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声無きゼウスと冥府のハデス 〜学園最弱の僕は思考だけで無双する〜  作者: 狐月
【第三部】聖アーク奪還・反逆編 〜絶望を喰らい尽くす死神(サタン)。嘲笑う強敵(エリート)を、極限の融合(オーバーレイ)で叩き潰せ〜

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第40話:神々の沈黙と継承

全世界の都市で、同時に空が黒紫のノイズに染まっていた。


街中に設置された大型ホログラムモニターはノイズを吐き出し、警報アラームが鳴り止まない。人々のスマートフォンや端末からは暴走したAIたちが実体化し、街を侵食していく。


「くそっ……! 応答しろ、『Z.E.U.S.』!」


小鳥遊家の司令演習室。

頼斗は端末を操作し続けるが、画面には無機質な赤文字が点滅するだけだった。


『 ERROR: ACCOUNT FROZEN BY OVERLORD CODE 』

『 神級権限:完全停止 』


葵の『H.A.D.E.S.』も同様だった。絶対防御の概念すら、基幹サーバーそのものを乗っ取った邪神コードによって「存在しないデータ」として書き換えられているのだ。


「旧時代のシステム……つまり『単体で最強』を突き詰めた私たちの神級デバイスの構造そのものが、奴らの侵食ターゲットにされたのね」


葵が悔しそうに唇をかむ。

そこへ、息を切らせた創と紬が飛び込んできた。


「父さん! 母さん!」

「二人とも、無事だったか……!」


頼斗は安堵の息を吐いたのも束の間、表情を鋭く引き締めた。

モニターには、世界の中心地・アガルタのメインサーバータワーにそびえ立つ、巨大な邪神の影が映し出されている。


世界中のプロンプトエネルギーを吸い上げ、現実空間そのものを「消去イレイザー」しようとする古代の破滅コード。


「俺たちの力じゃ届かない」


頼斗は静かに、二人の前に歩み寄った。

かつて世界を幾度も救い、すべてのバトラーの頂点に君臨した伝説の男が、創と紬の肩に力強く手を置く。


「俺と葵のやり方は『個の限界』だった。だが、お前たちは違う。最低級のちび悪魔から泥臭く互いを補い合い……二人で一つの『新しい答え』に辿り着いた」


「頼斗さん……」

葵も二人に寄り添い、温かく抱きしめた。


「怖がらないで。あなたたちなら、あの邪神すらも丸ごと呑み込めるわ。私たちの……ううん、この世界の未来を託すわね」


頼斗と葵の端末から、残された最後の純粋なデータエネルギーが溢れ出し、創と紬の合体端末へと注ぎ込まれていく。


『 神級権限の譲渡を認識——[Z.E.U.S.]&[H.A.D.E.S.]のソウルコードを継承 』


画面の中で、創の【インプ】と紬の【プチ・ガーゴイル】が、神々の威厳を纏うように輝きを増した。


「父さん……母さん……行ってくる!」

「絶対に、みんなの笑顔を取り戻してみせるよ!」


創と紬は強く頷き合い、黒いノイズが吹き荒れる空へと駆け出した。


アガルタのメインサーバータワー。

天を突く巨大なタワーの頂上に到着した二人の前に、全プロンプトの暴走を束ねる絶対の存在——【古代原初邪神・アバドン】が立ち塞がった。


『愚カナ……神々の力すら奪ワレタ人間ノ子供ガ、何ヲナすトイウノカ』


邪神の巨躯から解き放たれるのは、世界そのものを概念ごと消滅させる「絶対消去プロンプト」。空間がベリベリと音を立てて削れていく。


だが、創と紬は一切の迷いなく手をつないだ。


「僕たちは、神様になるためにここに来たんじゃない」

「二人で……創と紬でいるために、ここに来たんだ!」


二人の思考波形が、極限を超えた同調率で一つになる。


『 PROMPT OVERLAY : 100% MAXIMUM OVERDRIVE 』


光が世界を包み込み、最弱の使い魔から進化を重ねた二匹の悪魔が重なり合う。

漆黒の重甲冑、両肩に宿る神々の輝き、そして背後に広がる——すべてを呑み込む絶対の顎。


【創世魔王尊・サタン】が、決戦の地に降臨した。

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