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未来から吹いた風 ~5人でひっくりかえす太平洋戦争~【改訂版】  作者: 青雲あゆむ
第4章 太平洋戦争編

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幕間:ドーリットル空襲

【ハズバンド・キンメル】


 日本との戦争が始まり、驚いたことに太平洋艦隊が大打撃を被った。

 その責任でリチャードソンが司令官を解任されたと思ったら、なんと私にその椅子が回ってきた。

 これで私も大将か。


「それで、我が艦隊が大敗した原因は掴めたのかね?」

「はい、司令官。確証には乏しいのですが、情報をかき集めていくつかの事実が見えてきました」

「ふむ、それはどんなものだね?」

「はい、まずは日本海軍が、大規模な空母機動艦隊を繰り出してきた事です」

「大規模な空母機動艦隊か。たしか我が軍も、4隻の空母を出していたが、それ以上かね?」

「はい、明らかに我が軍を優越していた模様です」

「ふむ……しかしそれだけで、こうも圧倒的な敗北になるだろうか?」


 そう問うと、彼も不本意な顔で答える。


「たしかに通常では考えられません。ここで第2の要素が絡んできます。敵の航空魚雷が、異常な命中率を実現したらしいのです」

「異常な命中率? それはどれぐらいのものだね?」

「後方で傍受した通信から推測するに、7、8割はあったのではないかと」

「馬鹿な! 何をどうやったら、そんな事ができるのだね?」


 すると彼の後ろで控えていた士官が、恐る恐る言いだした。


「はあ……状況から推測するに、魚雷が艦艇を追跡したと思われます」

「艦艇を、追跡? 君はそんな技術を、日本が実現していると言うのかね?」

「我が軍でも研究は進められていますから、全くの夢物語ではありません」


 そんな馬鹿な。

 東洋の黄色いサルが、誘導魚雷を実現しているだと?

 いや、しかしそれが事実だとすれば、今回の大敗にも説明がつくのか。


「にわかには信じがたいが、先の敗北の説明にはなるな。どういう原理なのかね?」

「複数の聴音装置で目的の方位を割り出し、追跡します。基本的には敵のスクリュー音を追う形になるでしょう」

「それはまた、大層な兵器だな。本当にジャップが実現していると思うのかね?」

「情報が少なすぎて断言はできませんが、その可能性はあります」

「ふむ……」


 少し迷ったが、放置はできないと判断した。


「よし、この件についてチームを組み、対策を考えるように。必要なら外部の研究者も入れるんだ」

「は、承知いたしました」

「うむ、頼んだぞ」


 やれやれ、これはとんでもない貧乏くじを引かされたのかもしれんな。



 しかし厄介事は、それだけに収まらなかった。


「に、日本本土を爆撃ですか?」

「ああ、そうだ。頼むよ、ハビー。何か方法を考えて、成果を挙げてくれないか。マリアナ沖で戦った兵士の家族が、うるさくて仕方ないんだ」

「は、はあ……」


 クソ、そんな政治事情を、戦争に持ちこむなよ。

 ただでさえ艦艇が足りないのに、俺にどうしろってんだ?

 そんな俺の内心を読んだのか、大統領がプランを提示した。


「君の前任者に相談した時、空母に陸軍の爆撃機を載せれば、いけるかもしれないと言っていた。ぜひ、検討してみてくれ」

「……は、了解しました」


 やむを得ず提案を持ち帰り、検討してみた。

 するとたしかに空母から陸軍機を発進させれば、日本本土も爆撃可能と出た。

 空母はエセックスを使い、爆撃機は運用が始まったばかりのB25が適任となる。


 貴重な空母を危険にさらしたくないが、やらざるを得ないだろう。

 気が進まないが、そう報告するか。


 その後、大統領に報告すると、大喜びで採用された。

 陸軍も全面協力で、準備はどんどん進む。

 願わくば、空母には無事で帰ってきて欲しいものだが。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


【ジェイムズ・ハロルド・ドーリットル】


 エアレースで鳴らしていた俺が、決死の爆撃行を任されるとは、思いもよらなかったな。

 それも日本にやられっぱなしじゃ格好が悪いってんで、大統領に強要されるような形でだ。

 まあ、同胞を何万人も殺した日本が相手なんだ。

 私情は抜きにして、仕事はきっちりやるさ。


「今から俺たちがやるのは、非常に危険な作戦だ。しかし敵は、我らがステイツに楯突くイエローモンキーだ。奴らに鉄槌を下すため、全力を尽くせ!」

「「「おうっ!」」」


 チームに檄を飛ばすと、ただちにB25へ乗りこみ、空母エセックスを飛び立った。

 目標は日本の首都 東京と、他の主要都市だ。

 そのために準備したのは16機のB25と、各自4発の焼夷弾や500ポンド爆弾だ。

 これで日本の都市を、焼き払ってやる。


 しかしそうそう思うようには、いかないようだ。


「洋上に日本籍らしき舟艇を発見。通報されたかもしれません」

「やむを得んな。このまま続行する」

「は!」


 やはり敵も無警戒というわけにはいかないか。

 しかしこの広大な太平洋で、的確に補足し続けるのも困難だろう。

 適当に欺瞞行動を混ぜて、撹乱してやる。


 そう思っていたんだが、日本軍はそれほど甘くなかった。


「前方上空に、敵編隊! 戦闘機と思われます」

「なんだと! ただちに迎撃態勢を取れ!」

「はっ」


 報告のとおりに、敵編隊が見えてきた。

 遠くてよく分からんが、速そうな機体だ。


 可能なら密集隊形で迎撃したいところだが、あいにくと無線機類は降ろしている。

 無線封止が前提で、機体を軽くするためだ。

 くそっ、こんな事態に陥るとはな。


 やがて敵部隊の攻撃が始まる。

 俺たちは必死に抵抗したものの、1機また1機と脱落していく。

 それでも敵の追撃は振り切ったと思ったのだが……


「北方より別の編隊! かなりの数がいます」


 くそっ、これ以上の攻撃には耐えられんぞ。

 かと言って爆弾を捨てても、逃げ切れるとは思えん。

 これは進退きわまったか。

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