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未来世界に戦争する為に召喚されました  作者: 堕天の翼のあさぼらけ
惑星ファンタジー迷走編

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第53話 森で出会ったひとりの少女

 これは西暦9980年のはるか未来のお話。

 行方不明になったケイを探しに、惑星ドルフレアの地に降り立ったマイとユアとメドーラの三人。

 千年前の伝説の騎士、かげろうおケイがケイ本人ではないかとの確証を得るため、南の森へと向かった。

 そこに、かげろうおケイが使ったとされる剣が、あるらしい。

 それを確かめに、かげろうおケイと行動を共にしたローランの子孫、ローラスと共に、南の森へと向かう。

 この森には、ドラゴンが住みついたらしい。



 追手をメドーラにまかせ、マイとユアとローラス、そして執事のセバスが乗る馬車は、先を急ぐ。

 そして、森の入り口にたどり着く。


 森には、すでに幾人もドラゴン退治に訪れて、軽く踏み固められた道みたいなのが、出来ていた。

 マイ達三人も、その道を進む。

 道の途中で、ひとりの少女と出会った。


 一本の大木に背中をあずけてしゃがんでいる、ひとりの少女。

 緑色のドレスのような服を着た、かわいらしい少女だ。

 といっても、マイ達より少し若い感じだ。

 マイ達のアバターは23歳設定なので、16歳くらいだろう。

 これを少女と呼ぶのは、疑問があるが、かわいい少女って事にしておこう。


 少女の緑色のドレスは、森の風景に溶け込んで、気づかない人には、気づかないだろう。

 しかし、マイは気がついた。

 この様な場所に、似つかわしくない少女がいるので、声をかけた。

「あなた、ここで何してるの?ひょっとして、迷子かな?」

 少女はうつむいたままっだったが、ひと呼吸おいて、顔をあげる。

 そしてマイの方に視線を向けるが、黙ったままだ。


「この森には、ドラゴンが出るんですって。ここにいては危ないよ。」

 マイは笑顔で、少女に話しかける。

「ドラゴン?」

 少女はつぶやく。

「ああ、平気。こっちから何もしなければ、何もしてこないから。」

 少女の答えに、マイ達は顔を見あわせる。

 この少女は何者なのだろうか?

 ただの迷子ではなさそうだ。


「何?私に何か用なの?」

 少女は、先に話しかけてきたのに、何故かはっきりしないマイ達を、いぶかしく思う。

「えと、あなたに用があるって訳でもないんだけどな。」

 マイは笑顔を引きつらせる。

「用があるのは、この先のドラゴンなんだよね。」

 マイの言葉に、ユアが付け足す。

「ドラゴン?退治しに来たの?」

 少女はドラゴンという単語に反応して、ユアに視線を向ける。


「うっ。」

 その視線は、ユアを威圧するナニかがあった。

「今まで、多くの冒険者達が返り討ちにあったわ。あなた達も、そうなりたいの?」

 少女のその声は、何の感情も感じさせない、冷たい感じの声だった。

 聞く者の心に響くその声は、聞く者の感情によって、受け取り方が違う感じの声だった。


「違う違う、僕達は剣を取りに来ただけだから、ドラゴンは関係ないよ。」

 少女の物騒な物言いに、マイは反論する。

「ドラゴンは、その剣を護ってるのよ?いにしえの盟約に従って。」

「あの、その剣は私が隠すために置いてきたのですが。」

 ここでローラスが口を挟む。

 一応、今の剣の所有者はローラスだ。自分の剣をドラゴンが護ってると言われても、返してとしか言いようがない。

「あら、ドラゴンは、あるべき場所に剣が戻されたとしか、思ってないみたいよ。」

 ローラスの意見も、少女に軽くあしらわれる。

「それは困りましたね。」

 ローラスの表情がくもる。

「ただ隠しただけのつもりが、とんでもない事になりましたわ。」

 もしかしたら、かげろうおケイの剣をほこらに隠した事で、ドラゴンを呼び寄せたのかもしれない。

 ローラスはそう思った。


「ま、ドラゴンとの話し合い次第じゃない?」

 ユアは少し落ち込み気味なローラスの肩に手を置く。

「話し合い?出来ると思ってるの?ドラゴン相手に。」

 ユアの言葉に、少女は反論する。

「出来るわよ。僕達の事情を話せば、きっと分かってくれるわよ。」

 マイは力強く、少女に応える。

「あら?」

 マイは少女の方に身をのり出した事で、少女の足首の異変に気付いた。

 少女の緑色のドレスはくるぶしくらいまで丈があった。

 少女の右脚の足首には、アザがあった。

 一見するだけなら見逃してしまいそうだが、一度気づいてしまうと、気になって仕方がない。

 マイは少女のドレスの丈を膝上までまくり上げる。

 少女は思わずドレスの丈を押さえるが、マイはそんな少女の手を押さえる。


「ちょっと、ひどい怪我じゃない。」

 少女の右脚は、膝から下がアザになって腫れあがっていた。

「これ、痛くないの?」

 マイは少女の右脚を軽く押してみる。

「だ、大丈夫。痛くない。」

 そう言う少女だったが、その声からは、とてもそうだとは思えない。

「強がらない。僕が治してあげるから、じっとしてて。」

 マイは少女を優しく諭すと、少女の右脚に左手をかざす。

 緑色の淡い光が、少女の右脚を包む。

「うっ。」

 少女は苦悶の表情を浮かべる。

「何これ、見た目より相当ひどいじゃない。」

 治癒系のマナを使うマイは、その怪我のひどさに驚く。

 通常の癒し系のマナでは、太刀打ち出来そうにない。


「あ、ありがとう、お姉さん。治癒してくれただけでも、感謝するわ。」

 少女は右脚の治療を、既に諦めている風だった。

「駄目よ。お礼はちゃんと治った時に言いなさい。」

 マイは治癒系のマナの濃度を高める。そして、ローラスに助太刀を頼む。

「お願い、ローラス。あなたの水系マナの洗浄作用を、僕に貸して。」

 そう言われても、ローラスは困る。

「どうすればいいの?」

「僕の左手に、ローラスの左手をそえて。」

「こ、こうかしら。」

 ローラスは言われたとおりに、マイの左手の甲に自分の左手を重ねる。

「そのまま、穢れを洗い流すイメージで、軽く水系マナを注いで。」

「こうかしら。」

 ローラスは言われた通りに、水系マナを注ぐ。

「ぐ、がっ。」

 少女は思わず声を上げる。

「我慢して。不浄物を浄化してるから。」

 マイはそう現状を説明するが、少女の痛みは尋常ではない。

「ぐ、ぐ。」

 少女は声が出るのを懸命に堪える。

 少女の両手は、マイの両肩にくい込む。

 この行為で、少女は痛みをまぎらわせていた。


 やがて、パーンと何かがハジける音とともに、少女の右脚から不浄物がハジけとぶ。

「ローラス、ありがとう。後は僕の治癒系マナでいけるわ。」

 ローラスは水系マナの放出やめると、力尽きてマイの背中にもたれる。

「何これ、気持ちいい。」

 マイの両肩を掴む少女の力も、緩んでいく。

「さあ、終わったわ。」

 マイは治療を終えた。


 しゃがんだままだった少女は立ち上がると、軽く飛び跳ねる。

「すごい、痛くない。痛くないわ。」

 それまで暗い感じだった少女の声は、別人の様に明るくなった。

「ありがとう、お姉さん。ありがとう。」

 少女はマイに抱きついてお礼を言う。

「僕だけじゃなくて、ローラスにも言ってあげて。」

 ローラスは、しゃがんだマイの背中にもたれたままだった。

「ありがとう、お姉さん。」

 少女の言葉に、ローラスは軽くほほ笑んで応える。

「ありがとう、お姉さん。」

 少女はユアにもお礼を言った。

 ユアはこの治療中、周囲を警戒して見張ってた。

 この治療の場に他人がまぎれ込むと、マイとローラスとでの洗浄効果が薄れるからだ。


 少女はひと通りお礼を言うと、森の奥へと嬉しそうに駆けていった。

 それは、マイ達が目指す、かげろうおケイの剣を納めたほこらの方角だった。

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