文化祭
1.Culture Festival
体育祭の後は、文化祭も行われる。
文化祭はクラス単位と言うよりグラブ単位での活動報告が主だ。
ただ活動報告だけでは堅苦しく娯楽性がないので出店と言う形で催しをする。
飲食にしたり、何かグッツを販売したり様々だがその収益はそのまま部費の補助金となるので飲食店が、かなり多い。
ただし、自由に出店品目が決めれるわけでなく生徒会に希望を提出し、生徒会執行部で重複や文化祭にふさわしいかどうか調べて許可の判断される。
久々に考古学研究部の部室に部員全員が揃う。
「やっと全員が集まったな?今年の文化祭で何やるか決めるぞ!」
部長の千景が進行役をする為に皆の前に立つ。すると樹里亜は見るからにしたくないオーラを醸し出す発言をする。
「別に部費を調達しなくても困らないのでは無いかしら?」
「部活発表も兼ねているから、客寄せが必要なんだよ!」
千景は樹里亜の発言にやっぱりそう言ってきたかとばかりに面倒くさそうに応える。
「あら、そこに【客寄せパンダ】が居るじゃない?サクラを部室前に放って置けばいいのよ」と樹里亜が振り返り玲音を指差しながら言う。
『確かに!』
全員が玲音の方に振り向き頷く。
それを受けて玲音は急に立ち上がり顔を真っ赤にしながら
"I am not for show, let me tell you! "と叫び激しく怒る。
悠貴が隣に座っている廉の制服の裾をひっぱりながら小さな声で聞く。
「廉先輩、玲音先輩は、何て言って怒ってるの?」
「ん?あぁ"俺は見せ物じゃない!"だよ。玲音は怒ると何故か外国語で罵倒するからな。通じない相手には意味ないだろうになぁ~」と廉は呑気に答える。
「まぁ、パンダには、客引きさせればいいが。取り敢えず形だけでも出店しないと、これからの部活動に大きく係わる」
千景はそう言って何か意見を出すように促す。
「俺は客引き何かしないぞ!それこそ樹里亜がすれば良いじゃんか!アホな男がわんさか来るじゃないの?怖いもの知らずの男が………」と玲音は今度は日本語で言うが段々と声が小さくなり語尾は殆ど呟きになってる。
「いや。ある程度、悪名は轟いているから無理だろ?」
廉が小声で玲音に向かって囁く。
「きこえてるわよ廉!」
“ギクッ“
「まあまあ。皆さん協力しあって、取り敢えず何かしましょうよ。何もしないと言うのも暇ですよ?」と美里がフォローする。
「無難に喫茶にすれば?遺跡をモチーフにして海底喫茶みたいにレイアウトしてさ。」と潤がいう。
「市販のサンドイッチやクッキーとかシュークリームの軽食を販売して樹里亜先輩御用達のエクスプレッソメーカーと珈琲メーカーがあるからいいかもね」と悠貴が部内の充実したティータイムグッツを見ながら言う。
「それで、サクラ女装させて客引きすれば盛況ね。美里が衣裳作れば完璧よ!」
何故か樹里亜は必要以上に玲音を刺激する。
「だからなんで、俺が客引きなんだよ!しかも女装って!」
「文化祭は男性が女装すれば盛り上がるものよ!」
「なら、俺でなくてもいいだろ!」
玲音は相手が女性では無かったら殴り合いの喧嘩をするのではないかと言うくらい怒ってる。
「一見して女装と分からないと盛り上がりも何も………。それに、分からないは分からないで、こんな大雑把な女は、なかなか居ないぞ?」と廉は一応フォローとは程遠い援護をしている。
「立って笑っておけば、わかんないわよ!大雑把かどうかなんて。少し大柄だけど」
「ふむ。まぁ、客寄せパンダには、なるかもな?」
廉は樹里亜の言い分に納得してしまっている。
「廉!納得するなよ。万が一、俺が女装やるならお前も、千景も当然するんだからな!」
今度は廉と千景に玲音は怒りの矛先をむける。
「なんでだよ!お前はバカか?俺が似合うわけないだろうが!」と廉も怒り出す。
千景はバカは相手にしないと言う態度で無視している。
「俺だって、似合わねーよ。アホ!」と玲音は完全に御機嫌が悪くなっている。
「そこ!うるさい!お黙り」と樹里亜は自分が火種をつけたことを無視し注意する。
「………」
一同、険悪な雰囲気に沈黙が流れる。
「喫茶ねぇ~。安直だから競争率が激しそうだなんだよなぁ」と千景が改めて進行を始める。
「そこは部長が何とかしなさいよ。それが部長の仕事と言うものよ!」と今度は千景に樹里亜はけしかける。
「アホ言うな!そんな権限が俺にあるかよ!」と先程の態度は見事に崩れ千景も怒り始める。
「では、サクラがたこ焼き焼くの?
焼きそば作るの?
焼きとうもろこし作るの?
綿飴作るの?」
屋台の食べ物屋ばかりを羅列し樹里亜が反撃する。
2方向、同時攻撃を行えるのは凄いなと悠貴は変な所で感心を寄せていた。
「だから、なんで俺なんだよ!?」
玲音は全て自分に降りそそがれる事に不満を言う。
「それは、それで不味そうな………」と廉が呟く。
「じゃあ、廉が作ればいいだろ?」と玲音はヤケクソで廉にふる。
「お前、作る気あるの?」と廉は玲音に反撃する。
「いや………。でも女装よりは……」と思わぬ反撃で玲音は墓穴を掘ったのを見て樹里亜は尽かさず「女装して作るのよ!」と言う。
「!!!! overule! Objection!
却下だ!誰がなんと言おうと却下だ!
俺は絶対しないからな!」
玲音は椅子を倒して立ち上がり叫ぶ。
玲音の怒りの頂点が見え始めた頃、千景はまた進行を進める。
「う~ん。仕方がないな。みんなで分担するとしても、喫茶店くらいしか、このメンバーでは出来そうにないな?まぁ取り敢えず生徒会に交渉するか?」
「その場合の役割分担は?」と潤が聞く。
「まず活動報告のパネル作成、部屋のレイアウト装飾品作りは廉と潤してくれ。
材料の買い出しと部屋のセッティングは俺と悠貴でする。
美里ちゃんはメニューやチラシ、招待状を作ってくれる?」
「はい」
「樹里亜と玲音は、前日までのそのチラシ配りな」
「まぁ、それなら」と玲音は納得する。
「女装して配ってもいいぞ」
「誰がするか!ボケ!」
「当日は、美里ちゃんと樹里亜がウェートレスで俺と悠貴はウエーターな。廉と潤で調理だな」
「俺は?」と玲音が怪訝な顔しながら聞く。
「決まってるだろ?客引きだ。パンダの格好でも、女装でも、何してもいいから客連れてこい!いいな?」と千景は玲音に命令する。
「アホか!いいわけ無いだろ!どっちもするかよ!」
玲音は完全に怒り爆発寸前にまでご機嫌が悪化していた。
「取り敢えず詳しくは申請して催しが決まってからだ。」と千景が解散を促す。
廉は、部屋に一緒に戻ってきた玲音に
「玲音。いちいちバカみたいに反応するなよ。
冗談でみんな言ってるんだからさ、反応すればする程、面白がられているのは分かっているだろ?」となだめてみるが、なかなか玲音の機嫌は直らない。
このままでは文化祭には参加しないと言い出しかねないと覚った廉は仕方なく、シュークリームと言う笹で玲音の御機嫌を釣る羽目となった。
喫茶店は予想通り、他にも多くの希望が出ていたが、千景が生徒会に上手く交渉して喫茶店の権利を得てきた。
どうやって交渉したのかは、廉が千景にいくら聞いても教えてくれなかった。
前日までに校内、校外に500枚のチラシを配り終わり、会場も何とか準備は終えた。
食材の準備も終わり、明日本番を待つのみとなった部室で千景は「明日は男は黒のスーツで来いよ。まぁパンダは女装だろうとパンダの格好だろうとスーツだろうと女性とともに任すが、一応女性は男受けする格好でよろしく。エプロンも忘れずにね」と玲音をからかう様に言う。
玲音は廉に言われた通り、沈黙を守っていた。
文化祭1日目
男4人、普段、玲音が目立ち過ぎて影が薄いがそれぞれ、女性からの人気がある。それが黒スーツで決めているから映える。
女性は女性で一人はモデルをしている美貌の持ち主で、もう一人はアイドルにいそうな可愛いタイプなので人気を迫した。
とどめは、彫りが深く甘いマスクの物腰の柔らかな男が満面の笑みを浮かべてスーツ姿で客引きしているので考古学研究部の喫茶店は、かなり盛況だった。
「もう、材料足らないじゃないか?」と廉は潤に聞く。
「ああ、水も珈琲豆も、クッキーにサンドイッチ全て足らないよ。材料少なすぎたよ?」と潤は答える。
傍に居た千景が「でも、まだ外にも列なしてるぞ?【客寄せパンダ】の威力は凄いな。
取り敢えず、廉は俺と交代してパンダを探し出して客引き止めさせろ。材料の調達にまわせ」と指示を出す。
「あぁ、わかった。探してくる」
「廉!早く帰って来いよ!」
「あぁ、わかってるよ」と廉人混みに消えていく。
廉は、部室を出て玲音が居そうな所を考る。
取り敢えず校門に行ってみたら案の定、校門付近で勧誘をしていた。
「玲音!」と廉が声をかけると
「ん?どうしたの?客足りない?」
「反対だ。もう客引きしなくてもいいから材料調達に行ってきてくれ」
「もう、材料なくなったの?まだ2時間しか経ってないよ?」
「だからだ、行ってきてくれ。
リストこれな。
絶対、笹は買うなよ。急げ…」
「わかったよ!仕方がないな」と玲音は走って買い物に消えていく。
部室に帰ってみると、また一段と客が増えていた。
その中には齋藤と藤堂がいた。廉は2人の所まで行き挨拶をする。
「こんにちは、先輩がた今日は休みなんですか?」
「あぁ、OBだから案内状が届いてね。統轄長が気分転換に行ってきてはと半休くれたんだよ」と齋藤が言う。
「まあ、名目はそうですが……。ただ偵察して来いってことですよ」と藤堂は笑う。
「しかし、凄い繁盛しているね」と齋藤は感心している。
「まぁ」と苦笑した。
「取り敢えずゆっくりしていってください。後で席に案内しますので」
「ありがとう。でも気遣いは無用だよ。適当に楽しむから」と齋藤と言う。
背後から千景に「廉、こっち手伝え」と言われて戻る。
2日間あるうちの1日目が大繁盛で何とか終わった。
閉店後のミーティング。
「もう疲れた」と廉は言う。
「もう明日はしなくてもいいのでは?かなり、売り上げあったのではないかしら?」と樹里亜も疲れたオーラ満開で言う。
「それなんだが……」
売り上げを計算している千景がため息をつく。
「何?」と悠貴と潤がパソコンを覗く。
「客寄せパンダに買い出し頼んだら単価の高い材料ばかりで、原価割れ起こしてる」と千景は怪訝な顔で言う。
「えぇ?!玲音。俺は、笹は買うなよと言ったよな?」と廉はびっくりしている。
「えー、いつも買ってる奴が、おいしいから…。それに販売価格聞いてないし……」と玲音は苦しい言い訳を並べる。
「馬鹿でしょ?普通はコスト押さえて販売するのが通りってものよ!人件費が要らないだから抑えるのは材料費しかないでしょ?それ、抑えないでどうするのよ!サクラが会社継いだら倒産するわよ!」
「クオリティも大切じゃないか?」と玲音は反論してみる。
「原価割れして、クオリティ上げる馬鹿な経営者はいないぞ?」と廉は呆れ返る。
「だから~。販売価格知らなかったんだから仕方がないじゃん!俺ばっか責めるなよ!」と玲音はうなだれる。
「損失は、サクラのポケットマネーで支払いなさい」と樹里亜は追い討ちをかける
「明日は廉、お前が材料調達しろ」と千景は言う。
「わかったよ」と廉は溜め息をつきながら同意した。
千景も溜め息をつきながら「この補填も含めて明日もパンダ!しっかり客引きパンダしろよ」と玲音を叱咤する。
「しかたないなぁ~。でも愛想笑いのしすぎで顔が筋肉痛になりそうだよ」と苦笑いする。




