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君のカンパニュラ  作者: 9どう?亜依


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31/52

足音

廊下の照明は半分が消えていた。

 薄暗い床に、自分の靴音だけが規則正しく響く。

 そのリズムは意図的にゆっくり——旧企画室の中の人間に、確実に届くように。


 扉の隙間から、青い光が漏れている。

 あれは紙片ではない。

 映像の光が、壁や机に反射しているのだ。

 “提示”を受けている最中——そう考えるだけで、胸の奥に冷たい高揚が走った。


 俺はこの場に呼ばれたわけじゃない。

 だが、呼ばれなくても来る理由があった。

 この中に、大輔がいる。

 そして、その大輔が“次”に選ばれることを、もう知っている。


 ドアノブに指をかける。

 金属の冷たさが手のひらに吸い付くように馴染む。

 開ければ、計画は早まるかもしれない。

 だが、それも悪くない——むしろ望むところだ。


 深呼吸ひとつ。

 ゆっくりと扉を押し開けた瞬間、

 中の空気が外へ流れ出し、

 視界の端に青い紙片と三人の影が重なって見えた。


 その中で、大輔の視線だけが、真っすぐこちらに向いていた。

 まるで、俺が来ることを知っていたみたいに。


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