第21話 真実
朝陽がカーテンの隙間から差し込んで部屋の中を明るくしていた。
今日も晴れていて澄んだ青空が見えているが、真紀の心中は晴れやかとは程遠いかもしれない。
心中の重しになっているのはもちろん美紀のこと。
美紀の真紀に対する言動は、本音をぶつけあってこれていないこともあって、到底理解不能なパズルのように思えちゃうのよね。
人の想いなんてそう簡単に判るものではないとも思うけどね。
美紀の場合は、面倒くさいのもあって最後には何でも受け入れて甘やかしていた付けが溜まりに溜まって余計に何も見えなくしちゃった気もするけど。
元からあんまり根を詰めるのが苦手なのは自分でも重々承知してるんだけど、さすがに今回ばかりは脳みそフル回転させないと…。
ん?
んんっ!?
もしかして…今回のこと、判っちゃったかも。
そういうことだとすると、こうなって、ああなって、説明がつくじゃない。
あ、でもあれが判らないのよね。
まっ、いいけど。本人に確認すればいいだけだし。
なんか勝手に一人だけで納得しちゃってるけど、どういうことかは直ぐに判るはずだからちょっと待っててね。
昼過ぎ、士郎に病室に来てもらった。
「美紀と話をさせてちょうだい。」
真紀は士郎を正面に見据えて真っ向斬り込んだ。
「な、何を言っているんですか、美紀さん。美紀はあなたじゃないですか。」
士郎の表情が一瞬硬直するのを見逃さない。士郎はやっぱり嘘をつくのが下手ね。
「誤魔化さなくていいわよ。もう、判っちゃったから。あれでしょ。美紀が禁断の黒魔術を発現させて…。」
「違いますよ。」
「え゛!?…それだったら、美紀が魔法の国から来た謎生物と契約して…。」
「違います。」
なんてことかしら。てっきり美紀が不思議な力に目覚めて、この入れ替わりを実現させてるとばかり思ってたんだけど士郎にきっぱり否定されたわ。
なんで真紀がこんな突拍子もないことを真面目に言い出したのかというと、子供の頃に大真面目な顔して「真紀と入れ替われ~」なんてやって、うまくいかないことに泣きじゃくっていた美紀のことを思い出したからなのよね。
その後も何度かやってたはずだけど、真紀と入れ替わって何がいいのかなんてさっぱり判らなかったから記憶のカナタにぶっ飛んでいたのよね。
だってそうじゃない。瓜二つの双子で入れ替わったって見た目が劇的に変わるわけでもないし、何が得になるって言うのよ。
それと高校生ぐらいの時に、美紀が変なこと言ってきたことがあったのよね。
「真紀になる方法、思いついちゃった。」
その時も、真面目に相手するつもりがなかったから何のことか考えようともしなかったけど、今朝ふと思い出しちゃったんだもん。
だとしたら、高校生の時からどうにかこうにかして美紀がこの状況をつくったってことになるじゃない。えっ、ならないって!?
でも、さっきの士郎の態度から真紀は美紀じゃないってことを知っているのは間違いないはず。
士郎に超常的な方法を否定されて真紀がああでもないこうでもないとうんうん唸っていると、士郎が半ば諦めたように口を開いた。
「この状況を望んだのは美紀さんですけど、この状況にしたのは僕です。」
へー。
士郎って実は魔法使いだったんだー。
ふーん、士郎って30歳までどうて
「なんか変なこと考えていそうなんで言っちゃいますけど、僕が外科手術で二人の脳を入れ替えたんです。」
マジか。
脳みそそのものを入れ替えられちゃってたわよ。




