To leave for America
1.To leave for America.
NYに出発の日
櫻家に、NYに向かうため時宗、玲音、廉、千景、悠貴、樹里亜、藤堂が、空港に向かう為に集合していた。
時宗が電話で席を外している間、応接室でそれぞれがくつろいでいる。
千景と樹里亜が珍しく隣同士仲良く?座っていた。
「樹里亜。お前、その荷物なんなんだ?すごい量じゃないか?」と千景が樹里亜の隣に置いてある荷物を見ながら言う。
「多いって言いたいのでしょ?これでもかなり吟味して最小限まで削ったわよ!パーティー済んだらそのまま留学先に行くから多くなったのよ!」
「それにしても、反対によくここまで持って来れたな?」
「私自身が、持って来るわけ無いじゃない」
「…………そりゃそうだな。お前は……」
千景は自分なりに馬鹿な質問をしたと反省していた。
反対側では廉が藤堂の荷物を見て言う。
「先輩もかなり荷物多いですね?」
「あぁ、これは統轄長の飛行機内でのお仕事です。
半分は私の仕事も有りますが、いつもよりは大分少いですよ?」
「飛行機の中まで仕事するの?」
廉の隣に居た玲音が呆れながら聞く。
「そのためのビジネスジェット機ですから。仕事しないならチャーター機で十分ですよ!」
時宗が応接室に戻ってきた。
「待たせたね。そろそろ空港に向かおうか?」
「藤堂君、配車お願いできるかい?」
「分かりました。」
*時宗と藤堂
*廉、玲音、悠貴
*樹里亜、千景
と言う配車になっていた。
千景が廉に「何で、俺が樹里亜と一緒なんだ?」と小声で愚痴る。
「俺に文句言うなよ?広くていいじゃないか?1人分余裕あって。しかも、華あるしさ」
「なら、代わってやるよ!よろこんで」
「いや、そんな団体行動乱すこと言ったらダメだよ、千景」
「それにあの荷物で一人分以上のスペース無くなるだろ?」
千景は樹里亜には聞こえない様に配慮しながら廉に愚痴る。
「玲音、ちゃんとパスポート持ってきたか?」
廉は聞こえない振りをして話の流れ変える為に玲音に言う。
「うん。ほら」
満面の笑みをうかべながら2冊のパスポートを差し出す。
「ん?パンダ!何で赤いパスポート?」
「これイギリスのじゃないか?もう1冊は、ちゃんとアメリカのだけど」
廉は玲音からパスポートを手に取って確認する。
「え?日本のパスポート赤かったよね?」
「俺達未成年だから、5年しか取れないから紺だよ?赤は10年だね!」と悠貴が言う。
「表紙見れば、すぐにわかるだろ?」と千景が呆れる。
「ちなみに、コピーは取ってあるんだろうな?」と廉は玲音に確認する。
「廉?なんでコピー?」
「盗まれたり、落としたりして無くした時、番号わかれば手続きしやすいし、コピーを持ち歩けば、無くすリスク少いくていいだろ?」
「悠貴はコピーちゃんと取ってるの?」
「 Of course!(勿論)」
悠貴が興味本位に「玲音先輩、イギリスのパスポート見せて……」と本人とは裏腹に他人事である。
「どうしよう?マンションに戻って取ってくるよ」
「待て、藤堂先輩と相談してくる。千景達は先に行ってくれ」
「わかったよ、悠貴。お前も一緒にくるか?」
"Thanks for the invite but no thanks.“(せっかくだけど遠慮するよ)
悠貴は玲音に隠れながら言った。
「…………悠貴。俺達のおかげで英語は上達したな?」と千景は皮肉を言う。
廉が外に出ると丁度、時宗が車に乗り、藤堂も乗り込もうとしていた。
「藤堂先輩。俺達のマンション一度、寄ってから空港に向かってもいいですか?」
「どうかしました?」
「玲音がパスポート日本のとイギリスの間違えて持って来たので」
「仕方ないですね、運転手に事情話して寄ってもらって下さい」
「すいません」
「廉君が謝るのもおかしいでしょ?統轄長には私から車の中で報告しておきますから」と言って藤堂は車に乗り込む。
玲音達は、運転手に事情を説明し、マンションの場所を指示して車に乗り込んだ。
車の中では、悠貴が日本のパスポートとイギリスのパスポート比べている。
「ねね?廉先輩、これってイギリスの国章だよね?」
「ん?そうだな?『 Royal coat of arms of the United Kingdom』って言うんだ。でも盾の上には、冠をかぶったライオンがいるはずだが、これにはいないな?
このライオンがイングランドを象徴。
このユニコーンがスコットランドを象徴。
この2匹が盾を支えている。ユニコーンに付いている鎖はイギリスでは伝説で、ユニコーンはとても危険な獣とされているから、つながれているんだ。
盾の模様は4つに別れているだろ?
ライオン3頭居るのはイングランド王室紋章。
1頭のライオンはスコットランドの紋章。
竪琴はアイルランドの紋章だ」
「ここと、ここ、フランス語?」
「ん?盾の周囲のはガーター勲章と言ってフランス語で "HONI SOIT QUI MAL Y PENSE" 【悪意を抱く者に災いあれ 】と書かれている。
下のリボンにはイギリスとイングランドの標語 をフランス語で"DIEU ET MON DROIT"【神と我が権利】と書かれているよ。
なぜフランス語なのかは昔に、お前に教えたよな?試験勉強で世界史の【ノルマン人の征服】を解説してやったろ?忘れたか?」
「忘れては、ないよ?」
「ならわかるよな?もともと、ヨーロッパでは中世、フランスが中心だった時期があり、【ノルマン人の征服】がきっかけで イングランド王家でも英語が話せないって事が起っただろ?フランス語で会話していた時期のなごりで古い歴史を持つ 英国王室では紋章にフランス語が使用されているものがあるんだよ」
「ふーん」
「ふーんってわかって無かったのかよ。あんなに、昔教えてやったのに」
「う~んと年号と事件名しか……」
「悠貴。考古学者が歴史を知らないでどうするんだ?」
「中世、近代は専門外だよ。ってか廉先輩が知りすぎ。詳しすぎるんだよ!」
「そうかなぁ?何か遠い昔、じいさんか誰かにイギリスの事を、教えて貰った想い出があるような無いような?」
「俺も、じいちゃんから自分の祖国の事はちゃんと知っておけって、会うたびに紋章とかヨーロッパの歴史とか英国の王室とか色々聞かされたよ。廉と同じだね」
「それより玲音、もう忘れ物ないだろうな?」
「多分。あっても、まぁ何とかなるよ!」
「玲音。俺は、お前の秘書だけは、なりたく無くなったぞ!」
「なら、廉が統轄長になれば?俺が秘書してやるよ!」
「パスポート間違える奴が、秘書なんか出来るかよ!」
そんな話していると車がマンションに着いた。
「すぐ取ってくる」
「このイギリスのパスポートはマンションに置いていけ、無くしたら大変だ!アメリカのは車に置いておけよ。マンションに忘れたら洒落にならないからな」
「うん!わかったよ」玲音がイギリスのパスポート持ってマンションに入っていく。
「運転手さん、悪いのだけど帰ってきたら、この後近くのコンビニに寄って貰えますか?すぐに済みますから」
「わかりました」と運転手は言う。
「すいません」
コンビニで玲音のパスポートコピーとり、空港に向かった。
「玲音、空港でどっちのパスポート出すか間違えるなよ?」
「心配性だなぁ~。廉は」
「心配してなかったから、今の状況なんだが?」
「検疫で引っ掛かるようなもん持って来てないよな?」
「なんか廉先輩。玲音の親父さんみたいだ!」
「ん?俺の親父は、何も言わないよ?
何か言うとしたら失敗してから、チクチクと小言を言う人だよなぁ」
空港に着くと、他の全員、荷物を預け茶店でくつろいでいた。
千景と樹里亜は相変わらず小言を言い合っていた。
遠くから見ると案外お似合いなんじゃないかといつも思うのだが絶対に本人達には、言えないと廉は思っている。
「着いたか?」と時宗がやって来た。
「玲音、お前はパスポートの管理も出来ないのか?廉、気づいてくれてありがとう。助かったよ」
「いえ。たまたまでしたが、早くわかってよかったです」
「玲音、出国する時どっち出すのかわかってるか?」
「親父、俺を馬鹿にしてる?」
廉は、今度は親子喧嘩かぁと呆れながら藤堂の所に行く。
藤堂は珈琲を飲みながら、次の行動の確認をしていた。
「藤堂先輩はプライベートと仕事何処で切り分けているんですか?」
「ん?自分の部屋かそうでないか?かな?」
「それって、ほぼ仕事って事ですか?」
「まぁ、そうなりますね。
でも、好きな仕事ですからね。
世の中、自分の好きな仕事してお金貰える人は少いですよ?
世間の大多数の人達は生活の為に我慢しながら仕事してますからね。
廉君は、NYは、初めてでしたっけ?」
「そうですね。イギリスには何度か玲音と行きましたが」
「そうですか、では時間とれたら折角だし一緒にNY観光しましょうか?」
「本当ですか?」
「えぇ。私は、NYには数えられない程行っているのですが、観光したこと無いんです。
あのセントラルパークさえ行ったことないんですよ」と笑う。
「だから、観光スポット調べておいて下さいね」
「はい」
「では。第一関門、突入しますか?」
「ん?」
「玲音様の出国審査ですよ」
「あぁ」
2.Piece of the memory.
出国審査も入国審査も全員つつがなく終わった。
とある少年だけ入念にパスポートの顔写真と本人と何度も見比べられ、質問攻撃はされる事はあったが、英語も日本語も流暢に喋ってるのと、きちんと質疑応答も問題が有るような事も無い事と、 多分一番大きな理由がビジネスジェット機での移動である。
まず、そんな金持ちが不法滞在者になる確率はどれだけあるか?その上、自分の国を出て、自分の国に入ると言う裏技も一般的にできる事ではないといったところである。
ニューヨークの空港にはお金はかかるがビジネスジェット利用者専用の審査ブースがあり待たずに短時間に済ませられる。
しかし、審査が無いわけでは無いので、ここの施設でこれだけ手間取ったのだから一般のブースではどうなっていたんだろう?
"One law for the rich and another for the poor."(金持ちの法律と貧乏人の法律は別 )
本当にこんな諺がある国なんだなと玲音は資本主義の王国で資本主義を一番最初に痛感させる出来事の1つになっただろう。
ホテルでは、玲音達の到着を楽しみに待っているメアリーがいた。
時宗には、NYでのお仕事が待っていた。
ホテルに着くと時宗はメアリーと何かしら話をしていたが、すぐに荷物をホテルに預けると藤堂とNYの事務所に向かった。
ホテルは結局、悠貴の部屋が取れず、玲音と廉は一緒の部屋になったが、エグゼクティブツインなので、かなり広い。
玲音達はロビーで母親と何か話をしていたが廉は、どういう訳か空港に着いてから気分が良くなく頭痛に悩まされて居た。
「玲音。悪いが、少し頭痛がするから部屋でちょっと休むよ」
「大丈夫?」
「あぁ平気。おばさん、すいませんちょっと疲れが出た見たいなので。また、あとで」
「大丈夫?ドクター呼びましょうか?」
「大袈裟ですよ?朝からバタバタしたから少し休めば治ります」
「そう、何か有ればすぐ言ってよ?」
「はい、ありがとうございます」
部屋に着くなり廉は、深い睡魔に襲われた。
悠貴に説明したイギリス国章のせいか
マザーグースの『ライオンとユニコーン』
が夢の中で出てきた。
The Lion and the Unicorn,
Were fighting for the crown,
The Lion beat the Unicorn,
All about the town.
Some gave them white bread,
And some gave them brown,
Some gave them plum cake,
And sent them out of town.
夢の中では、老人の声でこの言葉が語られている。
夢の影像では話になぞられて
ライオンとユニコーンが王冠を巡って戦っている。
勝負はライオンの勝ち、ユニコーンは
街中、追いかけ回されている。
どんどん戦火は町中に広がり
町の人達は白パンを、黒パンを献上している
プラムケーキを献上する者まで現れ退出を願っているという、人形劇の様な映像だった。
また、老人の声で、
「この詩はイギリスの歴史を語ってるんだ、イギリスは4つの国から出来ている。
連合王国を構成する国はイングランド、スコットランド、アイルラド、ウェールズだ。
ほらこの盾は4つに別れているだろ?
パパやママと世界中あちこちするより、このイギリスでじいちゃん達と一緒に暮らさないか?
イギリスは歴史のあるいい国だぞ。楽しいぞ、友達も増えるし、イギリスの歴史、家系の事も色々教えてやるから一緒に暮らそう。なぁ玲音イギリスにおいで」
(玲音??)
今度はあのショパン の『華麗なる大円舞曲』が流れてきた。小さな男の子と若い女性がピアノを弾いている後姿がみえる。
「ママはこの曲好きだね?」と声がする。
「そうね。大好きよ、だから大きくなったら玲音、弾いて聞かせてくれる?」
「うん、任せてよ!」
(玲音?)
「このままでいいのか?
お前は、ここに何しにきたんだ?
時間の流れは速いぞ。
思い出せ!お前は誰だ?
お前は、なぜそこにいる?
思い出せ…お前の使命を………」
時を越えてまたあの声がした。
「廉!!」体が揺れる。
「廉ってば!起きて!起きてよ?廉!」と玲音の必死の声が聞こえる。
目が覚めると、そこに玲音がいた。
「ちゃんと病院行こうよ!顔が真っ青だよ?
俺が付いていってやるからさ。
汗もこんなにかいて、昔倒れた時と一緒じゃん?」
玲音の目が潤んでいる。
「ん?大丈夫だよ。変な夢見てただけだからなんともないよ?
お前が、朝からパスポートを間違えたりするからバタバタして精神的に疲れたんだよ!
だから、大丈夫だ。安心しろ。
おばさんは?」
「仕事の人と電話してる」
「悠貴達は?」
「夕飯食べに行くために着替えしてる」
「では、俺達も着替えて行こうか?」
「本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だから、誰にも言うなよ?いいな?玲音」
スーツに着替えてロビーに行くと樹里亜がメアリーと話しその傍で悠貴と千景が話ししていた。
「廉ちゃん気分はどう?」
「お陰様で寝たらスッキリしました。
大丈夫です。心配かけてすいません」
玲音は不安そうに廉の顔みる。
「そう、無理しないでね?
明日は皆でタキシード新調しないとね?」
「俺達レンタルでいいですよ。着る機会ほぼ無いし」と千景と廉が言う。
「僕はパーティーには行かないから要らないです」と悠貴焦りながら言う。
「俺も廉がレンタルするならレンタルでいいよ。荷物増えるし」
「皆で買いに行きましょうよ?
悠貴君は、なぜ行かないの?」
「潤が明日NYに来るから一緒に観光するんだ。それに俺達そんなかしこまった催し性に合わないから」
「嫌なら仕方ないけど残念ねぇ~」
「ママは明日は、時間有るの?」
「樹里亜ちゃんと玲音達の衣装買いに行くために時間開けてたのよ?」
「樹里亜。あんなに荷物多かったのにパーティー用のドレスは入って無かったのかよ?」
「当たり前じゃない。パーティー用の靴からアクセサリーまで持って来てたらあの荷物は倍に増えるわ」
「………」
そんな話していると時宗と藤堂がやって来た。
「待たせたね。さぁ夕飯食べに行こうか?」
「千景、ちょっと……」
玲音は廉に見つからないように千景に話しかける。
「なんだ?どうかしたのか?パンダ?」
「ここでは……。ちょっとこっち来て…」
皆が移動している中で少し距離を取るように促す。
「どうしたんだ?」
「廉。また、さっき発作起こしたんだ。
俺がいくら病院行こうと言っても、悪い夢見ただけだって大丈夫だって……。聞いてくれないどころか、他には言うなと口止めされたけど………。
あの時と似てるんだ、遺跡調査前に倒れ時と……」
「熱は?」
「寝汗は凄かったけど、熱は計れなかったよ。起こす時、かなり声をかけたけどなかなか意識戻らなくて、やっと目を開けたと思っても少しの間、意識が朦朧としてたんだ。俺の事が分かるまで5分以上はかかったんだ。
その間、言葉は発しないし、寝惚けているのとは違うでしょ?」
「そうだな?夕飯後、廉と話してみるよ」
「うん、お願い」
夕食後、千景が廉を呼び出した。
「どうしたんだ?こんなところ連れてきて」
「お前、ホテル部屋に居た時、発作起こしたそうだな?熱は?気分は?」
「玲音から聞いたのか?
誰にも言うなと言ったのになぁ……。
大丈夫だよ?ちょっと環境が変わっただろ?
それに朝から今回はバタバタしたから、疲れて寝ただけだからさ。
お前だって変な夢見て、うなされる事くらいあるだろ?それだけだよ」
「悪夢で意識が朦朧とすることは普通、無いんだよ!発熱もな?」
「玲音が心配し過ぎなんだよ。今、熱有るように見えるか?」
「………体調悪ければちゃんと俺には言えよ?
もし、言わないで、また倒れでもしたら絶交だからな?いいな?」
「わかったよ!脅すなよ」
夕食後それぞれ、ホテルの部屋に戻り廉は、ホテルのロビーにいた。
ピアノを見ながらあの夢を思い出す。
(あの金髪の女性はおばさんだよな?
何で俺、ピアノのなんか弾けるんだろう?)
ホテルのフロントに行ってピアノの弾ける所はないか?と聞くと2階のエントランスのピアノは弾いていいと言われたのでピアノのを弾いてみる。
(譜面を見なくても勝手に指が動く。
何度も何度も練習して身につけた様に
目を閉じてもこの曲だけは弾ける。
なぜ?)
背後から「玲音?」と声がする
振り返るとメアリーがいた。
「廉ちゃんだったの?驚いた。玲音の弾き方にそっくりだから。隣、座ってもいい?」
「えぇ、どうぞ」
「一緒に弾いて貰えるかしら?」
「え?そんなに上手は無いですよ?」
「廉ちゃんはプロ目指しているのかしら?」
「いえ、とんでもない」
「なら、それだけ弾ければ十分だと思うわよ?もしかしたら、玲音より上手かもね」
「一緒に弾いてくれる?この曲大好きなのよ。息子と一緒に弾ける幸せ貰えないかしら?」
「あぁ。俺でよければ、喜んで」
昔、音楽教室で玲音と弾いた時と似ているが少し違う、癖というか、弾き方が全体的に優しい、この心地よさはなぜか懐かしかった。
弾き終ると背後に玲音と時宗がいた。
「廉が、居なくなったと玲音が騒ぐから探していたんだが」と時宗がいう。
「廉、ずるい!」
「ん?」
「前、ママ前で一緒に弾いて驚かせようと約束したのに!」
「あら、今からでも一緒に弾いて驚かせて頂戴」とメアリーは玲音に席を譲り時宗の隣に立つ。
「う~ん。恥ずかしいな」と廉が言うと玲音が
「廉、弾くよ!」
玲音とは音楽教室で弾いた感触と変わらなかった。
「2人の息子はあなたの助手させるより、ピアニストにしたほうがよかったのかしら?教育方針間違えたかもよ?」
「う~ん、高名なピアニストも惜しいが、俺の貴重な戦力を取られるのは困るな」と2人は息子達の演奏を聞きながら語っていた。




