Soul mate
1.Vacationisalmost finished.
翌日、朝一番で廉と藤堂は加藤に運転してもらいセスナで島へと向かう。
「加藤さん、島にはヘリポートは有るけど滑走路なんてありました?」
不思議そうに廉は聞く。
「あるじゃないか。世界一長い滑走路が」と加藤は楽しそうに言う。
「ん?」と廉は必死に島の風景を思い出す。
「島を一周している道路ですよ」
藤堂は考え込んでいる廉に教える。
「御名答!齋藤はちゃんと滑走路としても使える様に設計してるからな。
ちゃんと道の両脇に誘導灯まで配備している。
まあ一番長いと言ったが滑走路用のアスファルト舗装と誘導灯は一部分だけどな」と加藤は楽しそうに言う。
「面白そうだなぁ………」
廉は目を輝かせながら言う。
「廉君!廉君まで、変な考えは止めて下さいよ?」
窓に張り付いて外を見ている廉に藤堂は釘をさす。
「廉!海洋開発部はもっと面白いぞ。
2,3週間体験しに来いよ!俺が面白さを体感させてやるよ!」と加藤は廉を勧誘する。
「加藤さん!!ガラパゴス諸島に行きたいのですか?」と藤堂は言う。
「廉を配属してくれるなら、1年だろうと2年だろうとガラパゴス諸島だろうとアマゾンだろうと行っても構わんよ。ハハハ」と加藤は高笑いしながら言っている。
「さぁ着いたぜ。帰る前にまた連絡くれ。
俺、仕事がたて込んでいるから船に戻らないとならないからな」と加藤は運転席から振り返り藤堂達に言う。
「忙しい所、ありがとうございます」
廉と藤堂は頭を下げてお礼を言う。
「じゃあな」と加藤は、また本土の方向に帰っていった。
島に降り立つと事務所の前に齋藤と玲音が出迎えに出ていた。
齋藤が玲音に「これで、長期休暇も終わりだな?」と肩を叩きながら言う。
齋藤は廉と藤堂に向かって
「早かったね。まぁ事務所に入れよ。何も無いけどな」と歓迎する。
「玲音!何で電話に出ないんだよ!」
廉は、玲音の傍まで歩みより怒る。
「廉、何怒っているのさ。ここ圏外だよ?当然、船の上も」
玲音は涼しい顔で答える。
「………」
「使え無いことも無いこともないんだが、この事務所内しか電波拡幅工事してなくて他の場所では今はなかなか電波届かないんだよ」
齋藤が付け足す様に廉に説明する。
廉と玲音は事務所に入る。
それに続いて齋藤が入ろうとすると藤堂から呼び止められる。
「拓哉、ちょっとこい」
「ん?」
事務所の外で2人が話している。
事務所内では玲音は、楽しそうに廉に話しかける。
「藤堂先輩、あの私服かっこいいね」
「お前、散々周り心配かけて、いい加減にしろよ?」
玲音は満面の笑みを浮かべながら
「俺居なくて寂しかった?」
「…………まさか!お前………。俺が迎えに来るの待ってたのか?」
「さぁね、それよりさ。廉、ここにハーレー有るんだよ!齋藤先輩のだけどさぁ格好いいんだ。そのハーレーで島一周したら凄く気持ちいいんだよ?」
「それで、気持ちのもやもやは晴れたのか?」
「あぁ、心配する必要ないのが分かった」
「廉は、どこに居たって俺を迎えに来てくれるから~」
「おい。次、勝手に居なくなっても俺は迎えになんか行かないぞ!」
「大丈夫。俺は廉の傍を離れる気なんかないからさ。
ねね、あのハーレー乗って見たくない?
2人で島一周を競争しようよ」
「競争と言ってもハーレー1台だけじゃないか?」
もう1台の中型バイクを指差す。
「どう考えても競争にはならないだろ?」
「分かんないよ?人生と同じでやってみないとさ」
「言ったな?負けたらどうする?」
「何でも言う事を聞いてやるよ!」
「よし、決まり!」
「齋藤先輩!バイク貸して」
外で話している齋藤に玲音が事務所の窓から叫ぶ。
「あぁ、怪我するなよ!」と齋藤は返答する。
「廉。どっちにする?」
「そりゃあハーレーで」
「よし、決まり。因みにこのバイク潤が改良してエンジンは同じだから、車体が軽い分早いんだよね」
「おいこら、それ反則だろ」
「だから選らばしてあげたじゃん。
行くよ?負けたら一日、下僕ね」
「結局、どっちが勝負に勝ったのですか?」
事務所内に帰ってきた2人に藤堂が聞く。
廉は、笑い。玲音がふてくされている。それを見て「 なるほどね」と藤堂は納得する。
「あのバイク。車体が、軽いだけにカーブではかなり減速しないと遠心力で飛ばされるからな」と齋藤は説明する。
「齋藤先輩それ、早く教えてくれればいいのに!」と玲音は不満を言う。
「聞かれてないし………」と齋藤は苦笑する。
「拓哉ホテルの車を借りるぞ!次に帰って来るとき俺の車で帰って来てくれ」
「あぁ、でもあの車じゃあ、ここでは使えないからなぁ」
「いや、むしろ使ってくれるな!泥だらけとかにするなよ?」
「何であんなガソリン食うわ、2人数しか乗れないわ、やたら値段の高い車を買うかな ?」
「拓哉の車も十分燃費悪いわ、でかいわ、車体金額も俺の車と変わらないだろ?」
「ん?」
やたら玲音の目が輝いている。
「藤堂先輩の車って?」
「男2人で乗る車では無いな」
齋藤は藤堂を見ながら言う。
「………。男2人が乗って来ました………」と廉は恥ずかしそうに答える。
「お前ら、俺の愛車を!!」
藤堂が2人の言いぐさに怒る。
「いや、凄く格好いいですけど……スーパーに買い物には、流石に、行きずらいかな?」と廉はフォロー?する。
「普通にコンビニ横付けしてるし。ファミレスにも行ってるよ」
藤堂は涼しい顔で答える。
「え?」
齋藤と廉は驚く。
「藤堂先輩!俺を乗せて!乗りたい~」
玲音は身を乗り出しておねだりしている。
「では、帰りましょうね」
「うんうん帰る」
「十碧よかったな!車がやっと役にたって」
「拓哉、例の件頼むよ」
「あぁ、わかったよ。その代わり夏休みこいつら借りるぞ」
「あぁ、わかってるよ。この策士め!」
「十碧に言われるとは、光栄だな?」
「????」
「そろそろ加藤さん来るから帰る仕度して」と藤堂が言う。
加藤が迎えにきた。
「玲音、気がすんだか?」
「うん」
「よかったな。また何時でもこいよ」
「加藤さん困りますよ?」と藤堂は睨む。
「またと言いたいけど、加藤さんと齋藤先輩の所行くと、こき使われるからなぁ~」
「そんなことはないだろ?俺だってわざわざこうして運転手してるじゃないか?」と加藤は呆れながら言う。
「僕だって、この島で色々付き合ったよね?」と齋藤もアピールしている。
「そうだね。ごめんね2人とも。また、よろしくね。そう言えば伊集院教授には会えなかったな」
「誠なら今、ローマにいるからな」
「そうなんだ」
「あぁ、何か用事だったか?連絡取ってやろうか?」
「いや遺跡の発掘は、どうなってるかなぁと」
「まぁ、気長にコツコツするしか無いからな」
齋藤を残し玲音達は本島に戻って行った。
ホテルの駐車場では藤堂の車に張り付きながら玲音は「いいなぁ~これ。これで帰ろうよ~」
「2人乗りだから無理ですよ」
「廉、トランクで」
「おい」
(玲音と藤堂先輩は同じ趣味だよな……。)
「車欲しいな~。千景だけ免許取ってさっさと車を買ってずるいよな」
「藤堂先輩、親父に……」
「無理ですよ」
「まだ言って無いじゃん」
「言わなくてもわかります」
「ふっ」
「さぁ、帰りますよ」
「これが、齋藤先輩の車ですか?」
「ええ。趣味悪いでしょ?」
「悪いとかで無くて、ごついですね」
「これで野山、走り回ってますからね」
「うわー中広い」
「あぁ後、玲音様帰ったら統轄長がお呼びです」
「ねね、もうちょっと……」
「ダメに決まっているだろ」
「廉、まだ全部言って無いじゃん」
「言わなくても分かる」
「ふっ、俺。もう一度、旅に出ようかな」
2. Soul mate.
翌日、統轄長室
「玲音、私の言いたいことはわかってるね?」
「わかってるよ。でも言った所で親父は、素直にいいよとは言わないだろ?」
「答えは出たのか?」
「うん。俺、何処かで今一つ廉の事わかって無かったんだ。よーく考えれば見える物見えて無かった。
俺、廉から離れないから、生活別々になっても心は離れないから。廉も同じはずだからそれでいい。俺達は、同じ魂の片割れ同士のSoul mateだと感じるから。
この魂の結び付きを信じる」
「そうか。答えが出たならそれでいいよ。
これからは、ちゃんと大学行くんだぞ」
「うん、じゃあ帰るよ」
(【Soul mate】か……。確かに性格はそっくりだな。ただ廉の方が大人なだけで。本当にそう言う不思議も、もしかするとあるのかもな)と時宗は漠然と思った。
この時の玲音は、本当に同じ魂、同じ自分だとまでは、わかっては無かった。
ただ廉とは、他人とは違う何かを共有しているとだけ感じてていた。




