乱入
トドメの一撃。キーラの指が引き金を引き、メガ魔咆ランチャーが夜を徹する咆哮を上げる!
だが――虚空から「それ」は現れた。
ズゥゥゥゥゥンッ!!!
「……っ!? あちきの光を、掻き消した……だと……!?」
キーラが目を見開く。放たれたはずの極太の魔力奔流が、突如割り込んできた巨大な銀色の盾に吸い込まれるように霧散したのだ。その衝撃の余波で煙が舞う中、瀕死の暗殺魔王は影に溶け、這う這うの体でその場を脱出していった。
「……チッ。逃がしたかえ。それにしてもいい度胸だね、あちきの獲物を横取りするなんて……。どこの野暮天だい?」
キーラがキセルを咥え直し、魔竜ガントレットを低く構える。
立ち込める煙の向こうから、重厚な金属音を響かせて一人の男が歩み寄ってきた。その手には、ランチャーの直撃を受けてなお傷一つない、幾何学的な紋様が刻まれた巨大な盾。
「……やるじゃないか。あちきの最大出力を真っ向から受け止めるなんてねぇ」
「フン、驚くことはない。俺の盾に防げぬものはない。……闇の十人衆が一人、『鉄壁の盾』だ」
男は低く冷徹な声で応える。その盾の裏側には、禍々しい魔導回路が脈動し、キーラのガントレットと同様の、いや、それ以上の不吉な重圧を放っていた。
「そして……俺にあるのは守りだけではない。見せてやろう、これこそが闇の魔導機工の結晶――魔導ガンだ」
男が盾の隙間から引き抜いたのは、骨のような質感を持つ大型の魔導銃。彼はその銃口をキーラへと真っ直ぐに向け、不敵に名乗った。
「俺は、ガン・シールダー。闇の通信講座が放つ、対・最強魔王用最終兵装だ」
「ガン・シールダー、ねぇ……。闇の通信講座も、少しはマシな生徒を寄越してきたじゃないかえ。だが……」
キーラの花魁下駄がカランと鳴り、彼女の背後でアイアン・ハーツの巨大魔導炉が共鳴するように「ヴォォォォン」と重低音を上げた。街中の歯車が、主の戦意に呼応して回転速度を上げていく。
「盾と銃……どっちがあちきの『機巧』より優れているか、その身に刻んであげようじゃないか。……かかってきなよ、鉄屑さん。あちきの火遊びは、高くつくよ?」
最強の魔導機工魔王キーラと、闇の最強防御にして掃射者ガン・シールダー。
アイアン・ハーツの夜空が、火花の嵐と轟音で埋め尽くされようとしていた。




