↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
25/26

第25話 三者三様

部屋に入ると、車椅子に座った状態の真紀(ワタシ)の姿があった。


「お母さん?でいいのよね。」


真紀(ワタシ)は真紀(ワタシ)のカラダに話しかける。


「そうよ、真紀。」


真紀(ワタシ)のカラダから発する真紀(ワタシ)の声なのに、そこにしっかりと母の意志があるのが伝わってくる。

瞬間、真紀(ワタシ)の頬を涙が伝わる。


「お母さん、ごめんね。お母さんにつらいことばかりさせちゃって…。」


ワタシのカラダ(母)は静かに首を横に振り、包み込むような優しい目を向けてくる。

やばっ。真紀(ワタシ)ってこんな素敵な表情ができるのね。元に戻れた時のためにちゃんと覚えておかなきゃ。

引き寄せられるように近付くと、ワタシのカラダ(母)に優しく抱き寄せられる。

んな゛っ!?何かしら。このカラダの奥から込み上げてくるような得も言われぬ気持ち良さというか悦びというか…あ、これって一人エッチでイっちゃうときの感じに似てるんだ。


「真紀…あんたなんて顔してんのよ。」


気が付くと母が蔑むような目で見てた。こんな顔もできるのね。覚えとこ。

真紀(ワタシ)は我に返るとさっきの感覚について考えてみた。

ここまでリハビリを続けてきたけど、美紀のカラダは相変わらず意識外から触られることに慣れることはなかったわ。

それどころか、感覚が馴染むにつれて絶対恐怖領域に入らせまいと過剰に反応しちゃうようになったわよ。

なのに、さっきは吸い寄せられるように自分から近付いて、剰え抱きしめられてイっちゃうなんてどういうことよ。

母だから抱かれるのを拒否してないってぐらいなら理解できるけど、イっちゃうのはさすがにドン引きよね。


「自分に抱かれて軽くイっちゃうなんてとんだ変態さんね。違うか。美紀の真紀好きにも困ったものね。ここまでだったとは思ってなかったわ。」


母にはすべてお見通しだったようだ。

え?そういうことなの。美紀、あんたってばそんなに真紀(ワタシ)のこと好きだったの!?

そうしてる間にも母は美紀のカラダ(ワタシ)をあちこち擦ってくるが、美紀のカラダは嫌がるどころか心地よさに打ち震えているようだわ。


「ちょっとやめてよ、お母さん。娘をイかせてどうしようってのよ。」


なんとか踏み止まって母を制止したところで、母の姿の美紀が車椅子で士郎に連れられて入って来たわ。


「美紀、あんたまだ車椅子使ってるの?そのカラダ、腎臓摘出しただけなんだからとっくにそんなもの必要なくなってるはずでしょうが。」


その様子に母が鋭く切り込む。


「だって…。」


「だってナニよ。士郎さん、あなたもちゃんと美紀に言い聞かせたのかしら。しっかりしなさい。どれだけ経ってると思ってるのよ。」


ワタシが母や士郎をしかりつける様子を見ることになるとは夢にも思わなかったわね。

母の姿の美紀は今にも泣きだしそうな顔をするし、士郎はアワアワしちゃってるしで見たことのない空間が広がってるのがとても不思議で思わず吹き出しちゃったわ。

そんな真紀(ワタシ)に母が声をかける。


「真紀、美紀に言いたいことあるんじゃないの。この際だから全部吐き出しちゃいなさい。」


確かに次に美紀に会った時に何を話そうか、この三週間いろいろ考えてはいたの。

でも母の姿でしおらしくしている美紀を見たら、なんかもうどうでもよくなっちゃった。


「美紀、一言だけいい?」


「なに?」


母(美紀)が涙目ながら真紀(ワタシ)に向き直る。

その顔目掛けて思い切りアカンベェしてやる。


「バーカ。美紀のカラダ返してあげないからね。」


「あ、いいわね。それ乗った。お母さんもこのまま真紀のカラダ使わせてもらうわ。」


「えー、どうして美紀(わたし)がお母さんのカラダなのよ〜。酷すぎるよ〜。」


「どこがひどいのよ。病院の仕事も任せたからね。キリキリ働くのよ。お母さんは若い体を堪能させてもらうから。」


「美紀(わたし)が真紀のカラダに入るはずだったのにあんまりよ。お母さん、先っぽだけでいいから代わってよ~。」


先っぽだけってどういうことなのかしら。

美紀って本当に何考えてるのか判んないわ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。