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未来世界に戦争する為に召喚されました  作者: 堕天の翼のあさぼらけ
宇宙召喚編

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第24話 狙われる理由

 これは西暦9980年のはるか未来のお話。

 星間レースに優勝したマイ達ブルレア連邦に対し、レドリア合衆国が挑戦状を叩きつける。

 今まで恒星系の調査開発に投じた多額の出費が、無駄になってしまったからだ。

 その穴埋めに要求してきたのが、ブルレア連邦のシリウス構想である。

 シリウス構想の試作品であるマイとマインの機体を、求めてきたのだ。

 ブルレア連邦も、挑戦状を破り捨てる事はしなかった。

 戦闘の結果と言う事ならと、マイとマインがレドリア合衆国に接収される事を、黙認したのだ。

 これは、マイ達が勝とうが、何度も戦闘は行われる事を意味している。

 戦闘が終わるのは、マイ達がレドリアに拿捕された時か、レドリアの挑戦者を圧倒的に打ち負かして、挑戦する気を無くさせるしかなかった。



 人類の歴史は、戦争の歴史といってもいい。

 戦争は、人類に大きな科学的進歩をもたらした。

 戦場で争いあった人類は、道具を使い、機械の補助を受け、機械に依存するようになる。

 いつしか戦場から人類は消える。

 完全な機械化が実現したのである。

 しかし、その期間も長くは続かない。

 機械の管理制御面の隙を突かれ、乗っ取られる事もしばしば起こる。

 それに、機械が暴走する事もしばしば起こる。

 人類は再び、戦場に戻った。

 そして人類を補助する機械が発達し、戦場は完全な機械化が実現する。

 そして歴史は繰り返す。

 何度かこの循環を繰り返した後、とある古文書が発見される。

 これは、古代人の妄想を書き残したものであったが、今の時代の人類にとって天啓とも言える構想が、書き記されていた。

 それが、脱出用転送システムである。

 魂をアバターに入れ、転送させる。

 この時代、物質転送システムはあったが、生物を転送させる事は出来なかった。

 生物は転送させた瞬間、魂が抜けるのだ。

 この欠点の解決策を、はるか古代の人間が思いついていたのだ。

 この古文書を発見したブルレア連邦は、レドリア合衆国とグリムア共和国にも、この脱出用転送システムの事を伝える。

 戦争とはビジネス。

 ビジネスは、相手がいないと成立しない。

 レドリアもグリムアも、ブルレアから得た情報をもとに、独自のシステムを構築させた。

 ブルレアは、古文書の全てを伝えたわけではない。

 脱出用転送システムについてのみである。

 古文書に記された壮大な構想は、ブルレアに秘匿された。

 ブルレアはこの古文書に記された構想の実現に、とりかかる。

 それが、シリウス構想である。

 最初に、四機の機体が作られた。

 試作品の一号機、シリウスαI〔アルファーワン)

 試作品の二号機、シリウスαⅡ(アルファーツー)

 それが、マイとマインの乗る機体だった。


 情報のインストールが終わる。

「あ、やっと終わった。いつまで待たせるのよ?」

 先にインストールが終わったリムは、今やっと終わったマイにちょっと八つ当たり。

「それ、マイのせいじゃないでしょ?」

 マイの直前にインストールの終わったマインは、自分にも当てはまる事なので、思わず反射的に、強く反論してしまう。


 インストールにかかった時間はまちまちで、リムはすぐに終わったが、マイとマインへのインストールは、その倍の時間がかかった。

 これは、古文書の発見を知る時代に生きた人間には、半分くらい解説が省けた事を意味していた。

「そこ、けんかしない!」

 ジョーが注意する。

 ジョーはインストールの間、ずっと待っていたのだ。リム以上の時間を。

「ま、これで事情がのみこめただろ。なんでマイとマインが狙われるのか。」

「えと、分かりません。」

 マイのその発言に、ジョーはずっこける。

「アイ、ちゃんとインストールしたのか?」

「そのはずですが、マイには難しかったみたいですね。」

 いきなり話しの矛先向けられたアイは、自分の正当性だけは主張する。

「ちゃんと理解させるのが、おまえの役目だろ。」

 ジョーはそう言うが、アイは納得いかない。

「私も、マイ専用に分かりやすい解説をしています。ですが、それを理解出来るかどうかは、マイ自身の問題です。」

「ええ、分からなかったわ。」

 ジョーとアイとの口げんかに、マインがわってはいる。

「これ、古文書を提示すれば済む話しですよね。

 私達が狙われる理由がないわ。」

 マインはそう続けると、マイにほほえみかける。

 これが言いたかったんでしょ、と。

 でも、マイはそのほほえみの意味が分からず、キョトンとしている。

 そう、マイは普通に分からなかっただけだった。

 それにはマインも唖然。こんな事言うんじゃなかったと、ちと後悔。

「あ、それ私も思った。」

 マインの発言に、ユアも同調する。

「古文書の内容を公開すればいいだけでしょ?」

 それに対して、マインは首をふる。

「早い時期に、そうすればよかったけれど、今は事情が違うわ。

 目の前の機体を奪った方が手っ取り早い。

 古文書なんて所詮、古代人の妄想に過ぎないのだから。」

 マインのその発言に、一同納得する。


「マイに経験積ませるだけのはずだったのにな。

 本当にすまない!」

 ジョーはそう言って頭を下げる。

「ほんと、調子にのって優勝なんかするからよ。

 とんだ災難ね、マイン。」

 リムはそうマインに言葉をかける。

 横で聞いているマイにとって、これは一番こたえた言葉だった。

 勝ってはいけないレース。

 そんなレースに出る意味はあるのか?出るからには、勝ちたい!

 そんな身勝手な思いが、今、マインを危険にさらしてしまう。

「ごめん、マイン、私のせいで。」

 マイは、それだけ言うのが精一杯だった。

「謝る事なんて、ないわよ。」

 マインはマイの気持ちをくみとり、優しく声をかける。

「私がアルファーツーに乗ってる限り、これはつきまとう問題よ。

 その理由が分かっただけでも、良かったわ。」

 マイは、マインのその優しさが嬉しかった。

 マイは言葉にならずにうなずくのみだった。


「それにこれ、マインだけの問題じゃないからね?」

 マインを気づかうあまり、その事を忘れているのではと、ユアは心配になる。

「狙われるのは、マイも一緒よ?マイも気をつけないと駄目だよ。」

「あ」

 ユアに言われて、マイは初めて気がついた。

 僕も狙われるのか。そう言えば、僕の機体ってアルファーワンだったな。

「あは、そう言う事か。」

 機体の名前を思い出して、マイはようやくこれまでの話しの流れを理解出来た。レドリアが、なぜ挑戦状叩きつけてきたのかを。

「マインを巻き込んじゃってなんだけど、これって納得いかないよね?」

「ええ、レースの優勝に対する仕打ちじゃないわ。」

 全てを悟ったマイの発言に、ユアが続く。そしてケイに視線を向ける。

「え、私?」

 いきなり話しを振られた形のケイは少し戸惑う。

「私は、勝手に暴走しちゃって、すぐにやられちゃったから、強く言える立場じゃないけれど、、

 私も納得いかないわ。」

「なら、勝てばいいんだよ。」

 何かを思いついたように、ユアはつぶやく。

 そして、言葉をつなげる。

「勝てばいいんだよ、この前の星間レースの時みたいにさ。

 あの時だって、負けが決まったようなレースだった。

 それを、私達は勝ったんだ。」

「そうだね、今度も勝てばいいんだよ。」

 ユアの言葉に、マイも同意する。

「あのーふたりとも?それが出来そうにないから、みんな困ってるんじゃない?

 相手はあのゴンゴル三姉妹なのよ?」

 ケイがふたりを現実に戻す。

「そうだった、ゴンゴル三姉妹だった。」

 ユアは現実に戻された。

「ゴンゴル三姉妹なら、倒す方法あるじゃん。」

 マイは戻ってこなかった。いや、戻ったのか?

 一同が理解にくるしむ中、マイは続ける。

「みんなも見たじゃん、あの星間レースで。」

 そう、ゴンゴル三姉妹を倒す方法はあった。


 ブレイブ。

 それが先の星間レースで激突王ダントッパが、ゴンゴル三姉妹を打ち負かした戦術だ。

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