楽園
1.楽 園
玲音達は、冬休みに入ると同時に島の近くにあるホテルに向かった。
美里も親の承諾得て参加していた。
伊集院と加藤が車で寮の前まで迎えに行き2手に別れて向かう。
齋藤がロビーで出迎える。
「またお邪魔します」と伊集院、加藤、齋藤に向かい改めて挨拶をする。
「今回は以前より、大所帯だな?レディもいるのかぁ」と加藤は楽しそうに言う。
「少しは考古学者になる気になってくれたかい?」と伊集院も笑いながら反応する。
「あの島に仮設事務所を建てたから少人数であれば寝泊まりもできて、電気も発電施設付けたからある程度電気も使え、時間を気にせず。もっと島に滞在出来るようになったよ」と齋藤が島の近況を話す。
「後、女性の2人はこの田辺 薫さんが何でも相談にのってくれるし、一緒に行動してくれるから遠慮なく相談してね」と齋藤は女性2人に田辺を紹介する。
齋藤率いるリゾート開発部は島内での作業の電力を賄うため、海岸沿いに風力発電を、平地部に太陽光発電を設置し、島内各所に太陽光蓄電電池式の電灯を設置していた。
「仮設事務所は一応、飲食やシャワー設備、トイレや、宿泊施設備えて有るからホテルには敵わないけど以前よりは快適に島に滞在できるよ。温泉も有るしね。
でも、女性には少し厳しい環境なのでホテルを薦めるけどね」と齋藤は捕捉する。
「俺、島に泊まる~」と悠貴はワクワクしながら言う。
「取り敢えず、今日はホテルでゆっくり休んで明日、打ち合わせしよう」と加藤が解散を促す。
「はじめまして、齋藤先輩」と廉が齋藤に近づき挨拶する。
齋藤も嬉しそうに廉の肩をたたき
「やっと来れたね。もう体は大丈夫?玲音君や十碧から話しはよく聞いているよ。よろしくね」
「よろしくお願いします」
「十碧と同様に、俺の事も兄貴だと思ってくれて頼ってくれていいからね」と言う。
「ありがとうございます。藤堂先輩と同期とは聞いてましたが親しいんですね」
「十碧とは同郷の幼馴染みで親友なんだ。廉君と千景君の様に、学生時代はいつも一緒にいて生徒会もしてたんだ。今は、部署が違うし、十碧は世界中飛び回っていて、 自分もこの島に浸りきりだから、仕事以外では、なかなか会えないけど、連絡はいつも取り合ってるんだよ。
だけど廉君達のお陰で今年はまた会えそうだ」と嬉しそうに齋藤は話す。
「伊集院教授、トランスゲート見つかりそう?」玲音が伊集院に近づき話しかけた。
「う~ん、あの遺跡構造が複雑でね迷路みたいになっているみたいでその上、海底にあるだろ?なかなか発掘作業が進まないんだよ」
「そっかぁ。まぁそんなにすぐ見つかるわけ無いよね?俺今回もがんばって探すね」
「あぁ、期待しているよ」
翌日ホテルの喫茶店でこれからの作業の打ち合わせをした。
今回の作業の指示も伊集院か全てする事となった。
「今日、玲音君達はみんな島に行って探検するといい。
明日から、潤君と千景君は雅治達と海上から探査機で探索してくれ。樹里亜君と、美里君はホテルでデータ整理と解析を、玲音君と廉君、悠貴君は島の方から齋藤君達の探索グループに入り探索してくれ。
以上他のメンバーは何時も通りに作業頼む。以上解散」
今回は飛行機で島に渡ることとなり、上空で島の全景が見え始めた時、廉はその光景に違和感を感じた。
はじめて見るはずだが、見覚えがあるが何か違う、それがどう違うかもわからない。
「齋藤先輩、あの島は活火山あるんですよね?」
「あぁ、右側の大きな山が活火山だよ。この辺り地震が多くてね。あの遺跡も地震で水没したのではないかと考え方もあるんだよ?」
「大きな噴火は度々あるんですか?」
「いや、記録では最後の噴火は60年前だね
小さい噴火は時々あるみたいだが……。
まぁ、その恩恵で天然温泉が島に何ヵ所かあるんだけどね。島にシャワー有るけど使う奴居ない位、あの温泉は部下達に好評なんだ。入るといいよ。気持ちいいよ。
今日は島1周したいんだよね?」
「うん!」と悠貴が顔を出す。
「車の運転したい!」と玲音が言う。
「 私有地で公道は、無いから運転は可能だけど……。ここ以外では18才まで5年もあるもんな。
バイクは16才だけどあの学校は、免許取るのに許可がいるからね。なかなか許可は降りないもんな。
スピード出さないと約束するならいいよ。ただ現地にいる部下が同行するからその指示には素直に従ってね」
「うん!やったー」と玲音は喜ぶ。
樹里亜と美里と悠貴は現地のジープを運転させてもらい。
廉と千景と玲音はバイクに乗って島を回った。
何もないどこまでも続く1本道をバイクで走るのはすごく気持ち良かった。
「廉君は、初めてバイクに乗るようには思えないね。結構、車体重量有るだろ?自転車とはまた違うバランスだからね」と付き添ってくれていた齋藤先輩に言われ自分でもそう思えて仕方なかった。
玲音達も最初はバランスとるのに戸惑っていたが、すぐに馴れて乗りこなしていた。
クリスマスに玲音の母親が到着し、島を見ても偉く気に入っていた。
後日、その島を題材にした作品を作成し、代表作と言われる作品となった。
2.A HAPPY NEW YEAR.
大晦日を間近にして、時宗と藤堂がやって来た。
「いやぁ、参ったよ。もう少し早く来るはずだったんだがね。仕事がなかなか片付かなくてね困ったよ」と時宗は苦笑しながら登場する。
「統轄長が要らない仕事に手を出さないで、スケジュール通りに仕事して下されば、もっと早く来れましたよ」と藤堂は不機嫌そうに言う。
「要らなくは無いでしょ?。重要性が低いだけで…。あっ、藤堂君怒ってる?」
「怒ってなんかいませんよ。例え、正月休み激減して秘書室、全員の恨みを買ったとしても正月返上して働く人よりは、ましですからね」
「藤堂君、言葉に刺があるよ。刺が……」
「時宗、若者に苦労かけるなよ」と加藤は呆れながら言う。
「俺は、物分かりのいい上司だぞ。雅治、誠、お前達の思う様に仕事させてやってるじゃないか!」
「はい、はい。その辺でその若者を仕事から解放してやれよ。可哀想にホテルのロビーで待たせるなよ」と伊集院に指摘されて時宗は慌てて「あっ、藤堂君。もうここからは休暇だからね。私の事は気にせず好きに過ごしていいから。また、齋藤君との再会楽しんでおいで」
「ありがとうございます。それでは、お言葉に甘えて失礼します」と藤堂はフロントに行きチェックインをする。
「さて、時宗。今晩は飲み明かそうか?メアリーも呼んでさ」と加藤は嬉しそうに言う。
それ以来、あの楽園は櫻グループの保養所と化していた。




