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第23話 全容

母の病室で会った時の虚ろな感じは、美紀がその中身だったからなのね。

そういうことなら、あの母の様子にも合点がいくわね。

それと、ワタシを真紀と呼んだことにも。

美紀は真紀(ワタシ)と自分(美紀)の脳を入れ替えを計画していたわけだから、自分(美紀)のカラダに入ってるのが真紀(ワタシ)の脳だと知っているんだもの。


「美紀さんはキミ(真紀)のカラダを大きく傷付けてしまったことを大変後悔されていました。」


なるほど、それ故の真紀(ワタシ)に対する「ごめんね」だったということかしらね。

そこら辺は納得できたけど、どういう経緯で美紀とお母さんの脳が入れ替わることになったのかしらね。

それと真紀(ワタシ)が真紀(ワタシ)のカラダに戻れない理由もちゃんと説明してくれないと困るんですけど。

ちゃっちゃとそこら辺も洗いざらい話してほしいわね。

ということで、士郎に全てを話すように促したわ。


「それでは、順を追ってお話ししますね。」


士郎の話はこうだ。


美紀の計画としては、事故を装って真紀(ワタシ)と共に病院に運ばれて脳を交換する手術を行うはずだったが、真紀(ワタシ)がシートベルトを外していたことで真紀(ワタシ)のカラダが想定外の損傷をしたために予定が狂ってしまったようだ。

士郎としては脳移植を行わないという選択肢はなかったので、取り敢えずワタシ達の脳を取り出して、ほぼ健全な状態の美紀のカラダに真紀(ワタシ)の脳を移植した。

美紀の脳は、損傷が激しい真紀(ワタシ)のカラダに完全に入れることはせずに、生命維持装置につないだ状態で様子を見ることにしたそうだ。

母は、ワタシ達の状態を見て全てを察したようで、腎臓を真紀(ワタシ)のカラダに提供するとともに、自分のカラダを美紀の脳のために明け渡すことを決めたということだ。

真紀(ワタシ)のカラダの状態が良好になるまではワタシ達の脳を再移植しないことを士郎にきつくきつく言い渡して、だそうだ。

というのは、真紀(ワタシ)のカラダの苦痛を肩代わりできるのならしてあげたいという想いと、美紀が動かないカラダで悶々とするよりは意識がしっかりした状態で自分のやったことを今一度省みることをさせたいという想いかららしい。

母の眼力と即断即決の実行力には恐れ入るしかないわね。さすがは鎮守神というところかしら。

もちろん士郎に対するお灸も十二分に据えられたとのことだ。どんなお灸だったのかは士郎の口から語れることはなかったが、思い出しただけで顔を青ざめさせていたので相当なものだったんじゃないかしらね。

そして、母の脳は真紀(ワタシ)のカラダに、美紀の脳は母のカラダに移植された。

母が腎臓移植の際に脳血栓を起こしたというのは脳移植の偽装のためだったのだけど、その後の美紀の精神状態を誤魔化すために記憶障害のオマケがついた嘘だったということだ。

そりゃそうよね。真紀(ワタシ)のカラダに入っていると思っていたのに、気が付いたら母のカラダになってましたなんてビックリくりくりクリスタルバージョンはモバイルモードが魅力よね。は?何のことか判らない?そういう人はさらっと流してちょうだい。


ともかく、真紀(ワタシ)のカラダの治療がほぼほぼ終わるまでこの状況は続くことになるらしいわ。

そうするとこの先1ヶ月くらいは美紀のカラダで過ごすことになりそうね。

仕方ないから、このままリハビリを続けてカラダの自由を確保することにしましょ。

母と話せるようになれば自ずと物事が進むことになるはずだし、真紀(ワタシ)はできることをやってその時を待つことにするわ。


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