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第17話 鈍感も行き過ぎると、呆れられる。

いつも読んでいただき、本当にありがとうございます!もし少しでも「面白い」と思ってくださったら、ページ下部から【ブックマーク追加】や【評価の星(☆☆☆☆☆)】を★★★★★にして応援していただけると嬉しいです!明日も【18時】にお会いしましょう!

 「おい…、さっきからどうしただよさっきから…。」


 放課後の時間になり、不本意ながらにも倉瀬と共に下校する事になった。


 「え、何がですか?私、そんなに変でしたから?」


 「いや、変だろう。何か言いたい事でもあるのか?」 


 作戦会議をしようと自宅に誘った辺りからだ…。その時から変な空気が俺達の周りを漂い始めた。


 「本当に何でも無いですよ!…ところでそ、その秋元さんのお家って、今、何方か在宅なんでしょうか?」


 「ん、ああ、今の時間だったら妹がもう帰ってきてるかな。」


 腕時計を観ると、針は午後5時を指し示していた。


 「ほっ、そうですか…。びっくりしましたよ。いきなり言うんですもん。てっきり二人きりだとばかり…」


 「あ、でも今日は友達とお泊り会だってはしゃいでたっけ。」


 「ほにゃー!!!」


 「どうした!いきなり奇声を上げて、動物の威嚇か!」


 「ち、違いますよ!えっ、それじゃ…お家で…。」


 みるみる耳まで紅くして俯く倉瀬。手付きが覚束なず、歩みが遅くなる。


 「またその反応する。…あっ、まさか俺がお前に変な事すると思ったのか?」


 無言で俯き続ける。それは最早肯定と同義であった。


 「おいおい、まだ会って間もないのに。そんなに節操無く視えるのか。あっ、もしかしてお前がむっつりなんじゃないか?」


 「むっつり!?そんな訳無いでしょ!秋元さんこそそんな体の良い事言って実際に家に連れっていったら牙を剥くんでしょ。いやー!お巡りさん助けて!ここに狼さんがいますよ!」


 「はっ!そういう発想しか出来ないのがむっつりって言われるんだよ。スケベ女。頭ピンクか!」


 「むきー!!もう良いです!ドキドキしたのが馬鹿でしたよ。はいはい、私はエッチな女ですよ!ほら、行きますよ!」


 呆れたのか、知らんぷりをしてそそくさと歩き始める倉瀬。どうやら空気を変える事には成功したようだな。


 …正直なところ…、俺の方こそドキドキしているからな。

 自らの胸に手を当てる。うん。めっちゃドクンドクン鳴っている。


 (こいつが変な事を言うからだ…。そんなん言われたら…こっちだって意識してしまう。)


 だが、悟られる訳には行かない…!きっと調子に乗らせてしまう。…それを想像する…と…。


 「え〜!さっき、あんなに私にむっつりだなんだと言って於いて〜!私の事、そんな眼で観ていたなんてショックです!!これから渾名をスケベ太郎くんにさせてもらいます!」


 (あ〜、ちくしょう。腹立たしさと可愛さが一変に来るな…。)


 取り敢えず…落ち着こう。心を透明にするんだ。そうすれば耐えられるはず…。


 (ほら…あっという間に心に平静が戻ってきたぞ!…それにしても、周りに一人が居ないで本当に良かったな。じゃなきゃ大変な事になっていた。)


 下校時間になって直ぐだからなのか、人通りが少ない。きっと文化部はもう帰って折、運動部は片付けをしているのだろう。つまり今、この時間こそ、この学校の空白地帯という訳だ。 


 流石に人通りの多いところで猥談?をする程、常識が無い訳ではないが…、一先ず安心する。


 「随分、楽しそうに話していますね。私も混ぜて下さいよ。」


 背筋に悪寒が走った。倉瀬とはまた違う冷徹な女性の声に全身が、脳が、凍りつく。

 

 聞き馴染みの無い声だった。…いや、確か、この声は…。

 恐る恐る振り返える。そこに写っているのは…。


 「平泉先輩…。」 


 あの、平泉清香だった。さっき別れたばかりだが、どうしてこんなところに…?とっくに帰っていてもおかしくないのに。


 「あ、清香先輩♪さっきぶりですね。お疲れ様です。」


 「はい、お疲れ様です、倉瀬美鈴さん。何やらご機嫌ですね。」


 倉瀬は怒っていたのを忘れさせる程、あっけらかんと挨拶を交わす。…どういう魂胆だ、いったい。


 「清香先輩はこんな時間まで委員会ですか?大変ですね風紀委員は。」


 「そうですね。そう思う時もありますが…皆さんのより良い学校生活の為ですから、手は抜けません。」


 「えー、真面目ですね、尊敬します。私も風紀委員に憧れた時期あったんですよ。腕章を着けてビシッと、他の生徒を取り締まる。カッコいいじゃないですか。」


 確かにな、何を隠そう俺もそんな時期は勿論あった。(中学二年生くらいかな?)まぁ、その時に観ていた学園物のアニメの影響が強いんだろうが…。


 「それはあくまで手段で本分ではありませんよ。私達が居る事で、抑止力でも生徒が規則正しい生活を送れるなら本望です。」


 いかにも真面目ちゃんだな。さぞや、教師達の評判は宜しい事だろう。内心は気になるがそこまで徹することは俺にはできないな。


 「それより先程から、清香と何故下の名前で呼ぶのですか?失礼だとは思いますが、私と貴方はさっき出会ったばかりですよね?」


 「え〜、それならもう知り合いじゃないですか?私、仲良くなるのは時間よりもその人を知りたいか、だと思うんですよ。だから、先輩は下の名前で呼ぶ事にしたんです。嫌でしたか?」


 「まぁ、構いませんが…あまり呼ばれ慣れないもので…。」


 こう言うやり取りをしなれないのだろう。明らかに照れを隠す平泉先輩に少し心が揺れる。


 (なんだ、意外と可愛いところあるじゃん。)


 「………むっ。」


 俺が平泉先輩の認識を改めると同時に倉瀬がじーと、視線を飛ばしているのに気づく。


 「な、なんだよ。」


 「…別に…。」


 むすっ、としている。こいつのこういうとこれは訳が分からない。まぁ…ここだけじゃないけど…。


 「…では、こちらも一応名前で呼ばせて頂きます。それが礼儀と言うもの。」


 「いいですよ♪美鈴、いや、みーちゃんと呼んでも構いませんよ。」


 「みーちゃん!…流石に馴れ馴れし過ぎです。友人関係の前に先輩後輩なんですから、適切な距離感を持って下さい。」


 「そうだそうだ、距離感がおかしいぞ、お前は。人類が皆、お前と友達になりたい訳じゃないんだよ。」


 隙を観て、先輩に隠れながら口撃。この際だから、言いたい事を言わせて貰おう。


 「カッチーン。女子に話し掛けられて嬉しい癖に。天邪鬼ですよね、秋元さんは。そんな事してると女の娘と仲良くできませんよ?あっ、私が居るからもう他の女子は大丈夫という事ですか。参っちゃうな〜。こんなに好かれるのも。」


 「何被害妄想してるんだ。別に他の女子とくらい仲良く出来るわ。舐めんなよムッツリ女!」


 「ムムムッツリ!また言いましたね。こっちこそですよ。聴いて下さいよ清香先輩…!さっきですね、急に俺の部屋に行こうぜ…って誘われたんですよ。しかも、今は家族は出掛けているから…っ言ってました!油断も隙もありませんよよね!」


 「そんな言い方はして無いだろ!!というか平泉先輩にその話はするな!」


 「…すいませんが、その話というのを詳しく。」


 (ほら、食いついてちゃったよ。絶対禁句だって…。倉瀬のやつはあっかんべーしてるし…)


 「秋元さん…私達は学生と言うのは分かっておられて?」


 「違いますよ先輩。こいつの話を信じては駄目です。」


 (鬼の形相をした先輩の口調怖い…!めちゃくちゃ圧迫感があるな…!しかし、倉瀬の奴、仕返しとばかりに…。)


 「学生の本分は勉強ですが、何も恋愛をするなとは言いません。ですが…節度を守り、プラトニックな関係を…。」


 (何とかして倉瀬にギャフンと言わせたいな…。そう言えばあいつ、やけに俺と仲良くなる事に拘っているような…もしかして…!)


 頭に電流が走る。この手なら…。一か八かだが…。


 「聴いてますか秋元さん?」


 「許してくれよ。清香先輩、知った仲じゃないですか。」


 「!!」


 「何、急に何ですか!異性を名前で呼ぶなんて、ハレンチです。」


 へっ、どうだ倉瀬?清香先輩には怒られるだろうが、お前より仲良く見えるだろう?ざまぁ。


 「…あ、秋元さんの馬鹿!!」


 倉瀬は一目散に駆けて行く。俺は唯、見送るしか出来ない。


 「なんだあいつ…。」


 「秋元さん。今のは無いと私でも思いますよ。」


 平泉先輩には何故か怒られず、憐れまれたのが謎であった。

 


 

 

 


  


 


 

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