表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/58

幕間:人を救えるなら

【後島慎二】


「ほい、銅の精錬作業について、まとめといたぞ」

「お、サンキュー。参考にさせてもらうわ」


 作成した資料をメモリーに入れて渡すと、四郎がすかさずパソコンにデータを移す。


「しっかし、こんなんで足尾の鉱害、抑えられるかな?」

「まあ、大丈夫やろ。実際に鉱物が悪さするのは分かっとるんやから、ピンポイントで検出できる。後は官僚のケツ叩いて、対策させたらええねん」

「う~ん、だけどそれが毒だって事も、証明しないといけないし……」

「あ~、せやな。人体への影響も、証明してかんといかんか。となると医療関係者も、巻きこむ必要があるで」

「う~、やっぱそうだよな。うわ、また仕事が増える」


 思わず頭を抱えていると、四郎がなんでもないように言う。


「そんなもん、祐一たちに手伝わせりゃええねん。1人で抱えこむなや」

「えっ、でも俺たちがやるって言ったし」

「別に俺らが、さぼってるわけやないやろ? それに人命が関わるような案件、あいつらが断るわけないやん」

「あ~、まあ、そうだね。被害を減らすには時間も大事だから、頼んじゃうか」

「せやせや。俺らは目の前の仕事、片付けよやないか」

「うん、分かった」


 その後、祐一と正三に頼んだら、二つ返事で引き受けてくれた。

 俺の考え過ぎだったみたい。

 思わず、現代の会社生活を思い出しちゃったよ。


 あの時も人に遠慮して、仕事を抱えこむ傾向にあった。

 そんなんじゃいけないと思ってても、言えないんだよな~。

 さすがにこの5人の間なら、わりと言いたいこと言えるんだけど。


 他の人にもちゃんと、意見を言えるようにしないとな。

 なんてったって、国の運命が懸かってるんだから。

 よ~し、がんばるぞ~。




【中島正三】


「というわけでさ、医療関係者にも協力して欲しいんだ。さすがに俺と四郎だけじゃ、手が回らないから、手伝ってもらえる?」

「…………そうか。考えてみれば当然だよな。いいよ。俺と正三でやってみる」

「え、大丈夫?」

「なんとかなるって。これも日本のためだろ?」

「……まあ、そうなんだけどさ」

「助かるよ。俺たちも手が空いたら、手伝うから」

「気にすんな。まずはそっちの仕事を、しっかりな」


 あ~あ、祐一ったら、簡単に引き受けちゃって。

 そりゃあ、慎二や四郎だけじゃ大変だろうけどさ。

 こっちだってけっこう、忙しいんだよ。


「医療関係者を探すにしても、どうすんのさ? また官僚に聞くの?」

「いや、それも手なんだが、別口を当たろうと思ってる」

「別口って?」

北里柴三郎きたざとしばさぶろうって、いるだろ? あのペストで有名な」

「そりゃあ知ってるけど、専門が違うんじゃない? あの先生は、伝染病とかそういうのでしょ?」


 そう指摘すると、祐一はニヤリと笑った。


「専門が違うなら、適任者を紹介してもらえばいいんだ。それよりも、北里さんと面識を得ることが目的なのさ」

「会ってどうするのさ?」

「感染症の薬とかを、作ってもらおうと思ってる。ペニシリンとか、ストレプトマイシンみたいなやつ」

「ええっ、僕たちにそんな知識、ないでしょ」


 すかさず突っこんでも、彼は平然と答える。


「別に専門知識がなくても、なんとかなるだろ。俺たちがうっすら知ってる事を伝えるだけでも、役に立つかもしれない」

「そんないい加減な……」

「いい加減かもしれないけど、上手くいけば人を救えるんだぞ。それこそ、公害より何十倍も多くの人を」

「……う~ん、それもそうか」


 たしかに成功すれば、公害対策よりよほど効果が大きい。

 結核は不治の病として、恐れられてたって話だし。

 多くの人を救えるなら、僕もがんばるか。




 その後、祐一は本当に北里博士に渡りをつけ、会いに行った。

 しかも陛下の紹介状を使って、信頼を勝ち取ったりして。

 それから僕たちは、ちょくちょく博士と会って、つたない医療知識を伝えるようになる。


 まだモノになるか分からない事が多いけど、博士はすっごく興奮してた。

 祐一の話も上手いんだよね。

 下手をすると、詐欺師かと思うくらい。


 公害対策についても、ちゃんと進展してる。

 そっち関係に強い人を紹介してもらって、データ収集に協力してもらった。

 なんか北里博士って非主流派らしくて、その分、真面目な知り合いが多いみたい。

 結果的に、収まるとこに収まったのかな。


 もっとも、僕の仕事は増えてるけどね。(怒)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ふと思ったのですが、パソコンの電源はどうしているのだろう? 有識者はいるから何とか間に合わせで専用の電源を作ったのだろうか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ