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路地裏のウィーニー  作者: みゃーじま
第五章 アウトローのアウトロー
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第89話 悪魔の家族 〜神が描いたDestiny 悪魔がくれたIdentity 神のシナリオ破り 俺は俺で歩くStreet〜

 ウィーニーは6番街に背を向けて歩き始めた。


「セラ……何でわからねえ。そこにいたって、世界は変わらねえんだよ……」


 その時。


「ウィーニーや」


 その声に、足が止まった。

ウィーニーは振り返った。


「ワイザー」


 ワイザーは、白い髭を撫でて笑みを浮かべていた。


「ほほ」


「あんたもオレに説教かよ……」


 ワイザーは、ウィーニーに歩み寄ると、その顔を覗き込んだ。


「強うなったなぁ、ウィーニー。男の顔じゃ」


「……強くならなきゃ……世界は変えられない」


 ワイザーは、静かに頷いた。


「その通りじゃ。お主は強くならねばいかん」


「ワイザー……。オレは一体、何者なんだ?」


「少し座りなさい」


 そう言うとワイザーは、地べたに座り込んだ。


 ウィーニーもその隣に腰を下ろした。


「ほほ。お主、あの時は、メカに追われておったの」


「うん。ワイザーが、助けてくれた」


 ワイザーは、遠い目で戦場の後を見つめた。


「なあ、ワイザー。オレは一体──」


 言いかけたウィーニーを遮るようにワイザーは、答えた。


「ハーフゴッド。お主は、人と神の間に生まれた特別な子じゃ」


「ハーフゴッド……」


 ワイザーは、ウィーニーの手を見て言った。


「その不思議な力。それは神の力じゃ」


「神の、力……」


「お主が、異常に打たれ強いのも、高い治癒力も、爆発的な力も、それは神の力によるものじゃ」


「……セラも」


「そうじゃ」


 ワイザーは、戦場に横たわる帝国兵へ静かに目を向けた。


「じゃが、中身は人間じゃ。そこに倒れている兵士と同じ。ただの人間と何も変わらん」


「お主やセラは、神の意図によって作られた。その力によって人々を救い、導き、神への信仰忘れさせぬためにのう」


「神は、どうしてそんなことを?」


 ワイザーは、小さく息を吐いた。


「神の命綱。人々が信仰を失い、神々の存在が危うくなった時に、ハーフゴッドがそれを繋ぐ。それを意図して作ったのじゃ」


 ウィーニーは、拳を握った。


「命綱……。要は保険みたいなもんか……」


「じゃが、そこには神の誤算がある」


「誤算?」


 ワイザーは静かに頷いた。


「そうじゃ。セラにもお主にも、ちゃんと自分の意思がある。故に、神の道具にはなりきれぬ。お主が、悪魔達と行動を共にするなど、予想だにしなかったであろう」


「……デビルズは、悪い奴らじゃねえ……」


「ほほ、そのようじゃの」


 ウィーニーは、ワイザーの顔を見た。


「デビルズはオレを助けてくれた。オレを庇って助けるんじゃねえ。オレを強くすることで、生きる力をくれたんだ……」


「ウィーニー……」


 ウィーニーは立ち上がった。


「マイクは、便所掃除のガキだったオレを受け入れてくれた。何者でもねえお前にも可能性があるって言ってくれた」


 ウィーニーの瞳が揺れる。


「ロベルトは、強いってのがどういうことか背中で教えてくれる。シャクールは、兄貴のように手取り足取り教えてくれる……」


 ウィーニーの頬を一筋の涙が伝った。


「誰もオレのことなんか……そんなこと、誰もオレに……でも、悪魔だけが、オレのことを見て、悪魔だけがオレの声を聞いてくれたんだ!……デビルズは、オレの……家族だ」


 ワイザーは、立ち上がると、ウィーニーの肩に手を置いた。


「ワシは否定せん。悪魔といるお主も」


「ワイザー」


「行きなさい、ウィーニー。お主が信じる道を歩んでみるのじゃ」


 ウィーニーは、頷いた。


「うん。……ありがとう、ワイザー」


 ウィーニーは、13番街に向かって歩み始めた。


 ウィーニーは、一度だけ振り返った。

ワイザーは、何も言わず笑っていた。


 ワイザーは、小さくなるその背をいつまでも見つめていた。


 ウィーニーの姿が見えなくなると、ワイザーは、ぽつりと呟いた。


「世界を変える、か。……ウィーニーや、変えられぬモノに立ち向かうのは──辛いことじゃぞ」


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