↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
未来から吹いた風 ~5人でひっくりかえす太平洋戦争~【改訂版】  作者: 青雲あゆむ
第4章 太平洋戦争編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/96

69.ハワイ北方海戦

昭和17年(1942年)4月 東京砲兵工廠


「ハワイ沖で大海戦が発生したんだって?」

「ああ、犠牲も大きかったけど、なんとか勝ったようだぞ」

「そうなんだ。でも犠牲が大きいって、どれぐらい?」

「それがなぁ……」


 おそらく最後になるであろうアメリカ艦隊が、3月末に攻めてきた。

 もう後のないアメリカは、なりふり構わない全力出撃だ。

 その陣容は以下のようなものだった。


戦艦:アイオワ級3隻、サウスダコタ級2隻、旧式戦艦7隻

空母:ホーネット、レンジャー、ワスプ、エセックス級6隻、インディペンデンス級5隻

 搭載機数:960機

その他:重巡洋艦9隻、軽巡洋艦5隻、駆逐艦56隻


「たしかに凄い陣容だけど、日本も負けてないだろう?」

「たぶん、こっちもほぼ全戦力をつぎ込んだんだよね」

「ああ、そのとおりだ」


 今回、日本海軍は下記の艦艇を送り出した。


戦艦:大和型2隻、長門型4隻、金剛型4隻

空母:翔鶴型6隻、蒼龍型2隻、祥鳳型4隻

 搭載機数:940機

その他:重巡洋艦6隻、軽巡洋艦12隻、駆逐艦48隻


 戦艦は数で劣るが、対空能力重視の改装済みで、戦力として決して劣るものではない。

 そして主力の空母戦力や補助艦艇においては、ほぼ互角だ。


 これに加え、ハワイに配備された航空部隊が500機ほどあった。

 それを含めれば優位かと思われていたのだが……


「ハワイをとばして、ミッドウェーを襲うふりを見せたか」

「ああ、敵の誘いなのは分かっていたが、海軍はあえてそれに乗った」


 日本からは角田中将と山口中将の指揮する第1・第2機動艦隊が、米艦隊との決戦へ赴いた。

 艦載機も97艦戦から1式艦戦”烈風”へ、97艦攻から1式艦攻”流星”へと代替わりしている。

 烈風は金星の18気筒版エンジンを搭載し、最高速度は620km/hを叩き出す。


 もう一方の流星は、急降下爆撃も可能な攻撃機だ。

 こちらは”誉”エンジンを搭載し、最高速度570km/hを実現していた。

 状況に応じて雷撃と爆撃を使い分けられるので、柔軟に運用できるのが強みだ。


 ただしアメリカ海軍も、艦載機を更新しているという。

 ほぼ同等の戦力において、決して侮れない敵であるとの認識だ。


 もっとも、我が軍はハワイや西海岸周辺に、潜水艦による警戒網を構築していた。

 これに艦偵”彩雲”の索敵を組み合わせることで、敵艦隊の行動はほぼ把握できる。

 そのため先手を打ったのは、やはり我が軍だった。


 第1・第2機動艦隊から、700機もの攻撃隊が繰り出される。

 それは彩雲に先導され、着実に敵艦隊へたどり着いたという。

 しかしアメリカの底力は、やはり侮れなかった。


 レーダーピケット艦を広範囲に配置し、素早く対処してきたのだ。

 我が軍と同様にレーダーや無線通信を駆使し、戦闘機を振り向けたようだ。


 ただしこちらも無策ではない。

 ハワイから差し向けられた陸上攻撃機が、レーダーを撹乱するチャフをばらまいた。

 攻撃隊はこの雲に紛れながら、それぞれ敵艦隊を目指した。


 まず海上で激突したのは、烈風とF6Fヘルキャットだった。

 F6Fは史実と同様、目立った性能はないが、汎用性に優れた戦闘機だ。

 この世界でも短期間での量産に対応し、すでにF4Fと置き換えられている。


 しかし我らが烈風も、それをしのぐ高速戦闘機に仕上がっていた。

 そして何よりも、台湾やサイパン、マリアナ沖の戦いを生き延びた搭乗員たちが多くいる。

 それに加え、これまでの戦訓を取り入れて訓練された若鷲も、多く参戦していた。

 烈風の方が速度に優れることも相まって、優勢に戦闘を進める。


 やがてほぼ制空権を獲得したところへ、攻撃機が到着した。

 500機近い”流星”が、雷撃と爆撃を試みる。


 まずは敵輪形陣の外郭を崩さんと、流星が魚雷を投下した。

 着水した魚雷は前進しつつ、目標のスクリュー音を探知すると、それを追いはじめた。

 ここで狙われたと見た敵艦艇に、変化が起きたそうだ。


 敵艦艇は何らかの機器を海面に投下し、それを牽引しはじめたという。

 その機器は特定の騒音を垂れ流し、音響魚雷を引き寄せる欺瞞装置だった。

 史実でもドイツの音響魚雷対策に用いられた、”フォクサー”であろう。


 実はこれに先立って、西海岸の戦闘で、似たような機器の使用が確認されていた。

 史実を知る俺たちは、すぐにそれをフォクサーと見破り、対策を取った。

 フォクサーらしき音源を探知しても、それを無視するプログラムを組んだのだ。


 とは言え、それで全て防げるほど、高度な技術でもない。

 そもそも妨害が無くても、音響魚雷は目標を捉えられない場合があった。

 そこへフォクサーによる妨害が加わって、さらに命中率は落ちた。

 それでも通常の魚雷に比べれば、段違いの戦果は挙がる。

 1隻また1隻と、艦尾に爆発を起こし、船足が弱まる艦艇が出はじめた。


 そこへ上空で機会を伺っていた流星が、爆撃を敢行していく。

 高速なため従来(70度)よりも緩い角度(45度)で、流星が降下を掛ける。

 そして敵の煙突付近を照準器に入れると、ただちに500kg爆弾を投下した。


 それもただの爆弾ではない。

 爆弾の先端に備えられた赤外線シーカーにより、艦艇の熱源を追跡するのだ。

 この”1式誘導爆弾”こそが、中島が開発した秘密兵器だった。


 誘導範囲こそ広くないが、流星の照準器で狙いをつけておけば、自動で敵艦艇を追ってくれるのだ。

 おかげで流星は高速で降下するだけでなく、従来より高い高度から投弾できる。

 それはパイロットの生還率を、飛躍的に高めていた。


 逆に敵の艦艇にとっては、ひどい災難だ。

 音響魚雷で行き足を止められたところへ、煙突目掛けて爆弾が降ってくるのだ。

 その威力たるや半端なものではなく、駆逐艦程度なら即座に轟沈する場合もあった。


 もちろんアメリカ軍も、猛烈に反撃してきた。

 マリアナ沖よりも格段にレーダーを進歩させ、対空射撃を強化していたのだ。

 そして後に分かったことだが、一部では近接信管の試作品さえ使用していたそうだ。


 しかしその結果は、マリアナ沖海戦とそう変わらない。

 外側から輪形陣を順に崩され、やがて空母や戦艦も攻撃を受ける。

 そしてどんなに強靭な艦も、魚雷と500kg爆弾を複数くらっては堪らない。


 数十分のうちに、多くの艦が行動不能に陥った。

 それはアメリカ人が予想だにしなかった、大敗北である。


 しかしその一方で、日本艦隊にも災厄が降り掛かっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。