Youth must be served.
1.Youth must be served.
「統轄長!統轄長!起きてください。空港に着きましたよ」と藤堂が、車の中で寝込んでしまった時宗を起こす。
「ん?藤堂君。もう少し……もう少しだけ、眠いよ」と寝ぼけている。
「もう!いい加減にしてください。飛行機出ますよ!」藤堂は呆れ果てながら言う。
「大丈夫だよ?私が居なければ飛ばない…か…ら………」
時宗は夢を見ていた。懐かしい昔の夢を…。
「おい時宗!」と大学の構内で加藤に呼び止められる。
「ん?雅治?どうかしたのか?珍しいなこのキャンパスに居るなんて」
「お前、結局。親父さんの跡継ぐのか?」
「う~ん。今年の正月に箱根の家に騙されて呼び戻されてさぁ~。もう大変だったんだよ。
箱根のじいさん宅に親類縁者をはじめとしてグループ関係者の最高責任者まで集まっててさ、延々とグループ会社の現状と課題の説明まで聞かされてさぁ。
親父とおふくろには、前持って何とか言いくるめておいて味方にしてさぁ、俺も散々抵抗したんだけどなぁ………。
敵もかなりの強者で、反論する度に、じいさんと親戚が雁首揃えて取り囲まれて猛反対されてね。
俺、無理矢理3日間もあの箱根の家に軟禁状態にされた上に、グループ各社内の資料突き付けられながら、なんだかんだ責められて、結局【うん】って言っちゃたんだよなぁ~。
あれは、ある種の拷問だよ?」
「なんだ、つまんね~な。お前と新しい会社作りたかったのにな。3人バラバラかぁ」と加藤が言う。
「俺もだよ。誠はこのままイギリスに残って大学院に進むのか?」
「あぁ。こないだ、このまま大学残って考古学続けるって言ってたぜ?」
「いいよなぁ、好きな事出来て」
「うむ、そうだなぁ?でもまぁ誠も色々な悩み有るみたいだがな?」
「んん?」
「今晩、3人で飲みに行くか?」
「雅治の場合。飲みに行くと言ってナンパしに行くんだろ?」
「野郎3人より、花がある方が楽しいじゃないか?」
「………で会計は、俺持ちかよ?」
「ある所から出すのが世の通りだよ!それと今日は、紹介したい奴もいるしさ」
「結婚したい彼女でも、できたのか?」
「"So many beautiful women and so little time."俺の好きな格言だ!」
「"この世には美しい女性が多すぎて、そして時間は少なすぎる。"か?」
「そうだ!その通り!俺は博愛主義者だ。縛られるような、付き合い方はしないぞ」
「お前な、男友達にはいい奴だが、女性には敵視されるだろ?」
「だから、敵視されることのない、付き合いすればいいんだよ!深い付合いしなければいいのさ、付かず離れずさ。
"Wedlock is a padlock."(婚姻は南京錠である) って諺あるだろ?俺は繋がれたくないからな。まぁそんなことはどうでもいいさ。今晩、空けておけよ」
その夕方、雅治から呼び出されたバーに行くと既に誠がいた。
「誠!」
「珍しく早いな?明日は雨かな?」
「おい、何時も遅刻しようと思ってしている訳でないぞ!」
「はい、はい。そう言えば、時宗」
「ん?」
「親父さんの跡継ぐことに決めたんだって?」
「雅治にも言ったが、抗うのも疲れたよ」
「それより、継ぐ事で好きな事をやらしてもらうさ」
「では、将来、俺のスポンサーしてくれよ!考古学は、お金が、かかるんだ。
歴史的発見してもスポンサーいないと研究続けられないからな。俺は世界に名を残す考古学者になるからさ」
「あぁ、兄貴に頼んで今、学校設立の計画をしているだろ?誠はちゃんと博士号取って兄貴と一緒に学園支えてくれよ。好きに考古学の研究していいからさ。それで面白い遺跡見つけたら、俺にも発掘に参加させろよ?」
「あぁ。でも、お前に時間の管理ができるのかよ?」
「それ、なんだよな。親父が隠居するまでは、時間の自由はあると確約してるが、誰か優秀な秘書が欲しいなぁ」
「あぁそうだ、1人俺の知り合いに優秀な男いるぞ?」
「ほぅ、どんな奴だ?」
「橘准一と言う奴だ。今度、紹介するよ」
「あぁ、よろしく頼むよ。しかし、珍しく雅治遅いな?何時も一番のりなのにな」
「そうだな?誰か紹介すると言ってたが?結婚したい彼女でもできたのかな?」
「いや、そう思って聞いたら独身貴族。博愛主義は変わって無かったぞ?」
「独身貴族の博愛主義者か?その癖、女好きなのが手に負えないよな」と伊集院は笑う。
「まぁ、それが雅治が雅治である所以だからな」
「おっと、噂をすればだ」
「悪い、悪い、遅くなって」
「あぁ、待ちかねたぞ」
「時宗に言われるようでは、俺も焼きが回ったなぁ」
「おい!ところで後ろの方は?」
「あぁ、五十嵐和也だ。俺の友人で将来、日本を代表する名医になる男だ」
「雅治、持ち上げすぎだ。五十嵐和也です。よろしくお願いいたします」
「こいつらが、俺の幼馴染みの2人だ。この万年日焼け男が将来高名な考古学者になる伊集院誠だ。考古学者と言うよりトレジャーハンターだな?」
「おい、否定はしないが仕方がないだろ?考古学って金かかるんだよ!伊集院誠です。よろしく」
「それで、この甘いマスクの色男が、あの櫻グループの跡取り息子の櫻時宗だ」
「雅治、言い過ぎだ。俺はお前ほど、もてはしないぞ!櫻時宗だ。よろしくな」
「時宗、櫻グループって医療関係に今、力入れているよな?」と加藤が言う。
「ん?入れてるかな?そう言われれば親父が病院買収計画を立てていたようないないような?」
「どっちだよ!」と雅治はイラッとしながら言う。
「知らねーよ。俺はまだ正式に入社もしてないし、今は、仕事覚えるのと小遣いかせぎを兼ねてアルバイトでイギリス事務所に居るだけだからな。単なる学生アルバイトだよ。だから詳しい社内事情は知らんよ。しかし、なんでだ?」と時宗は言う。
「いや、和也は大学病院の教授争いに疲弊してな、大学病院から離れたいが、最先端医療は大学病院か、大きな総合病院でないと経験出来ないだろ?
それでわざわざイギリスまで相談に来たんだよ。お前の所の病院なら最先端医療経験出来るだろ?紹介してやってくれよ?」
「紹介はしてやれるが、採用は俺、関与してないから保証は出来ないぞ?」
「大丈夫だ、紹介してくれれば。腕は確かだからな」
「わかったよ。東京事務所に履歴書とか経歴書とか必要書類送ってくれ、親父に売り込んでみるよ」
「ありがとうございます。助かります」
「いや、まだ礼は早いよ。どうなるかわかんないからね」
「早く統轄長になれよ!」と雅治は涼しい顔で言う。
「いやだよ!お前ら自由に好きな仕事出来るが、俺はしたくて継いだ訳でないぞ!」
「大丈夫だ、俺達がお前の手足になって好きな事してやるよ!」と加藤は笑う。
「それ、聞こえはいいが、スポンサーになれと言うことだろ?」時宗は呆れながら言う。
「時宗、お前の欠点は頭が良すぎる事だ!そこは気づくなよ!」と加藤が言う。
「お前らなぁ」
その年の春、櫻グループの入社式に時宗と雅治は一緒にいた。
「統轄長!いい加減にしてください!置いて行きますよ!」
「あぁ、藤堂君か?」
「『あぁ、藤堂君か?』では無いですよ!どれだけ起こしていると思って居るんですか?ニタニタ笑みを浮かべながら寝て。そんなに楽しい夢だったんですか?」
「ん?面白いというか昔の思い出だなぁ」
「『送る月日に関守なし』かぁ…。俺も歳とったなぁ~」




