Sightseeing.
1.Sightseeing.
玲音達は自由の女神を見るため バッテリーパークに来ていた。
「え?王冠まで昇るには、予約必要なの?」と玲音は驚く。
「台座までならチケットは取れるでしょ?」と藤堂が言う。
「そんな事だろうと思って俺、一応全員分予約取ってるけど?」と千景が涼しい顔で言う。
「えっ?そのチケット3ヶ月前からでないと売り切れで予約取れないって聞いていたのですが?」と藤堂が驚く。
「この御時世。ネットとお金あれば、何とでもなりますよ?全員、王冠まで昇る?」
千景は手配のために聞く。
「台座から王冠まで、狭い螺旋階段を354段登るはめになるよ?体力は大丈夫?」
齋藤がアドバイスする。
「私は台座まででいいわ。貴方達に付いていく体力に自信ないわ」
樹里亜は素直に言う。
「女の子一人にするわけに行けないから僕が一緒に残るよ」
潤が優しさを見せる。
藤堂が「俺、体力あるかな?」とボソッ呟く。
「何言ってるんだ?十碧?体力付けてないのかよ?だらしないな」
「野山かけずっり回っている拓哉と違って俺は、デスクワーク多いからな………」
「どうします?」と千景がチケット買う為に改めて聞く。
「まぁいいや、こんな機会滅多にないし昇るよ」
藤堂は腹をくくった。
「じゃあ6名王冠、2名台座だな」
一行はチケット付きのフェリー乗船券を買い船旅の15分後、リバティ島に上陸する。
「悠貴。昔、試験前に自由の女神の歴史教えてやったよな?ちゃんと覚えてるか?」と廉が言う。
「えーと 1886年。奴隷制を廃止し、自由と民主主義を打ち立てようとしていたアメリカの姿勢にフランス側が感銘を受けて、フランスにも民主主義の誕生の願いも込めてモニュメントをフランスから寄贈されたんだ。建てられたのは、アメリカの独立運動を支援するフランス人の募金によって。台座部分の建設は、アメリカ国民の寄付でてきたんだよね?」
「よくできました。ちなみに正式名称は"Liberty Enlightening the World"【世界を照らす自由】
1886年10月28日が除幕式で当時は雨だったそうだが100万人以上集まっていたたそうだ」
「よく覚えてるな?」と齋藤が関心する。
「こいつらを教えるのには、自分がちゃんと覚え無いと教えられませんから」と廉は笑う。
「十碧お前、何か覚えているか?」
「ん?そうだなモデルはローマ神話の自由の女神リーベルタースって事と銅製だが、緑青だから緑色になっているとか?右手の炎は純金で形作られてるくらいかな?」
「そのくらいなら、俺だって知ってるぞ?左手にアメリカ合衆国の独立記念日の【1776年7月4日】とフランス革命勃発のバスティーユ襲撃日【1789年7月14日】が、ローマ数字で刻印された銘板を持っているんだろ?」と齋藤が言う。
「足元には引きちぎられた鎖と足かせがあって、女神が踏みつけているでしょ?
あれは【全ての弾圧、抑圧からの解放】と、【人類は皆自由で平等である】事の象徴ですよ。
これから昇る冠には7つの突起は、【7つの大陸と7つの海に自由が広がる】という意味だそうです」
千景が説明を付け足す。
「お前ら2人居ればガイド要らないな?」と齋藤は感心する。
「設計はエッフェル塔の設計者のギュスターブ・エッフェル。
ウジェーヌ・ドラクロワの絵【民衆を導く自由の女神とマリアンヌ】がモデル。
1884年にフランスのパリで仮組み完成された自由の女神はその後214個に分解され、フランス海軍軍用輸送船でアメリカに運ばれたんだ。
像のたいまつから台座の下までは93メートル総重量は225トン。
俺だって知ってるさ 」と玲音も負けじと言う。
「玲音お前、本当に負けず嫌いだな?」
「廉だけには、負けられないからな?」
「なんだよ?それ」
一行は台座部分の展望台で潤と樹里亜を残し千景と藤堂は運動不足を痛感しながら先頭の悠貴の登る早さに何とか息切らせながら王冠の展望台へついて昇った。
「悠貴、そんなに急がなくても………」と途中で千景が苦情を言う。
「まだ他に回らないと行けないし、下で潤達待っているでしょ?螺旋階段を見てても面白くないしね。それに、これでも一応、少しスピードはかなり押さえてるんだけどな?」と息も切らす様子もなく言う。
「パンダはともかく廉、お前はよく平気だな?このスピード」
「千景。お前が運動不足なんだよ!」
一行は自由の象徴から次へと向かった。
ブルックリン橋に行く前にブルックリンブリッジパークに来ていた。
「さてガイド君、ブルックリン橋の説明してくれるかい?」と橋を見ながら齋藤は言う。
「それは齋藤先輩の方が、詳しいのでは無いですか?」と苦笑しながら廉は言う。
「いや僕は島に籠って居る身でね。ネット環境も整って無くてさ」と齋藤は笑う。
「そうですね。僕が知ってるのは アメリカで最も古い吊り橋で正式な橋の形式は
【吊り橋と斜張橋のハイブリッド】
橋長は1,834m、中央径間は486m
当時、この中央径間の長さは施工不可能と言われてました。
この橋は 橋脚(Pier) 2基ですから中央径間とは 橋脚から 橋脚の間の距離ですね。
平行線ケーブルこと細い鋼線を撚って束ねたワイヤーロープを使うことで吊り橋方式を発明したジョン・ローブリング氏が陣頭指揮をとることで建設されることになり、材料は当時大量生産ができるようになった鋼(steel)を使い、主塔基礎の掘削には、ヨーロッパで開発されてまもない潜函工法を採用しましたが、この工法はケーソン病(潜水病)を引き起こす危険な作業が伴い、多くの作業者が倒れました。
建設半ば亡くなった父親の跡を継いで陣頭で指揮したワシントン・ローブリング氏もこのケーソン病にかかり、半身不随になりました。
世界で初めての長大吊り橋工事は、難航を極め、着手から完成まで13年の年月がかかって完成された。でどうですか?」と廉は橋の説明をした。
「橋が開通してから6日後、橋の安定性について不安な声があがりはじめ、橋は崩壊するという噂が各地に広がって、その噂を収拾するために翌年サーカスの象21頭が橋を渡って安全性を証明したんだよな。
あと今、世界最大の長大橋は日本の明石大橋 3径間2ヒンジ補剛のトラス吊橋。全長3,911m、最大支間長1,991mだ」
玲音も負けじと付け足す。
齋藤は予想以上の説明に唖然として少しの間言葉を失った。
「なぁ。どっちらでも、両方でもいいからさぁ。卒業したらリゾート開発部門においでよ。十碧より俺の方が、断然優しいよ? 好きな仕事させてあげるからさぁ~」
「おい、拓哉。スカウトするんじゃない!俺が統轄長に怒られるだろ?」
「十碧お前に、トラス構造って、ニューマチックケーソン工法なんて専門用語わかんねーだろ?径間と支間の違いなんてわかんねーだろ? でもこの2人は理解してるぞ!才能勿体ないじゃないか!」
「廉君、玲音様。こいつの言う事は聞かなくていいですからね?こいつは居ないものと思って下さい」
「おいこら、十碧。俺の存在消すな!」
「廉先輩、支間長と径間長ってどう違うの?」と潤が聞く。
「ん?言葉では少し説明しにくいけど解りやすく言うと径間長は橋台(abutment)前面と橋脚中心、又は橋脚中心と橋脚中心の距離で。
支間長は橋梁の上部構造と下部構造との間に支承と言うものが有ってその距離が支間長と言うんだ。
多分絵かなんかで描かないと分かりにくいかもなぁ。
まぁ、橋の設計ではこの支間長を長くするのが難しいんだ。わかるか?」
「う~ん。なんとなくかな?」
「廉。何でお前、橋の構造にそんなに詳しいんだ?」と千景が不思議そうに聞く。
「ん?、建物とか道路とか橋なんかは何十年と後世に残るじゃないか?
このブルックリン橋のように、そう言う何か後世に残す仕事もいいなぁと思った時期があってさぁ」とブルックリン橋を見ながら廉は染々と言う。
「ほら、廉君リゾート…」
「廉君、次行きましょ。拓哉の言葉に耳を傾けてはいけません」と藤堂は廉を引っ張っていく。
「それともうガイドしなくていいですからね。拓哉の野望が膨らむだけですから」
「十碧、お前…」
「ふーん廉、公共事業やりたかったのか?」と玲音は呟く。
「玲音君、リゾート開発部門はインフラや建物全て…」
「玲音様、悪魔の囁きに耳を傾けてはいけません」と玲音も連れて行く。
齋藤は何とか統轄長を説得してリゾート開発部に配属出来ないかな?と橋の見物よりもその事で頭をいっぱいにしながら次のイントレピッド海上航空宇宙博物館についてきた。
一行は博物館が本物の空母だけに圧巻されていた。
特に潤は張付いて見るものだからなかなか進まなかった。
「拓哉。お前、飛行機のライセンス取ってるんだよな?」
「ん?あぁ、有ることはあるぞ。でも、リゾート開発部ではヘリしか所有してないから、それ以上のクラスの機種は 海洋開発部門の加藤さんに頼んで借りてる状態だ……。あぁ!調度いい………」
「拓哉もう、それ以上は言うな却下だ!」
「まだ、何も言ってないが?」
「言わなくてもわかる。セスナ購入打診しろと言うんだろ?」
「十碧。わかってるなら話が早い!」
「だから却下だ」
「いいなぁ~。航空ライセンス…。親父に頼んだら取らせくれるかな?」と玲音が羨ましそうに言う。
「玲音様はわざわざ、ご自分で運転する必要無いでしょ?」と諭すように藤堂が言う。
「リゾート開発に来たら取らせて………」
「拓哉!!ちょっとこい」
「寝た子を起こすなよ!この前まで考古学者になると言って聞かなかったんだぞ!」
「最近の若い奴は、使えね~んだよ。優秀なの欲しいじゃないか?悠貴君は伊集院教授に取られたし。潤君は意志が固すぎて無理だ。千景君は親父さんが絶対離さないだろ?流石に玲音君は無理だろうけど、廉君は欲しいなぁ」
「廉君がリゾート開発部に行ったら芋づる式に玲音様ついてくるだろうが!」
「それなら、それで大歓迎だ」
「拓哉お前、俺の立場考えろよ!」
「ふっ………。仕方ないな、今日は辞めておくよ」
「今日はって!!拓哉お前………」
「さっ次、行こうか?」
博物館で結構な時間をとり時刻は昼時をむかえた。
「ここらで、ご飯にするか?それとも次のグランドセントラル駅あたりにするか?」
「ここよりグランドセントラル駅辺りの方が次の観光スポット固まっているからそっちの方がいいかもな」と千景が地図を見ながら言う。
「なら、タクシーで移動しましょうか?」
「拓哉。樹里亜さんと、悠貴君、潤君を頼む。わかったよ、駅正面玄関で集合な」
「あぁ、では行きましょう」




