Cause trouble
1.Cause trouble.
翌朝。
皆、昨日の疲れが出たのか昼前まで寝ていた。
「おい、玲音。そろそろ起きろよ!」
「う~ん、あとちょっと……。このシュークリームたべ………むにゅ……」
「あぁ、もう知らね。ちゃんと起こしたからな!俺は散歩して来る! 起きなかったのは、お前だからな!後で1人置き去りにしたとか言うなよ!」と廉は言い残し、玲音を起こすのを諦めて部屋から出る。
ロビーに行くと齋藤がいた。
「こんにちは、なんか島以外で会うの不思議な感じがします」
「あぁ、廉君か!俺だってあの島に籠りきりではないよ?」
「NY事務所に用事ですか?」
「そうなんだ。2ヶ月1回、主要都市で各部門の定例連絡会議あってね。今回はここNYなんだ。だから最低でも2ヶ月に1回はこうやって島から抜け出てるんだよ」
「そうなんですか?齋藤先輩のスーツ姿、始めて見るから最初は誰だかわかりませんでした」と冗談半分に廉が言う。
齋藤は笑いながら「似合わないかい?」
「いえ、よく似合っています」
「ありがとう。今日は珍しく玲音君と一緒では無いんだね?」
「あぁ。玲音は、部屋でまだ寝てますよ」
「そうなんだ。そうそう十碧とNY観光する約束しているんだろ?俺も仲間に入れてくれよ!」
「是非!楽しみです」
「拓哉!こっちだ」と声がする方をみると藤堂先輩がいた。
「廉君!昨日は、ありがとう。玲音様は?」
「まだ部屋で寝てます」
「そうですか。廉君はどこかに行くつもりですか?」
「その辺、散歩でもしょうかと」
「う~ん、それは……。ここは日本ほど、治安良く有りませんからホテル以外で1人での行動は控えて貰えませんか?
玲音様と2人きりでも………。
なんでしたらSP手配しますが?」
「いや、いいです。すいません。軽率でした」
「いや、気持ちは分かるんですがね。何かあったら困りますし。窮屈だろうけど我慢してくださいね」
「はい」
「拓哉、車手配してあるから乗って」
「あぁ。廉君、またね」
「はい」
「それでは、私も行かないと」
「行ってらしゃい」
藤堂と齋藤は車に向かって行った。
仕方ないな、と思って居ると悠貴と潤がロビーにやって来た。
「廉先輩、どうしたんですか?」
「いや、散歩でもしょうかと思ったんだけど日本ほど、治安よく無いから1人歩きは止めてと言われたから何しようかなと…」
「玲音先輩は?」
「まだ夢の中さ」
「千景先輩は?」
「あぁ、そうだな?まだ見かけてないな」
「廉先輩、もう朝ごはんたべました?」
「まだだけど。朝と言うよりはもう昼だな?千景や玲音呼んで何かたべるか?」と噂をしていると。
「廉!酷いじゃないか!俺1人だけ部屋に置き去りにして!出掛けるなら起こせよ!」
「玲音!お前………。ふざけんなよ?散々起こしても、起きなかったのはお前の方じゃないか!起きないお前が悪いんだろうが!」
「廉、そんなに怒んなくても………」
「お前が、怒ってたんだろ?」
するとロビーに喧嘩している若い日本人の男女がエレベーターから降りてきた。
「なんで俺が、買い物に付き合わなければ行けないんだよ!」
「荷物持ち必要じゃない?当分アメリカで生活しなければいけないんだから。日用品は買い揃えないと」
とっさに4人はソファの影に隠れた。
「だからなんで、俺なんだよ?しかも、俺の安眠妨害までして、心は痛まないのかよ!」
「サクラ達の所に行ったら、部屋に居なかったのよ」
「呼び出せば、いいだろ?」
「男は、女性の頼みは素直に聞くものよ」
「何度も、聞いてやってるじゃないか?」
「廉、ヤバイよ、見つかると、ろくでもないよ」と隠れている玲音が言う。
「そうだな?俺達は【風馬牛】だからな 」と廉はいう。
「風馬牛?」と悠貴がきく
「【風馬牛】とは、自分とはまったく関係がないってこと。または、そういう態度をとることだよ」と潤が囁く。
「誰が【風馬牛】だって?」背後から千景が顔を出す。
「あっ千景!おはよう。いい天気だな?」
廉が苦笑いする。
" One pair of heels is worth two pair of hands."( 一対の踵は二対の手に値する) と玲音が呟く。
「樹里亜、ここに居るぞ」と千景が
言う。
「おい、千景の裏切り者」と玲音が言う。
「どっちがだよ?」
「…………」
「潤、 "一対の踵は二対の手に値する"ってどう言う意味?」と悠貴が小声で聞く。
「悠貴、俺が教えてやろう。日本語では【逃げるが勝ち】って言うんだよな?なぁパンダ?」と千景は玲音の襟を掴む。
「何の事かな?千景の聞き違いだよ?
しかし、明日はパーティだろ?忙しいから今日は潤、折角NYに来たんだ。色々観光しないとな?な潤?」と玲音と言う。
「えっ?う、うん」と取り敢えず頷く潤。
「残念だよ。樹里亜に付き合え無くて」苦笑いしながら玲音が言う。
「貴方達は、私を見捨てると言うわけね?
私が、誘拐されようと、強盗や強姦に会おうと、刺されようと知らないと」
「………」
男性全員返す言葉が見つからない。
「あっ、SPつけて貰うように頼むよ」と廉が言う。
「あぁそうだね。そうすれば僕らより安心だ」と玲音が同意する。
「誰が、荷物持ちするのよ?」と樹里亜が言う。
『………。そこ?』と3人がハモる。
「こんな所で揉めてもさぁ。取り敢えず昼食を取ろう。そこできちんと話そう」と廉が切り出す。
「そうだな、空腹でこのままワガママ樹里亜の相手にしてもイライラするだけだ」と千景は刺のある同意する。
「千景って寝起きが悪いよな?」
玲音が悠貴達に囁く。
「う、うん」悠貴と潤がハモる。
「そら、そうだろ!今の俺は最高に機嫌悪いぞ。俺、寝たのは朝の5時だぞ!一番、気持ちよく寝ている時間に、俺には全く関係ない下らない事の為に、インターフォン鳴らしまくって、起こされたんだぞ、頭にくるわ」
「寝起きの熊はこわいな………」
玲音が呟く。
「知らないわよ、分かるわけないじゃない。貴方が何時に寝たかなんて………」と樹里亜は言う。
一行はホテルのレストランに入る
給事が「すいません2席に別れて貰うようになりますが?よろしいですか?」と言われて、千景の怒り様が半端無かったので仕方なく潤と廉が樹里亜と席を共にした。
「樹里亜、素直に千景に謝れよ?あれは相当怒っているぞ」と廉は席につきメニューを見ながら囁く。
「………」
「それに樹里亜なら無理に俺達じゃ無くても他に喜んで付き合う奴、いくらでもいるだろ?」
廉はオーダーを決めたのかメニューを閉じテーブルの上に置きながら囁く。
給事が「お決まりになりましたか?」とやって来た。
「あぁ、このコースを」と廉はメニューを指差しオーダーする。
「僕も同じで」
潤も廉と同じコースを頼む。
樹里亜はうつむいたまま黙っている。
給事が樹里亜のオーダーを待って居るので廉が聞く。
「樹里亜は?」
「私、帰るわ」
「えっ?」
樹里亜は席を立ちレストランを出る。
「僕は、戻って来るのでそれでお願いできますか?」
「はい、わかりました」
びっくりしている給事に言い廉は席を立ち樹里亜を追う。
エレベーターでなんとか捕まえる事が出来て廉が少し強い口調で言う。
「マナー違反だろ?あんな席の立ちかたは?もう子供じゃないんだからさ。
ちゃんと礼儀をわきまえろよ!
流石に、度重なる樹里亜のワガママで振り回されるのも、千景でなくとも、皆怒るよ?少しはおもいやりと我慢って事を………」
突如、樹里亜が泣きはじめた。
「おい、泣くことないじゃないか?
言い過ぎたよ。ごめん謝るから泣くなよ」
心配して見に来た玲音が驚く。
「どうしたの?」
エレベーターが開き樹里亜が乗り込み閉まる。
残された廉と玲音は何か不思議な物を見たような衝撃を受けた。
取り敢えず廉と玲音はレストランに戻って皆と食事を済ます。
食後、男達は廉達の部屋に集まり、廉から経緯を聞く。
「言い過ぎでも、なんでもないだろ?
樹里亜を中心に世界回って居るわけでは、ないんだ。物事を他人に頼むにしても頼み方が有るってこと教えただけだろ?
しかも公共の場所でマナー違反までしてるんだ。廉に非はないだろ」と千景は廉をかばう。
「でも、なんの反論もなく泣かれるとなぁ」
廉はもっと紳士的に振る舞う事ができのではないかと反省する。
「でもさぁ~。なんで千景の所に行ったんだろ?」と玲音は不思議に思う。
「お前らが、部屋に居なかったからだろ?しかし、どうして俺の部屋の番号知ってるんだよ!」
千景は益々機嫌が悪くなっていく。
「多分、あの時間は、俺は少なくとも部屋に居たよ?ロビーに降りたのあんまり時間的に変わらなかったもん」と玲音が反論する。
「そう言われればそうだな?」と廉も府に落ちない。
「寝てて、気づかなかったんじゃないか?
パンダ爆睡してたろ?」と千景が言う。
「いくらなんでも起きるよ。インターフォン連打で鳴れば。千景でも起こされたんだからさ?」と玲音は言う。
「あぁ、出るまで鳴らし続けたからな、うるさくて寝てられるかよ?」と千景は言う。
「なら、やっぱり俺達の所には来てないのでは?」と玲音は確信する。
「俺は謝らないぞ。くだらない事でいちいち呼び出しされるのも、命令されるのも、もう御免だ。
ここで謝ると俺が悪いと認める事になる。いくら女相手だと言われてもな」と千景の怒りは頂点にたつ。
「どうするかな?確かに何かある度に上から目線で命令されてもなぁ。頼み方があると思うんだけどな」と廉は言う。
「ママに相談してみる?」と玲音が提案する。
「そうだな」と廉が同意する。
「でも潤、観光どうするんだ?」と千景が言う。
「あぁ~。あさって俺、藤堂先輩と齋藤先輩と一緒に観光地回る約束してるんだ。
お前らも一緒に来るか?」と廉が言う。
「えっ?廉ずるい。俺に内緒で行くつもりだったのかよ!」と玲音が怒る。
「お前は言わなくても、勝手にちゃんと付いてくるだろ?なに?今回は来ないのか?」
「行くに決まってるじゃんか!」
「ならいいのでは?」
「………」
「一緒に連れてて」と悠貴と潤が言う。
「千景はどうする?」
「付き合うよ。流石にNYまで来て仕事しかしないで、帰るのも嫌だからな?」
「ちゃんと起きろよ?」
「俺が時間を守らなかったことあるかよ!」
「じゃあ決まりだな?」
「観光先をどこを回るかは後で決めよう」
「取り敢えず樹里亜だな」
「ママ電話してみる」
2.The rumor soon went about.
時、同じくして会議も昼休みとなり、時宗は加藤と伊集院とレストランの個室で昼飯を食べいた。
「明日は時宗、パーティだろ?」と加藤が言う。
「あぁ、面倒だよ。ああいう場が一番嫌いだ」
「何を言うかな?普通は出たくても出れ無いんだぞ。あそこで世界の金持ちとパイプ作らないでどうするんだ?」と伊集院が言う。
「金なんか、どうでもいいと言いたいんだよ。俺個人は、でも立場的にな………」
「何いってんだ?お前は俺達の為にもずっと図南の翼を持ってて貰わないとな」と伊集院が諭す。
「そういえば、昨日ヘマした奴、居たんだって?」と加藤が話題をふる。
「何で知ってるんだ?」と時宗はびっくりする。
「こう言う噂は早いからな。しかし、その上司も災難だよなぁ」
「お前らの部下は、よく教育しておけよ?
俺に頭痛の種を蒔くなよ」
「なに、出来のいい息子2人、大活躍じゃないか?楽出来てるのでは?」と加藤が茶化す。
「俺に楽出来るわけないじゃないか?」と時宗は溜め息をつく。
「惜しい事したよな。玲音君、折角、考古学者になりたいと言ってくれたのに、親が子供の夢潰して………。可哀想に………。俺の淡い夢も潰れたな………。いい後継者出来ると期待したのになぁ」と伊集院は声をおとす。
「おいおい、止めてくれよ?寝た子を起こすなよ?大変だったんだから、説得するのは」と時宗は伊集院に釘をさす。
「で、上司飛ばすのか?」と加藤が聞く。
「まだ秘密だ、お前ら口軽いからな?」
「失敬だな!俺の口は貝の口さ」
「あぁ、雅治の口は確かに貝だな?加熱するとすぐ口開くもんな」と伊集院が笑う。
「おいおい」
「しかし、毎度の会議もつまらないよな?
なんか【あっ!】と言うプラン出す奴いないのかな?」と背伸びをしながら加藤が愚痴る。
「お前が、出せよ!」と時宗は加藤に言う。
「確かに」と伊集院が納得する。
「ん?俺が出しても良いのか?俺が出す場合は、【あっ!】どころで無いぞ?」
加藤は悪魔の微笑みを浮かべる。
「…………。いや、訂正する。お前は出さなくていいよ。大人しく座ってろ」
時宗は溜め息をつきながら返答する。
藤堂と齋藤は、ランチにカフェにきていた。
「何?今回ヘマした上司って山崎先輩なのか?」
「拓哉、声が大きいよ」
「何でまた?」
「人種違えば仕事のやり方違うだろ?
あの人のやり方にあわなかっただけだと思うけどね」
「十碧居なかったら、今日の会議メチャクチャだったのか?」
「正確には、玲音様達が居なかったらな」
「山崎先輩も不幸中の幸だな。
メチャクチャだと辞職もんだろ?」
「統轄長がいくら許したとしても、多分そのまま会社には居にくいだろうな」
「十碧。お前いい切札が、傍に居ていいな?」
「才能がでかいだけに配慮が難しいぞ。
しかも2人も居るんだ」
「なら、俺に是非1人くれよ」
「それは、無理に決まってるだろ!」
「2人でも構わないが?」
「アホか!玲音様を説得するのにどれだけ統轄長が骨を折ったと思ってるんだよ!」
「仕方ない。男落とす趣味は無いが……。
この際……。本人を口説き落とすかぁ?」
「拓哉………。お前………。左遷されたいのか?」




