第26話 活動内容は「青春すること」!? 揃った5人の目的と、俺の完全敗北
「…取り敢えずはこれで部の申請が出来ますね。」
申請書類を纏め、音頭を取る先輩。その顔は夕焼けの様に真っ赤に染まっていた。
「秋元さん。ああいう事をされては困ります。これからは控えて下さい。」
「はい、すみません。気を付けます。」
「秋元〜、やるなお前。見直したぜ、先輩を口説くなんて。年上好きか〜。」
肩に手を掛けてくる萩原。ニヤニヤ顔を観ると無性に腹立たしい。
「はぁ!ちょっと意味分かんない事言わないでもらえます?浩志くんはそうゆう嗜好じゃないんですけど!」
「落ち着いてみーちゃん!」
憤慨する美鈴にそれを宥める佐渡さん。纏まりか無いが果たしてこのメンバーでやって行けるのだろうか…。
「…一先ずこれを白山先生に提出をして、申請が受理されれば問題無く活動が出来るはずです。…それと…。」
先輩は一枚の紙を美鈴に渡した。
「部長である倉瀬さんにはこれを渡して置きますね。」
「これは?」
「活動内容を記述して下さい。それとさっき纏めた申請書類を一緒に提出するんです。」
「ほうほう…。」
「活動内容は色々ありますが、部の活動継続に関わります。先辺っては活動実績が分かりやすいですかね。」
「つまり、実績が無いと存続が出来ないという事ですか。」
萩原が口を開く。
「はい、実績不十分と見做されれば、活動停止、または廃部もあり得ますね。」
「そんな〜。」
「まぁ…大丈夫だろう。実績とは言っても何も大会とかで入賞しろなんてものじゃないだろうし…。」
「すいません。一つ良いですか?」
「どうしましたか?」
美鈴は挙手し、先輩に尋ねる。
「文芸部の活動って何をやるんですか?」
「はい?」
全員が固まる。正確には美鈴以外だが…。
「いや、何を言ってるの倉瀬さん!そもそも文芸部を復活させようとしたのは倉瀬さんでしょ!」
萩原が食って掛かる。
「そうだよ!みーちゃん!」
佐渡さんもそれに続く。
「いやー、そうなんですけどね。成り行きって言うかなんというか。どうしても文芸部を復活させたかった訳じゃないんですよね。」
「なぁ…!」
呆気に取られる3人。だが…俺は重大な事を忘れていた。
(そう言えばコイツ!青春がしたいだけだった!)
てっきりその気になっていたが…始めから一貫している。青春をエンジョイする。部活動もその為の手段の一つである事を…。
(まずったな〜。それを伝え忘れていた。他の皆、特に平泉先輩はそういう不純な動機嫌いそうだもんなぁ〜。)
もし辞退する事になれば…また振り出しだ。
(どうする…!?)
だが、3人の反応は予想を裏切る形となった。
「なんだ…。それを先に言ってよ倉瀬さん。」
「萩原、良いのか?こんな奴が部長なんだぞ!」
「ちょっと失礼な!」
美鈴が突っかかる。
「まぁ…僕もそんな大層な理由じゃないしね。責められないよ。」
何かを諦めた様な目をしながら、萩原は話を続けた。
「さっき言っただろ?この部活に入ったのは君達が理由だって…。自分で言うのもなんだけどさぁ…、モテるんだよね僕、凄く。」
そんな顔しなくても分かる。
「そのせいかさぁ…僕の周りは女の子ばかりで、友達も正直、それが目的なんだと思う。真に友人と呼べる存在が居ないんだ。」
「高校でもこのままなのかなぁ…て思ってた時に君達を見たんだよ。衝撃だった。びびーっと電流が走ったね。この2人なら僕の知らない景色を見せてくれるだろう…って。」
「何か面と言われると恥ずかしいですね。」
「その恥じらい、忘れずにいろよ。そして学習しろ。」
「照れちゃって。」
成る程、イケメンにはイケメンなりの苦労があったのね。
「そんな訳で…これから宜しくお願いします。」
深々と頭を下げる。律儀な奴だ。
「勿論、この私に付いてくれば、青春の何たるかが分かる!!」
(いや、お前も別に詳しくは無いだろ…。)
心の中でツッコミを入れるだけにしておこう。
「わ、私は、萩原くんみたいな理由は無いけど…ね。」
「みーちゃんの力になりたいと思ったの!」
途切れ途切れにでも後に続く佐渡さん。
「皆…!ありがとう!きっと皆で青春を謳歌しようね。部長との約束だよ!」
「うん」「おう」
2人の肩に手を掛け、団結を深めていく。そして美鈴は俺達2人へと目を向ける。
(えっ…、これ、俺もやるの?こういうノリ苦手なんだけど…。)
美鈴の目は何かを訴える。お前等も来いと言わんばかりだ。
「ちょっと先輩…、何とか言って下さいよ!コイツラ毒されてます。丸め込もうとしてますよ。」
先輩に耳打ちする。先輩はさっきから無言だ。
「…はぁー、倉瀬さんがどういう思考なのかよく分かりました。それで部活動はちゃんとすると
約束出来ますか?」
「勿論、じゃないと意味がありませんから!」
「なら…私からは言う事は何もありません。少し強引な勧誘でしたが…、私もこういう空気は嫌いじゃありませんし…。」
顔を紅く染める平泉先輩。
(貴方もかぁ〜。…このアウェー感久し振りだ…。)
「浩志くん。さぁ…貴方も…。」
「くっ…!もう好きにしろ。」
姫騎士の様な捨て台詞を言いながら、ドヤ顔の美鈴に歩み寄った。




