら話が早い」
「いえ、俺 は関わらない方が……」
「いや、水面下で着々と野望の計画立てちゃってるから、あの2人+不肖の息子は……」
「単刀直入に言うと………」
「いや、おじさん言わなくていいです。
俺は、関わりませんよ?」
「そうだよなぁ………。そう言うと思ったんだけど会議では、賛成多数で可決されたんだよね」
「待って下さい。可決も何も。俺、まだ社員では、無いですよね?会社命令、関係無いですよね?」
「そうだよなぁ、そうなんだよ。それが分かんない連中が多くて……」
「…………」
「で、俺に一体何しろと?」
「もうすぐ大学は夏休みだろ?」
「はい。千景君と悠貴君と潤君と廉と玲音でこのプロジェクトのサポートして欲しいんだ」
「俺は、ともかく悠貴達は………。特に千景はバイトを持っているから無理ですよ?」
「そこは、千景君の了承さえ有れば私が何とでも………」
「…………」
「悠貴君と潤君はもう、了承得て居るみたいなんだ」
「…………」
「後ね」
「まだ、なにか有るんですか?」
「有ったりするんだよなぁ~」
「……………」
「オリビアちゃん。近々日本に遊びに来るんだって……」
「そんなの聞いてませんが?」
「多分、まだオリビアちゃんも聞いてないと思うな?」
「もう回りくどいのはいいです。はっきり説明してください!」
時宗の話では、ジェームス氏と初めて会食した時にあの島の開発のことを話題にしたら偉く興味持って今度是非島に招待してくれと。
後、今後うちと業務提携していかないかと話あったらしい。
廉の婚約の話の前だったので喜んでと快諾したらしい。
会社にとってはとてもいい話なので断る理由もないかった。
この後、廉の婚約の話を打ち出されたと。
後日、廉の意向を先方に伝えた所、多分かなり前向きな解釈でとられたみたいで、日本で今後の業務提携の話をしないかとその時、娘も連れ行くから相手して欲しいと。
「それ、承諾しちゃったんですね」
「う~ん、断る理由無いよね?友人としては付き合うって言ってるのだから。
私は、廉は、当分結婚する意思はないとはっきり言ったよ?
友人として人間関係を広げて行きたいとね。
私の英語が下手だったのかなぁ~?
学生時代は俺、英語は苦手だったんだよね?
でもさ、イギリスの大学では俺のこの英語力でもなんの不自由はしなかったんだけどなぁ~。ママとも、英語の会話で通じなかったことなんてないしなぁ~。
かなり相手は、前向きなんだよね?ニュアンスを言い間違ったのかなぁ~。どうしたものかなぁ~」
「………………。いつ来られるですか?」
「多分、夏休みかな?」
「島に居たら相手出来ないでしょ?
えっ?もしかして島に来るってことですか?」
「廉、頭良くて助かるよ………」と時宗は苦笑いしている。
「これ聞いたら、玲音はまた拗ねて下手すると島から戻って来ませんよ?」
「………………。藤堂君に、全て話して有るから相談して上手く回避してよ?」
「当分の間、藤堂君を貸すからさ」
秘書室の藤堂の部屋
「藤堂先輩、俺入院しましょうか?まだ検査受ける方が楽です」
「ごめんね。拓哉の奴、加藤さんと結託して玲音様を達を取り込んでるんです。
でもメタンハイドレートの件は、玲音様が気がついて提案したのは、確からしいですけどね。
取り敢えず明日、私も同行いたしますから玲音様、迎えに行きましょう」
「オリビアさんの件は統轄長はちゃんと言った様に言われてましたよ。
相手がかなり、したたかなんでしょうね。廉君、相当気に入られてるんですよ。多分」
「それは、なおさら嫌だな。齋藤先輩からその後の玲音の様子は聞けました?」
「あぁ、気分的には、吹っ切れたみたいですよ?拓哉が上手く説得したと言ってましたから。ただあの2人の仕事手伝いばかりさせたみたいで、全然遊べて無いから気分転換出来て無いから帰って来ないんだと思います」
次の日の朝、千景に夏休みの件を話すと
「楽しそうだな?また海底探査出来るのか?
メタンハイドレートの研究とかどちらかと言うとそっちの方が俺、興味有るんだよな?親父が医療に拘るから諦めたけどなぁ……。
夏休み入る前はたいした講義もないし前のりしてもいいか?」と千景は話に食い付いた。
「後、今日から、玲音を連れ戻しに島に行ってくるから、もしかして2、3日は、戻って来れないかも」
「そうか、当分の間コンビニ弁当かぁ………。仕方ないなぁ~」
「………お前。いい加減、自炊しろよ」
2.First impressions are important.
翌日、藤堂がマンションまで迎えにきた。
「この真っ赤のスポーツカーは先輩のですか?」
「うん、そう、滅多に走らせてないから宝の持ち腐れですけどね」
しかも、私服を着た藤堂はどこの俳優さんですか?と思える。
NYの観光の時はTシャツにGパンだったが、その時は玲音が居たからか?さほど道ゆく人達の視線は集めて無かったが、今回のセットはガン見されている。
「さぁ乗って行くよ?」
サングラスをかけ運転している藤堂は会社内とは別人の様だ。
車の中では廉が色々と質問をする。
「あの先輩って玲音に負けず劣らず、派手好きなんですね?」
「そうですか?玲音様には、どうやっても負けると思いますよ?」
「先輩ってファッションにお金かける人なんですか?」
「対人関係の仕事してるから服装は大事ですよ?
"You never get a second chance to make a first impression."と言うアメリカの諺を知っていますか?」
「第一印象をやり直す2回目のチャンスは決して訪れない?」
「そう、十数秒程の短い時間で第一印象が確定され、仕事の成否が決まるんです。
それは視覚が83%、聴覚は11%の要素から決定されるんです。
これがどう言うことか、わかりますか?
きちんとした服装で笑顔を浮かべ、丁寧でかつ明るいしゃべり方をすれば、ほぼ相手の第一印象を掴めるってことですよ?
好意持たれれば、あとはスムーズです。
こんな簡単な事は無いでしょ?
玲音様をグループの各重鎮が押すのも、あの【人を惹き付ける天性の魅力】が大きく影響していると思いますよ。
印象で交渉が上手く行くなら楽なもんです。
因みにこの第一印象の話は、廉君のお父さんから昔教わった事です」
「そうなんですか。でも藤堂先輩?」
「ん?」
「帰りどうするんですか?この車2人乗りですよね?」
「あぁ、玲音様はトランクに」
「え?」
「冗談ですよ。何時も使っているホテルが有るでしょ?」
「はい」
「あそこに拓哉の車があるからこの車と交換して帰るのですよ。ただ、拓哉の車は4駆ですけどね」
ホテルまで来ると加藤がいた。
「明日でいいのか?」
「はい、よろしくお願いいたします」
「廉、久しぶりだな?夏休みはよろしく頼むぜ。Win-Winの関係で行こうな?」
「ハハハ」と笑うしか無かった。
「困ったものですね」
「夏休みは俺達が居なくても、秘書室の仕事は回るんですか?」
「統轄長命令だから回らすしかありませんよ。取り敢えず今日はチェックインして休んでください。 明日朝一番で島に行きましょう」
「はい」




