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20.爆撃&雷撃



 彼の性格からしては珍しいわね。アッシュは、余裕を向けていたはずの相手に対して苛立ってる感じ。

 お互いの様子から察して、恐らくは仕掛けていた爆弾が解除されたという事なんでしょうね。

 キンダアーモンの奴は見た目お笑いキャラだけど、そんな事ができる辺り流石はボスといったところかしら。アッシュもそうだろうと認定していたわけだし、実力だけは本物なのかもしれない。

 しかも、たった一言唱えただけ。殆んど詠唱要らずな点はアッシュと同じじゃない。


「ちっ、自力で解呪しやがったか。ふざけた面してるわりに、ち~たぁやるじゃねーか」

「フハハ、これくらいの事は当然だ! 探ってみれば何のことはない。無詠唱のオリジナル魔法とか言っても、単に魔力弾を体内に埋め込んだだけではないか!」


 それって、そんなに大した事じゃなかったのかしらね? これ程の惨状を引き起こすだけの魔法なんだから、十分に凄いと思うんだけど。


「だったら、直接ぶちこんでやるまでだ!」


 アッシュは、そう言うと筋肉だるまに対し右の手のひらを向ける。


爆裂(エクリクス)!」


 彼が呪文を唱えた瞬間、キンダアーモンの前で大爆発が起こる。

 立っていられない程の爆風に、わたしは必死で右腕を前に出しながら吹き飛ばされまいとその場で耐えた。

 次第に爆煙が晴れていき前方に目を向けると、うっすら黒い人影が現れ始める。


「フハハハハ! 内側から破壊でもされない限り、この程度の爆発など魔法障壁を使うまでもないわ!」


 ようやく晴れてきた煙の中から、そう声が響いてくる。

 あれだけの爆発に耐えるなんて、どんだけタフな奴なのかしら。だからさっさと片付けてしまえば良かったのよ。でも、きっとアッシュのことだから、それでも余裕だって思っているんでしょうね。


「なるほど……素のまんまでも、高い魔法耐性を持ってやがるってわけか」


 意外にも、少しだけ焦っている様子のアッシュ。

 彼なら、他にも強力な魔法をいくつも持っているはずだけど。私たちって、本当に足手まといになっていたりしないわよね?

 近くにいるせいで、より強力な魔法を打つことができない。もしそうだとしたら、わたしってば完全に彼の足を引っ張ってしまったわ。


~ニューンアエッド ミューザン コアオドット~


~出でよ暗雲、轟け稲妻~


 今度は一切の余裕を見せないのね。そんな私の心配を余所に、アッシュはまた古代語らしき呪文を急に唱えだす。


「ぶゎぁかなのか? おまえは~。そんな中級の古代魔法なんざ、この俺様に通用するわけがないだろ!」


 そうは言っても、キンダアーモンの表情はあまり余裕がなさそう。中級の魔法って言ったみたいだけど、アッシュが何の勝算もなくそれを選択するとは思えない。


「馬鹿なのは、てめぇの方だ! こいつの威力は、魔力量に依存するってのを知らねーのか?」


 初めて会った時のような凶悪な顔をして、そう答えを返すアッシュ。

 やっぱり、そういう事だったのね。魔力量で威力が決まるって言うのなら、わたしが持つ力の量が決め手ってことになってしまうのかしら。だとすれば、これはかなり責任重大だわ。


 元から暗雲は立ち込めていたけど、キンダアーモンの上空から雷の音が不気味に鳴り響いている。

 爆破が効かないのなら、次は雷で攻撃するってことなのかしら。


「超上級魔法による雷撃でもなけりゃ、この俺様にダメージを与えることすらできんわ!」


 バラバラになった地竜の死骸に立つキンダアーモンは、そう言って両腕を頭上でクロスしながら身構えている。


「超上級だぁ? 俺様の放つ雷撃は、そんなもんじゃ収まらないぜ! 御託はいいから、さっさと死にやがれ! 雷撃(ケラウノス)!」


 アッシュが最後に決めの呪文を唱えた瞬間、キンダアーモンの上空から一筋の閃光が走る。太く青い光の柱は筋肉だるまに直撃し、辺りには焼け焦げた臭いが一気に広がった。

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